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2024年5月7日 第339号 World News Insight             (Alumni編集室改め)                                    中国によるASEAN分断工作から何を学ぶか。                                 バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

今回は、現場を歩く国際政治アナリスト、獨協大学 名誉教授 竹田いさみ氏の衝撃レポートを紹介いたします。中国によるモンゴル、チベット等のEthnic cleansing(民族浄化)行為は知る人ぞ知る特定の民族を排除し,単一民族に吸収合併してしまう政策ですが、今日、ご紹介するのはよりあからさまな経済的手段によって特定の民族、国を併合する施策です。

平和主義に侵された、お花畑の日本人が、この際しっかり認識しておくべき隣国、中国の分断統治工作の実態です。

はじめに、NHKでもこの4月の紹介されたこんな偏波なレポートをご存じでしょうか。

シンガポールのシンクタンク(東南アジア研究所)の4月の発表によりますと、研究者や政府当局者などおよそ2000人を対象に行った調査結果ですが、それによりますとASEAN東南アジア諸国連合10か国が、アメリカか中国かの選択を迫られた場合どちらの国を選ぶという質問で、2020年に始まって以来初めて、米国49.5% 中国が50.5%と中国を選ぶとする回答がわずかに上回ったということです。

中国を選んだ割合が高かった国はカンボジア、ラオスとなっており、それぞれ 70%以上の回答が中国を選んでいるとのことです。

調査を行ったシンクタンクは、こうした国々について中国の一帯一路構想や活発な貿易を通して大きな恩恵を受けていると指摘しています。

その一方、南シナ海で中国と領有権を争うフィリピンの他 ベトナムやシンガポールなどはアメリカを選ぶ割合が依然として高く、米中の主導権争いが如実に反映されているとの報道です。

実はこの英語レポートをきちんと全部読んでいきますと、東南アジアの人々が一番信頼できない国はという質問に対しては、50.1%が中国で最も多いのです。

信用できない、危ない国と言われ、脅威感、政治的な脅威とか軍事的な脅威を一番どこの国から感じているのか。中国が50.1%ですから、東南アジアの人々から見たら、お金の面で言えば中国だけれど、この国は信用してはいけない、よく気をつけながら中国と付き合いましょうということでしょうか。

それに比べて、一番どの国が信頼できますかの質問では、日本がダントツで58.9%で、その次にアメリカとEUです。このレポートは一部だけ読んでも、全部読まないと真相がわからない、ということでしょうか。

中でも、取り込んでいる相手というのは、カンボジア、ラオス、ミャンマーです。次にフレンドリーな国というとタイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアとかブルネイで、緊張関係にある国がフィリピンとかベトナムです。すなわち、3つのグループとなります。

中国としては、ASEAN東南アジア諸国連合10か国がまとまると困るわけです。バラバラにし、一対一の交渉に持っていくと中国が有利ですから、全てを一対一の交渉に持っていくというのが中国のやり方です。

ではその具体的な手法は、カンボジアであれば、カンボジア政府が欲しいものを全部あげるわけです。欲しいものが目に見えるもの、夢のような内容で、例えばカンボジア高速道路です。首都プノンペンから南にシアヌークビル駅近郊の貿易する港まで。そこまでの190キロは、以前は一般道だったのです。従って、大体片道5時間が6時間かかりました。それが高速道路を建設することにより2時間で結ばれた訳です。

交通インフラの専門の中国政府系の建設集団が、全部請け負って、おそらく総額1兆円ぐらい。決して返せない協定で50年、100年で契約するわけです。

そのうえ、終点駅周辺では、中国の民間デベロッパーが不動産を買い漁って、ビルをたくさん建てる。バブル時に一気に500戸を作ったのです。ところが、コロナ期には中国の不動産バブルはじけたので一斉に撤退したのですね。そしたらいまやゴーストタウン、建設途中の幽霊ビルはあちこちに散在している有様、恐ろしい状況です。

もう一つは、つい最近、アンコールワットって世界遺産になったシェムリアップという街に国際空港ができました、空港がアンコール国際空港ですが、これが滑走路3600メーターもあるわけです。これはやがて中国の大型軍用機が重い機材運んでいて、着陸するためのものと考えられるわけです。

次に、ラオスの事情をみると、内陸国で最も欲しがっていた高速鉄道(日本の新幹線のコピー)を中国は提供。去年、雲南省のコンメイから首都ビエンチャンまで1000キロが開通。8100億円を融資。これも返せるわけがないので、今では、乗っているのは中国人だけという有様。中国による債務の罠にはまることになるわけです。

ことほど左様に、南シナ海問題でフィリピンとベトナムが中国を非難して、例えば東南アジア諸国連合10カ国が共同宣言を出そうとすると、中国に肩入れするとカンボジア、ラオスが反対するわけです。

東南アジア諸国連合では、全員全会一致制なので、全員がイエスでないといけないので、ひとつの国でも反対したらダメとなります。すなわち、確実にカンボジア、ラオスが中国の肩を持つので、ASEANは機能麻痺になります。

日本も北海道から、京都、沖縄まで、更に大事な水源、在留米軍基地周辺も中国資本に買われているのは周知のこと。中国は、不動産バブルがはじけたと言え、お金は確実にあるわけで、お金にものを言わせて買占めを行うわけです。我々でさえ気づいていることに、政府は気づいていないわけないのです。中国に取り込まれた議員の手前、こうした行為に、断固たる手段を講ずることができない、情けない日本政府。

我々もこうした現状に断固たる声を発する時期がきているのでしょう。日本、将来の世代のために!!日本が、以西は、‘東海自治区’などと言われないように警戒心をもって臨みたい。

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