
WEB TPT 2026年11月7日 402号 巻頭言 古典の問いを、現代と世界へ
バベル ・グループ代 表 堀田都茂樹
日本神話を、私たちは自分の言葉で世界に語れるだろうか。神話の価値は、描かれた出来事が史実と証明されるかどうかだけでは決まらない。そこには、人々が自然を畏れ、生と死を見つめ、共同体の成り立ちを考えてきた思索が息づいている。
大切なのは、文化への敬意と、史実を確かめる姿勢をともに持つことだ。物語として読み取れる意味と、歴史的に確認できる事柄を区別してこそ、次の世代にも世界にも、誠実に伝えられる。
バベルが始めている「古典核新訳」事業も、この課題に向き合う営みである。古典の核となる問いや思想を読み解き、現代の読者に届く言葉で訳し直す。さらに、異なる文化の人々と対話できる形へと開いていく。
そのためには、原典に何が書かれ、どこからが解釈なのかを明らかにする編集が欠かせない。翻訳とは、過去の言葉を置き換えるだけの仕事ではない。受け継がれた知を吟味し、未来へ手渡す仕事なのである。
























