教育代表者より 堀田 都茂樹

バベルは創立から間もなく50周年、翻訳教育、翻訳出版、版権仲介、翻訳・通訳ビジネスと翻訳に関わるあらゆるビジネスを行ってきました。その間、翻訳教育においては、それまでの教育のノウハウの総決算を、米国の連邦政府の認証を受けた大学院として2000年に結実させ、20年を経過しました。米国に翻訳専門職大学院を設立、認証を受ける過程で痛切に感じたのは、世界における‘翻訳’に関する認識の浅さ、詰めの甘さでした。

この点は日本も決して例外ではなく、バベルが月刊誌「翻訳の世界」を1974年に創刊し、翻訳学、翻訳教育、翻訳実務等のビジネス開発をする過程でも、経験則でしか判断しない翻訳の業界の遅れを痛感してきました。

米国、EUの翻訳教育の遅れは、同一言語系で翻訳教育を行うとこによる甘さからくるものと理解しました。バベルはこうした翻訳に対する一般的な認識の中、系列の違う言語間の翻訳の難しさ深く認識し、世界先端の翻訳教育をどのように構築するかを最重要のテーマとして米国翻訳専門職大学院を、開発、運営して参りました。

そこで開発したのは5つのコンピタンシー理論であり、具体的にはそれらの理論のルール化の試みでした。詳細はカリキュラムデザインの項でお話しさせていただきたいと思いますが、その根幹に据えたのは翻訳文法ルール、翻訳の変換ルールでした。このように、バベル50年の翻訳教育の歴史はいわば、経験則からルール化、体系化の歴史であったと言っても過言ではありません。米国に設立した翻訳専門職大学院が発行する修士号を、Master of Science in Translation(欧米で一般的なMaster of Artsではなく)とScienceとしたのはこのことからです。もちろんルールはあくまでもルール、現場ではルールを出ざるを得ないことは頻繁にあるにせよ、効率的、効果的に学ぶための最重要な手がかりとなるわけです。

ことほど左様に、これまでバベルの翻訳教育は翻訳を欧米で一般的である翻訳をARTSとしてとらえるだけでなく、SCIENCEとしてとらえ直し、そのカリキュラムを実証的に開発してきました。

しかし、次の50年、100年計画では、第4次産業革命をも踏まえ、MT(機械翻訳).AIを考慮しつつ、より効率的、効果的な次の次元の翻訳教育システムを開発していきたいと考えています。

また、翻訳を狭い既成の‘翻訳’という概念に閉じ込めることなく、広く異文化間のコミュニケーションとしてとらえ、広く、深く、楽しく、役立つプログラムを提供していきたいと考えております。