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「JTA News & Topics 」 第188回
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今回は、2024年3月15日に実施しました「字幕翻訳者になるためのガイド」セミナー(主催:バベルユニバーシティ、後援:一般社団法人 日本翻訳協会)受講者の吉田ひろみさんよりセミナーレポートを投稿いただきましたので掲載をしています。
情報提供:一般社団法人 日本翻訳協会 (Japan Translation Association 略してJTA)            https://www.jta-net.or.jp/ 
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           「字幕翻訳者になるためのガイド」セミナー 
    ― 夢をかなえるために知っておきたいこと、やっておきたいこと ―

●レポーター :吉田 ひろみ
バベル翻訳専門職大学院在籍中
米国ハワイ州在住。国際企業でフルタイム勤務の傍ら、子育てと学業の両立に奔走中。

今回、今までにないタイプのセミナーということに心惹かれ、伊藤講師の字幕翻訳者になるためのガイドセミナーへ参加させて頂きました。業界裏話を含め、全く異なる分野のお話がおもしろく、業界経験者の方からの質問も殺到し、あっという間の1時間半でした。未経験者の私にとって印象的だったことは、 (法律翻訳などの方がルールに縛られているというイメージでしたが) 映像翻訳にも独特なルールがあり、字幕翻訳ツールを使って作業をする(型にはめる)という事も意外でした。頭に残らない字幕、「あれっ、今の何だったっけ?」と具体的に思い出せないのがいい訳だという事が印象的でした。講師のご経験から、最もスキルアップしたお仕事は、リライト(書き写し)作業であったこと、写経がよいというお話や、段落、語尾を使ってどんな風にリズムを作っているのか、字幕を繋げる工夫を意識する、字幕ストックを作っておく、吹き出しに入れる簡潔な言葉、英文法のおさらい、翻訳制作会社への応募の仕方とコツ、履歴書や経歴書作成、お仕事探しの際のチェックポイント、翻訳作業は孤独なデスクワークの為、健康管理やネットワーク作りも大切という現場からのリアルなアドバイスは参考になりました。
大好きな映画や作品に携われること、制限があるからこそ、パズルのようにはまったときの快感がやめられない、平和に貢献でき、文化の架け橋になれるという翻訳者としての意義と信念、字幕翻訳のバイブルの様な素晴らしいセミナーでした。

伊藤史織講師のご紹介
英日映像字幕-出版翻訳者
2007年にバベル翻訳大学院を修了後、出阪映像をメインとしたフリーランス翻訳者として活動を開始。教職のため5年間離職するが、さらにその経験を生かして再び翻訳業に専念、
(通算11年半).
*他の翻訳との違い
音と映像があるメリット:映像が読解の助けになる。映像で分かることは省ける。デメリット:音と映像(演技も)と合わなければならない。表示される時間が限られる。視覚的な読みやすさ一「頭に残らない字幕」
独自のルール文字数(1秒4文字) /文字幅(13~14字) /行(2行)漢字表配、(「朝日新聞の用語の手引」「NHK漢字表配辞典」)記号の使い方スポッティング作業→宇幕の区切りを作る字幕作成ツールを使う
SST G1、Babel、 srt用ツール、配信会社独自ツール列) Subtitle Edit
*字幕翻訳にはどんな仕事がある?エンタメ系(娯楽目的)
ジャンル:ストーリーもの(映画、ドラマ)、ドキュメンタリー、リアリティーショー、バラエティ番組
(ニュース)、劇場公開、映画祭出展、TV放送、ネット配信。 DVD/BD (特典映像も)内容:
(英日)英語の映像音声やスクリプトから翻訳し、日本語の字幕を作成する。重訳、字幕リライト、字幕移植、CC (聴覚障害のある方) エンタメ系と産業系の達い
読みやすさ、ストーリーの流れ重視、「意識せず読め、ストーリーを楽しめること」文字数-文字幅等のルール、表現が大切、ジャンルが幅広い、
*産業系
「情報が間違いなく伝わること」ルールより情報重視、専門用語の調査力が大切近年の傾向
エンタメ系:映像配信サイトの登場で増加傾向。重訳も増える。
産業系:コロナ禍でウェビナーが増え、増加傾向。それまで映像を扱っていなかった翻訳会社でも案件が増える。
*どうやって勉強すればいいか?
翻訳学校で字幕翻訳について学ぶ
字幕特有のルール、コツ、字幕作成ツールの使い方(主にSST G1) 関連書籍が少ない
未経験の場合は学習歴が重要
(例外)翻訳-制作会社で経験を積む、さらに自主学習でスキルアッブ
いい宇幕に触れる、字幕を意識して映像を観る(自分の字幕と比較、写経)改行、記号、語尾(訳し分け、リズム)、人称、つながり表現のストック
いい文章に触れる(日本語の引き出し)
翻訳会社に応募する方法とコツ
字幕翻訳の仕事自体は、ほぼ翻訳-制作(配給)会社経由
翻訳-制作会社に応募する、翻訳-制作会社の講座を受けてトライアル受験、スカウトを待つ、紹介してもらう、コンテストなどに応募する。
関連雑誌等で会社を探す(会社HP、アメリア、翻訳ディレクトリなど)
(どんなジャンルや作品を扱っているか、翻訳者を募集しているかチェック)
履歴書一特技-趣味を充実させて、強みをアピール。経験がない場合は資格や学習歴も大きな要素。
経歴書一産業系は守秘義務あり、ジャンルや作業内容のみ。エンタメ系は作品名を出していいか確認が必要、ジャンル別にするなど見やすい工夫。
受験時に気を付けたいこと
ルール順守、申し送り(調べたことは丁寧に、翻訳意図が伝わるように)翻訳ボイントを意識(会社側が何を見ようとしているか)
確認しておきたいこと、支払いサイクルや請求方法、会社のサイトや登記情報(海外では
Prozでの評価)翻訳料金の単価(案件によって異なる)
応募に踏み切るタイミング
ある程度、学習を終えたら応募を考える。実際に仕事をすることでスキルアップしていく(トライアルに合格し、仕事を依頼していただけるということは、それだけの力があるということ)、応募ベースは、焦りすきず、様子を見ながら(仕事がかぶりすぎないよう)再受験には期間を空ける必要がある、不合格なら何の学習が必要かも検討。
継続して仕事をもらうために、作業の効率化(辞書ツール単語帳活用、スボッティングスピード)、メール対応の早さ、カレンダー公開、期間の空いた会社への連絡等が必要。

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●●セミナーのご案内●●

*ZOOM(オンライン)で受講できます。        
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        ●ZOOM オンラインセミナー●
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      「ノンフィクション・ライティングのノウハウ」セミナー

      ― 概要篇 ―

 翻訳を通して得られるものは何も翻訳力だけではありません。書面言語をインプットし、別の言語へ変換してアウトプットすることを繰り返せば、読む力、書く力のほか、リサーチを通して、コンテンツに関連する知識も豊富になります。
そこで、アフター翻訳のひとつの可能性として、ノンフィクション・ライティングをおすすめします。
 本セミナーでは、翻訳から得ることができる知識とスキルを踏み台にして、みなさんに第二、第三のキャリアを目指していただくため、ノンフィクション・ライティングのノウハウをご紹介していきます。
話しを聞いているだけでは退屈でしょうから、Zoomブレイクアウトルームを使ってグループで意見交換をしたり、Googleドライブを使って実際に書いてもらったりすることも考えています。ぜひ、積極的なご参加を期待しております。

<セミナー目次(内容)>
1.はじめに
2.翻訳者とキャリアアップ
3.ノンフィクション・ライティングのノウハウ
4.テーマ、ターゲットを設定する
5.リバースサマライゼーションとは
6.縦に膨らませる テーマとサブテーマ
7.横に膨らませる 改行とパラグラフ
8.奥に膨らませる サンプルとストーリー
9.発表と提案
10.おわりに

●講師:小坂 貴志 (こさか たかし)

 ・東京国際大学教授
 ・バベル翻訳専門職大学院(USA)教授/第2専攻(金融・IR)ディーン
 ・デンバー大学コミュニケーション研究科修士課程修了、
  博士課程単位取得修了満期退学。
 ・青山学院大学文学部卒業後、日本アイ・ビー・エム株式会社、
  モントレー国際大学大学院、立教大学、神田外語大学などを
経て、現在に至る。

●セミナー日程: 2024年11月14日(木) 15時~16時30分(日本時間) 
●申込締切 :2024年11月11日(月)(日本時間)

◆セミナーの詳細・お申込みはこちらまで↓
https://www.jta-net.or.jp/seminar_241114.html

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「理解するための翻訳と鑑賞するための翻訳」セミナー

   ― 戯曲の翻訳と上演用の台本作成を通じて ―

 ロシア語の戯曲(『とても簡単な物語』)を翻訳しそれが上演された。上演に際してできあがった翻訳をもとに読み合わせ、立ち稽古などから参加し、役者や演出家からの疑問や意見を聞きながら翻訳を見直し、上演台本を作成していった。その課程で「原文を理解するための翻訳」と「上演(鑑賞)するための翻訳」の違いを強く感じた。今回は戯曲の翻訳であったが、いわゆる文学作品の翻訳においてもこのことは同様であるように感じられる。日本文学のロシア語への翻訳は基本的に「鑑賞するための翻訳」になっているが、それに対する批判の多くが「原文を理解するための翻訳」の立場からなされていることによる齟齬が多いように感じられる。これは英語への翻訳などでも同様であり、又逆に外国文学の日本語への翻訳においても同様に思われる。
今回のセミナーでは、今回仮に「原文を理解するための翻訳」と「上演(鑑賞)するための翻訳」と名付け翻訳の違いをまず考察の対象とし、そして外国の文学作品の翻訳が翻訳された国で文学作品として成立する翻訳になるためにはどのような観点で翻訳することが必要なのかについてアプローチするためのきっかけを示せたらと考えている。

<セミナー目次(内容)>
1.『とても簡単な物語』の翻訳から台本制作にかけての見直しを通じて、
  「理解するための翻訳」と「鑑賞するための翻訳」の違いについて。
2.上記の観点から文学作品の翻訳とそれに対する批判を観察した場合、
  文学作品の翻訳における「原文を理解する・原文に忠実」ということと、
  翻訳先の言語で「鑑賞できる文学作品」になることの相違点。
3.外国の文学作品の翻訳が翻訳された国で文学として成り立つ翻訳になる
  というのがどういうことでそのために翻訳(者)に必要なのはどういう
ことなのかについての手がかり。

●講師:猪塚 元 (いのづか はじめ)

 ・上智大学外国語学部ロシア語学科卒業、
  同大学大学院言語学研究科 博士前期課程修了 文学修士
 ・日本語教育能力検定試験 合格 
 ・東邦大学等で講師  大学院では音声学の研究室に所属し10年ほど日本
  各地で方言のフィールドワークに従事
  大学院終了語、辞書出版社で露和・和露、英和・英英などの辞書の編纂
  また情報処理振興事業協会でコンピュータ用日本語辞書のプロジェクトに
  従事。

 著書
 (共著:猪塚恵美子)『日本語の音声入門 新版』2022バベルプレス
 (共著:猪塚恵美子)『日本語音声学の仕組み』2003研究社
 (共著:井口厚夫他)『Japanese Now(英文)』1993荒竹出版
 『キクタン ロシア語 入門編』2014アルク
 (共著 原ダリア)『キクタン ロシア語 会話編』2017アルク
 (共著 原ダリア)『キクタン ロシア語 初級編』2019アルク
 

●セミナー日程: 2024年11月22日(金)15時~17時(日本時間) 
  <途中10分ほどの休憩が入る場合がございます>
●申込締切 : 2024年11月19日(火)(日本時間)

◆セミナーの詳細・お申込みはこちらまで↓
https://www.jta-net.or.jp/seminar_241122.html
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●●翻訳試験のご案内●●

*試験は全てインターネット受験ですからご自宅での受験となります。

●●実施日:2023年10月19日(土)(日本時間)
●●締切:2023年10月15日(火)(日本時間)

◆《出版翻訳能力検定試験》
1)第44回 ヤングアダルト・児童書翻訳能力検定試験(英日)
2)第43回 エンターテインメント小説翻訳能力検定試験(英日)
https://www.jta-net.or.jp/about_publication_exam.html

◆《ビジネス翻訳能力検定試験》
1) 第5回〔英日〕IR・金融翻訳能力検定試験
2) 第5回〔英日〕特許翻訳能力検定試験
https://www.jta-net.or.jp/about_business_exam-2.html

◆第39回 翻訳プロジェクト・マネージャー資格上級試験
https://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm_2.html

◆第41回 フランス語翻訳能力検定試験ノンフィクション分野 (仏日)
https://www.jta-net.or.jp/about_french_translation_exam.html

◆第41回 ドイツ語翻訳能力検定試験ノンフィクション分野 (独日)
https://www.jta-net.or.jp/about_german_translation_exam.html

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情報提供 : 一般社団法人 日本翻訳協会 (Japan Translation Association 略してJTA)

●一般社団法人 日本翻訳協会● https://www.jta-net.or.jp/ 
・設立:1986年10月
・Mission:「翻訳に対する社会の認識を高めること及び翻訳に関する技術及び知識を増進することによって翻訳の水準を高めること並びに翻訳者を支援してその自立を促進することを通じて、世界の文化交流及び産業経済の発展に寄与することを目的とする。」
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