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第49回 アメリカ書籍レポート

第 49 回 アメリカ書籍レポート-柴田きえ美

世界の出版事情― 各国のバベル出版リサーチャーより 第 48 回
アメリカ書籍レポート
ユーモア溢れる児童書をご紹介 柴田きえ美(バベル翻訳専門職大学院生)

秋に入り、少しずつではありますが気温が落ち着いてきました。カリフォルニアは、今年、記録的猛暑で、停電が続く厳しい夏となりました。
一方、例年よりは山火事が少なかった印象ですが、それは「もう毎年のことで焼き尽くされてしまっているからだ」とも言われており、水不足も続いています。今年の冬は雨が降ることを期待します。
さて、今月は読書の秋ということで、ユーモア溢れる児童書をご紹介します。これからのホリデーシーズンに向けて、ゆったりした気持ちで読書を楽しみたいですね。

 


Spy School(2012)

著:スチュアート・ギブス
邦訳:なし
シリーズ:1~11(グラフィック・ノベルを含む)
対象年齢:8~12 歳

作品について:
ある日ベン・ライプリーが学校から帰ると、タキシードを着たジェームズ・ボンドのようなスパイがリビングで彼を出迎えた。なんと、CIA のスパイ養成学校に、リクルートされたのだ。中学生なら一度は憧れるであろう秘密の職業、スパイになるべく奮闘するベン。だが実は、彼が選ばれた理由は、「真の裏切り者」をあぶり出す囮としてだったのだ。
癖の強いクラスメイトたちやベンを退学に追い込もうとする黒幕たちに負けず、ベンはスパイ養成学校での憧れの学生生活を面白おかしく過ごすのだ。

著者:
スチュアート・ギブスは、NY タイムズが選ぶベストセラー作家。スパイや探偵が登場するユーモアあふれる作品を得意としており、これまでに 12 歳の天才スパイが活躍する『Charlie Thorne』シリーズ、動物園での事件を調査するユニークな探偵『FunJungle』シリーズなど複数の小学校高学年~中学生向けのシリーズを手掛けている。劇やアニメの制作に携わったほか、世界一大きな齧歯類カピバラの研究もしていたことがある。ロサンゼルス在住。

 


The Friendship Code #1: girls who code(2017)

著:ステイシア・ドイツ
邦訳:プログラミングガールズ! -ルーシーなぞのメッセージを追え
訳:美馬しょうこ
出版社:偕成社(2019)
シリーズ:1~4
対象年齢:8~12 歳

作品について:
コーディングクラブへようこそ。六年生になったルーシーは憧れのコーディングクラブに参加することとなった。ルーシーには、大切なあの人のためにアプリを作るという目標があった。
でも、同じ班になったのは、あまり面識のない子たちばかりで、不安がつのる。そんな中、ルーシーの元に暗号メッセージが届き始める。
ゆっくりと時間をかけて、プログラミングを理解し、友達ともわかり合えるようになる。読みながらプログラミングの基本的思考が身につく書籍です。必須教養となったプログラミングの導入にもおすすめです。

著者:
ステイシア・ドイツは、NY タイムズベストセラー作家で、これまでに 300 タイトル以上を出版している。少女探偵ナンシー・シリーズの一部や映画『ゴーストバスターズ』、『スマーフ』の小説化でも執筆している。カリフォルニア州在住。

 


Leonard (My Life as a Cat) (2021)

著:カーリー・ソロジーク
邦訳:なし

作品について:
私は、猫。名前はまだない。・・・と著名な日本の書籍を彷彿とさせる作品ですが、その正体は、不老不死の宇宙生物なのです。オリーブが大洪水から救った猫は、宇宙からやってきた宇宙人(?)だった。本当は人間の格好で地球を訪れる予定だったのだが、手違いで猫になってしまった。レナードと名付けられ、オリーブと暮らし始める。さて、故郷の星に帰るには、今いるサウスカロライナからイエローストーン国立公園まで、どうにかして移動しなくてはならない。どうしたものか…。一方、飼い主となったオリーブは、夏休み明けに親の都合で引っ越しをしなければならないかもしれないと思い悩んでいた。一緒に暮らし、複雑だが美しい人間の営みを知ったレナードは、故郷へ帰ることの意味を再確認することとなる。*本書は 2020 年に「My Life as a Cat」として出版された書籍の再出版です。
著者:
カーリー・ソロジークは、ジョージア在住で、小学校高学年~中学生向けの児童書を得意とする作家。動物を擬人化した、コミカルな作風。2019 年に出版した『I, Cosmo』でも、心温まるゴールデンレトリバーが主人公兼ナレーターの物語を綴っている。

 


Owl Diaries #1: Eva's Treetop Festival (2015)

著:レベッカ・エリオット
邦訳:なし
シリーズ:1~16
対象年齢:5~7 歳

作品について:
低学年向けのチャプターブック。かわいらしいイラストが全ページに挿入されていて、低学年でも自力で読んでみようと思える作り。フクロウのエバの日記という体裁で作られており、物語の展開もテンポ良く読みやすい。学校で開催されるスプリングフェスティバルの委員となったエバ。やることがたくさんありすぎて、大慌て。果たして当日までに準備は整うのか?乞うご期待!
著者:
レベッカ・エリオットは 6 歳の時にアーティストと作家になりたい、と宣言していた。紆余曲折、遠回りはしたものの、2001 年に児童書のイラストレーターとしてデビュー後は、本シリーズを含む 30 作品以上を出版し、各種文学賞も受賞している。執筆の合間に Podcast を投稿したり、バンド演奏をしたりアーティストとしての自身の才能を満喫している。

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