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第50回 カナダ書籍レポート

第 50 回 世界の出版事情 -クリーバー海老原 章子

世界の出版事情― 各国のバベル出版リサーチャーより 第 48 回
カナダ書籍レポート
女子ラグビー・ワールドカップで沸くカナダ ラグビーに関連する書籍 パート 2 クリーバー海老原 章子 (翻訳者、バベル翻訳専門職大学院修了)

今年 10 月、COVID-19 の影響で延期になっていたラグビー・ワールドカップ女子大会がニュ ージーランドで開催されました。ラグビーには選手 7 人制と 15 人制の試合の形式があります が、このワールドカップは 15 人制。4 つの代表チームの組み合わせから成る 4 つのグループ (A~D)を決定し、各グループの上位 2 チームがベスト 8 として準々決勝に進んでいくリーグ 戦です。今回、日本とカナダも出場を果たし、両国は同じ B グループでの組み合わせとなりま した。カナダはベスト 8 入りし、準々決勝でアメリカを破りベスト 4 に進みましたが、準決勝 で 26-19 の接戦でイングランドに敗れ、惜しくも決勝進出を逃しました。しかし、強豪国イン グランドをここまで追い込み、最後まであきらめない精神を見せつけたカナダ女子チーム、カ ナダでは大きな話題となっています。ラグビーの強豪といわれる国は、プロのラグビー選手と して活躍するアスリートたちを選抜し、ワールドカップに向けた調整を行ってきましたが、カ ナダ女子チームは、ラグビーに専念する、いわゆる「プロ」集団とは異なり、今回のワールド カップでは「アマチュア」サイドのチームという表現をされていました。つまり、お子さんが いるママさん選手や、通常は会社勤めをするキャリアウーマンが、このワールドカップ出場を 目指し、努力をしてきたわけなのです。トレーニングキャンプが始まれば、休職したり(また は退職したり)、パートナーや子どもと離れた生活をしたりしてきたはずです。そんな心身と もにたくましく、そして明るい彼女たちを応援したいというサポーターやファンは、ますます 増えています。また、女子ラグビーの人気はさらに高まっています。

今回は、前回に加えラグビー関連の絵本をご紹介します。その前に、ラグビーの歴史につい て少し触れされていただきたいと思います。

ラグビーの発祥の地はイギリスで、かつて「フットボール」というスポーツが広く行われて いました。当初、このフットボールには統一されたルールがなく、街や学校ごとにそれぞれ独 自のルールを作ってゲームをしていました。そのように異なるフットボールの中でラグビーの 原型といわれているのが、「ゲームの最中に、ある少年が突如ボールを持って走り出した」と いう説です。ただし、それが実話であるかどうかという証拠は残っていません。かつてはレフ リーも存在せず、キャプテン同士が話し合って決めたルールに基づいてプレーしていました。

ラグビーでは、ルールは「守らなかったら罰せられる」というよりは、「ゲームを進める上 で重要なものであり、自ら遵守する規則」ととらえる文化があり、試合の解説などでよく 「Discipline」という言葉がよく使われるのは、そのためかもしれません。防具を付けずに激 しく体をぶつけ合う中で規律を守り、正々堂々と競い合うことに、ラグビープレーヤーは昔か ら誇りを持っていました。それが、ラグビーが「紳士のスポーツ」といわれる由来です。ま た、ラグビープレーヤーには激しい肉体的負荷がかかると同時に、頭脳が求められます。ラグ ビーは、知性と技術と体力を兼ね備えた人材を育むにも適したスポーツであるといわれています。

カナダだけに限られることではありませんが、カナダには実にたくさんのプログラム、リー グやチームが存在し、さまざまなレベルでラグビーが楽しめます。小学生向けの「Rookie Rugby」、高校や大学リーグ、社会人リーグ、地域のクラブチーム、さらには 40 歳以上のベテ ランチーム、そして国を代表するナショナルチームなど、があります。我が家は、夫、息子、 娘がラグビーをしていますので、さまざまな出会いがあるのですが、これまでにお会いした中 で 75 歳でプレーされている方もいらっしゃいました。男女を問わず、年齢を問わず、幅広く愛 されるのもラグビーの魅力かもしれません。

 


Spy School(2012)

Mr. Men Little Miss – The Rugby Match (2015 年)
著:ロジャー・ハーグリーヴス

作品について:
ミスター・ストロングのラグビーチームの大きな試合が目前に迫っています。チームには、 独りよがりで目立ちたがり屋のミスター・グリーディ、タックルが得意なミスター・ティック ル、チーム最速のミスター・ラッシュが揃っています。しかし、忘れっぽいミスター・フォー ゲットフルと、臆病者のミスター・ジェリーもいます。ミスター・ストロングのチームは、試合に勝つことができるでしょうか?

著者:
ロジャー・ハーグリーヴス 『Mr. Men』と『Little Miss』のシリーズで知られる英国出身の絵本作家・イラストレーター。 シンプルでユーモア溢れるストーリーと、鮮明な色使いのイラストが特徴で、世界20カ国以上の 言語で出版されています。

 


The Friendship Code #1: girls who code(2017)

My First Rugby Book(2022 年) 著:カート・ウォン

作品について:
動物のキャラクターを使ったラグビー絵本。A-Z をラグビー用語で解説し、ラグビーの基礎 が学べます。リズミカルでお子さまへの読み聞かせに最適です。

著者:
カート・ウォン 大のラグビーファンの南アフリカ生まれのウォン氏は、息子に読み聞かせるラグビー関連の 絵本がないことに気づき、それならば自ら出版しよう、と出来上がったのが、この『My First Rugby Book』。現在、英国在住の同氏は、中小企業を支援するビジネスコンサルタントとして も活躍しています。

 


【プロフィール】 クリーバー海老原 章子 バベル翻訳大学院法律翻訳修了。結婚後は夫の仕事の関係でマレーシア、トロント、 アラブ首長国連邦に居住。現在は、カナダ BC 州のナナイモに一家 5 人暮らし。これまでに担当 した書籍翻訳は 4 冊。『アラブの奥さんは今日も命がけ: 恋愛、結婚、育児、そして……』が 出版されました。

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