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2024/10/7

作家志望者がリテラリーエージェントを活用する方法

前回はアメリカのリテラリーエージェントの役割などをご紹介しましたが、今回は、アメリカで出版を目指して実際にリテラリーエージェントを利用する際の心構えや注意点、エージェントの選び方など、具体的な方法についてお話しします。

エージェントにアプローチする前にまずしなければならないことは、当然ではありますが、プロフェッショナルな原稿を準備することです。誤字脱字がないことはもちろん、推敲を重ね、原稿を可能な限り完璧な状態に仕上げます。さらに、この時点でシノプシスも作成しておくとよいでしょう。

作品とシノプシスの準備ができたら、エージェントの選定にかかります。作家は自分のジャンルやスタイルに合ったエージェントを選ぶ必要があるので、各エージェントの専門分野、過去の成功事例、取り扱っている作家の特徴などを調査し、自分の作品と相性が良いかを評価します。これらの情報は、リテラリーエージェンシーのウェブサイトに掲載されている個々のエージェントのプロフィールや SNS から得ることができます。そうは言っても、数多くのエージェントを全て調査することは不可能です。そこで、自分の作品と同じジャンルで気に入っている本があれば、その本の出版に関わったエージェントが誰かを確認し(書籍の謝辞の部分に名前が記載されていることが多いです)、そのエージェントについて調べてみるのもいいかもしれません。また、取り扱っているジャンルなどからエージェントを検索できるサービスもあるので、それらを上手に活用して候補となるエージェントを絞り込むのも一つの手です。そのようなサービスには、例えば下記のものがあります。

QueryTracker
https://querytracker.net/

Publishers Marketplace
https://www.publishersmarketplace.com/

自分の作品に適していると思われるエージェントを選別したら、それらのエージェントとコンタクトを取ります。作品の提出方法については、エージェントごとに異なるガイドラインが設定されているので、そのガイドラインに従って、フォームの記載、クエリレターの送付、シノプシスの提出などをおこないます。どのエージェントも多忙であることを念頭に、必要事項を簡潔に伝える必要があります。このとき、複数のエージェントに対して同時に提案したほうが時間の節約になります。ただし、同じレターをただコピーして複数のエージェントに送るのではなく、それぞれのエージェントが求めるものが何なのかを知った上で、個別にレターを作成するなどの対応が必要となることは言うまでもありません。

最初の提案に対して複数のエージェントから反応があった場合、フィードバックの質やコミュニケーションのとりやすさ、契約の条件や透明性などからそれぞれのエージェントを評価し、最終的に作品を任せたいと思えるエージェントを選定します。エージェントとの関係は一過性のものではなく、長期にわたるパートナーシップです。慎重にリサーチすることは必須ですが、人と人との関係なので、最終的には相性が良いという感覚も大事です。そのようにして見つけたエージェントとは、常にオープンなコミュニケーションを保ち、共に成長していくことが成功への鍵となります。

アメリカでは、作家にとって、リテラリーエージェントの効果的な活用は、商業的成功の鍵となります。この強力なサポートシステムをよく理解し、最大限に活用することが、アメリカでの作家としてのキャリアを加速させるための重要なステップとなるでしょう。

<ライタープロフィール>

荒木智子(あらき・さとこ)
立命館大学英米文学専攻卒業。バベル翻訳専門職大学院法律翻訳専攻修士課程修了。
特許翻訳歴約 10 年。心も体も健康に 150歳まで生きるのが目標。完全菜食主義で、野菜は自然農で自給を目指す。自然の美に感動しながら田舎で楽しく暮らしています。

 

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