新着情報
第58回 ハワイ書籍レポート

第58 回 世界の出版事情 -ハワイ書籍レポート-マリ・ピンダー

-8月- ハワイ書籍レポート アロハシャツの歴史を紐解く マリ・ピンダー (バベル翻訳専門職大学院在学中)

ハワイに行ったことがない人でも、「アロハシャツ」は知っているのではないでしょうか。ハイビスカスの花やココナツの木、ダイヤモンドヘッドなどがプリントされた派手なシャツ、というイメージが多いかと思います。カジュアルな場面での着用を想像するかもしれませんが、ハワイではオフィスや結婚式などフォーマルな場面でも着られています。1930 年代から 1950 年代がアロハシャツの黄金時代と呼ばれ、たくさんのシャツメーカーやブランドが生まれました。
では一体このアロハシャツは、いつどのように生まれたのでしょうか。結論から言うと、その起源は諸説ありますが、実は日本もアロハシャツの成り立ちに一役買っているのです。サトウキビ畑で働いていた日本人移民たちは、日本から持ち込んだ着物や浴衣を使って作業着を作っていました。着物の生地やデザインを使ったアロハシャツが作られたため、初期には富士山や葛飾北斎の波が描かれたものが多く見られます。やがて富士山の代わりにダイヤモンドヘッドが、北斎の波の代わりにワイキキの波が描かれるようになったわけです。
日本ともかかわりの深いアロハシャツの、壮大な歴史をまとめた本を紹介します。

 


THE Aloha SHIRT (2016)

著者:デール・ホープ
出版社: Patagonia Books
邦訳:なし

 

あらすじ :
サーファーなら誰もがその名を知っているジェリー・ロペスの寄稿文から始まる本書は、アロハシャツのすべてを網羅していると言っても過言ではありません。キャプテン・クックがハワイ諸島を発見した当時の人々の服装から、どのような変遷をたどってきたか、写真をふんだんに使いながら説明しています。シャツメーカー、デザイナー、生地、デザイン、小売店など、考えうるすべての切り口からアロハシャツについて語られています。ハワイの日常に溶け込んでいるものですが、黄金時代を生きた人々へのインタビューによって明かされる歴史を知ると、ますます愛着がわくのではないでしょうか。

作品および作者について :
「ミスター・アロハシャツ」と呼ばれるデール・ホープは、ホノルル生まれ育ちのアロハシャツ研究家です。両親が経営していた縫製工場を幼少の頃から手伝い、たくさんの生地に囲まれて育ちました。名門プナホウ・スクールを卒業後、本格的に事業に参画するようになり、やがて引き継ぎました。『カハラ』のオーナーや『パタゴニア』のディレクターを経て、現在は『ウェスタンアロハ』のディレクターの他、日本の『ビームス』とコラボレーションしたアロハシャツを毎年発表し
ています。

 

0
おすすめの記事