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東アジア・ニュースレター

海外メディアからみた東アジアと日本

第160 回

前田 高昭 : 金融 翻訳 ジャーナリスト
バベル翻訳専門職大学院 国際金融翻訳(英日)講座 教授

中国関係では、有力格付会社のフィッチ・レーティングスが中国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。理由として、不安定な経済、長引く不動産不況、財政赤字の増加によって財政が圧迫されていることを挙げる。フィッチはまた中国政府の不動産主導の成長モデルの転換に懸念を表明する。

台湾東部をマグニチュード7.4の地震が襲ったが、被害は比較的軽微であった。メディアは、台湾はなぜ大地震に備えられたのかと問題提起し、それは台湾が数10年にもわたって災害から学び、建築法を強化し、国民の意識を高めてきたためではないかと伝える。同じく地震大国の日本は台湾から学べるところが多々あると思われる。

韓国の総選挙で与党が大敗した。インフレや民主主義の後退兆候など国内問題が焦点となったことが背景にある。野党の左派連合は5分の3以上の議席を確保し、法案の早急な成立や尹大統領の国内政策阻止が可能となった。国内問題で政治的な行き詰まりが長引けば、尹氏の外交政策にもリスクが生じるとメディアは警告する。

北朝鮮の行動を定期的に報告してきた国連の専門家パネルの延長案をロシアが拒否権を発動して葬った。メディアは、ロシアが世界最悪の体制と共闘する、ならず者国家へと変貌したとして非難すると共に、北朝鮮を核兵器やミサイル技術でも支援する可能性に懸念を示し、北朝鮮に対処する新たな効果的戦略を打ち出すよう提言する。

東南アジア関係では、シンガポールが多くの高成長スタートアップを引き付けている。メディアは、シンガポールの優位性として、貿易中継地として栄えてき東南アジアでの戦略的立地、政府の支援政策、強力な法的枠組み、地元と外国人労働者の混在などを指摘し、最近における最大の課題として事業運営コストの上昇を挙げる。

インドの通貨ルピーは、グローバル化に向けた礎石が築かれつつあるとメディアが報じる。ただし日本や中国の例を挙げ、国際通貨化には痛みを伴う国内改革が欠かせないと警告する。日本の場合、米国からの外圧が円の国際化につながったが、インドにはそうした外圧がみられず、内部からの改革意欲が必要だと指摘する。

主要紙社説・論説欄では、日銀の大規模緩和政策からの離脱に関する論調を取り上げた。肯定的な評価と誤った政策の修正に過ぎないとの見方が対立している。

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北東アジア

中 国

☆ フィッチ、中国格付け見通しを引き下げ

410日、ロンドンとニューヨークに本拠を置く世界的な信用格付会社フィッチ・レーティングス(以下、フィッチ)は、財政逼迫で中国の格付け見通しを「安定的」から信用度が下がる可能性がある「ネガティブ」に引き下げた。11日付ウォ-ル・ストリート・ジャーナルは、この変更についてフィッチは中国の財政に対するリスクの高まりを反映したものと説明していると概略以下のように伝える。

中国の財政は、不安定な経済、長引く不動産不況、財政赤字の増加によって圧迫されている。フィッチは、格付け見通しの変更は不透明な経済見通しの結果、財政に対するリスクが高まっていることを反映していると述べている。中国経済は数年にわたる不動産不況により、数十の企業を破綻寸前に追い込み、住宅価格の急落を招き、消費者心理に深刻なダメージを与えている。中国財政部(日本の財務省に相当)は、フィッチの決定には「失望した」と述べ、経済成長を促進する中国政府の試みの財政的利点が反映されていないと主張している。今回のフィッチの動きはムーディーズ・インベスターズ・サービスによる12月の同様の変更に続くものだ。ニューヨークを拠点とするムーディーズは、長期格付け「A1」を維持したものの、見通しを安定的からネガティブに変更した。これは中国国内での批判を招いた。

フィッチとムーディーズの決定は、金融市場全体のエコノミストが直面している難問を端的に示している。不調な中国経済にどう対処するかという問題である。中国経済は昨年、公式には5.2%成長し、多くのエコノミストの予想を上回り、中国政府は目標を達成した。また2023年の不安定な時期を経て、今年は製造業の活動、インフレ、輸出において改善の兆しをみせている。しかし中国政府は奥深い問題にも直面している。財政は、不安定な経済、長引く不動産不況、財政赤字の増加によって圧迫されている。エコノミストたちは、そのうちの幾つかは中央政府による協調的な刺激策を必要とする可能性があると指摘している。不動産不況は、数年にわたる販売減と住宅価格の下落にもかかわらず、今年はほとんど改善の兆しをみせていない。現在、中国最大のデベロッパー100社による新築住宅販売は過去最低水準にある。中国の最発展都市における2月の中古住宅価格は前年同月比で6.3%下落し、政府が2011年にデータを公表し始めて以来最悪の下落率となった。

中国の地方政府は山積する負債に直面しており、その隠れた(簿外)負債は11兆ドルに達すると指摘するアナリストもいる。長年、土地売却は地方政府にとって安定した収入源であり、他部門の資金不足分を補っていたため不動産不況によって地方政府は圧迫されたのである。また地方政府は、融資平台のような資金調達機関を使って簿外で資金を調達できていたので痛みはいっそう大きくなった。この地方政府の債務問題によって、中央政府は経済成長のための資金調達でより大きな役割を担わざるを得なくなった。3月に今年1,390億ドルの超長期特別国債を発行すると発表し、かつては危機管理手段であった国債を通常の資金源に変えた。中央政府はまた、地方政府向けの「特別借り換え債」を承認し、銀行が地方政府に融資するよう奨励している。

しかし、それだけでは不十分かもしれない。フィッチは、地方政府の資金調達機関の債務問題は漸進的に管理するという中央政府のアプローチはしばらくの間リスクが残り、財政資源を消耗しそうなことを意味すると指摘する。政府債務のGDP比率は、2023年の56.1%から今年末には61.3%に達するとみている。フィッチはまた、財政赤字の国内総生産に対する比率は、昨年の5.8%から2024年に7.1%になると予測している。格付会社によると、格付けが「A」の国の中央値は3%だという。中国人民銀行は経済成長を促進するために金利を引き下げ、米国と中国の国債利回りの差を広げている。米国はムーディーズから「Aaa」、フィッチとS&Pグローバル・レーティングスから「AA+」の格付けを受けている。フィッチは昨年、債務上限をめぐる米国政府内の対立が長期化したため、米国を格下げした。

以上のように記事は、財政は不安定な経済、長引く不動産不況、財政赤字の増加によって圧迫されているとして格付け見通しを引き下げた。同じく11日付フィナンシャル・タイムズもフィッチが中国経済の見通しが不確実で財政見通しに対するリスクが高まっていることを理由に格付けのアウトルックを「ネガティブ」に引き下げたと伝える記事で、フィッチは中国政府の不動産主導の成長モデルの転換に懸念を表明していると概略以下のように報じる。

10日、フィッチ・レーティングスは不動産主導の成長モデルからの移行に伴う経済の先行き不確実性を理由に長期信用格付けの見通しを「ネガティブ」に引き下げた。フィッチは格付けを「A+」に据え置いたが、これは12月にライバルのムーディーズ・レーティングスが行った同様の見通し格下げに続くものである。「不動産に依存した成長から、より持続可能な成長モデルへの移行が進むなか、中国の財政見通しに対するリスクが高まっている。ここ数年の大幅な財政赤字と政府債務の増加は、格付けの観点からは財政のバッファーを侵食している」と付け加えた。

中国財政部は格下げに反撃した。フィッチの格付けシステムは「経済成長促進における財政政策の積極的な役割を有効に予測できなかった」と財政部は述べる。とはいえ、中央政府は、パンデミック後の経済成長を押し上げるのに苦労している。長引く不動産危機、多額の地方政府債務、海外からの直接投資の減少など、複数の経済的課題に対処している。ここ数ヶ月、中央政府は製造業とハイテク部門に資源を振り向けている。また負債を抱える地方政府の支出を抑制しようとしている。地方政府は伝統的に土地の売却収入に頼ってきた。

中国は経済成長率目標を昨年と同じ過去数十年で最低の5%に設定しているが、アナリストは国内消費の増加と信頼感の回復がなければ達成は難しいとみている。フィッチは、不動産セクターの低迷と家計消費の停滞を理由に2024年のGDP成長率は4.5%まで鈍化すると予想した。これに対し中央政府は、5%の成長目標は「期待、現実、発展の必要性に沿ったものだ」と主張する。経済の長期的な良好なファンダメンタルズは変わっておらず、中国の良好なソブリン信用を維持する能力と決意も変わっていない」と述べる。

さらに中国財政部は、債務はコントロールされており、地方政府の簿外債務も減少していると発表している。習近平国家主席は中国に対する投資家の信頼を回復するため、外国人経営者とのハイレベル会談を行うなど、微笑外交を仕掛けている。今回の格下げは、ジャネット・イエレン米財務長官が一週間にわたって中国を訪問し、中国の過剰生産能力が世界貿易に及ぼす潜在的な影響について懸念を表明したことを受けたものだ。

以上のように、フィッチは格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げ、今後12年間のうちに格付け自体を引き下げる可能性を明確にした。フィッチに先立って、ムーディーズ・インベスターズ・サービスも昨年12月に格付け見通しを「ネガティブ」としていた。ただし、S&Pグローバルは問い合わせに対し、「当社は6月に中国の長期格付け『A+』を据え置き、見通しは安定的としており、以降変更はない」と回答しているとロイター通信は報じる。今後の問題として注目されるのは、地方政府の累積債務問題であろう。最終的には中央政府が何らかの形で解決に動かざるを得なくなるとみられ、事実、中央政府は特別国債の発行などの措置を一部実行に移している。こうした地方、中央の両政府に積み上がる債務が財政を圧迫していく可能性が高まっている。

台 湾

☆ 大地震に備えていた台湾

 43日、台湾東部をマグニチュード7.4の地震が襲った。この強烈な地震がもたらした被害が比較的軽微であったことから、4日付ニューヨーク・タイムズは、台湾はなぜ大地震に備えられたのかと題する記事で、数10年にもわたって災害から学び、建築法を強化し、国民の意識を高めてきたことが強い地震に耐えるのに役立っていると思われると、概略以下のように伝える。

台湾の東海岸沖で半世紀ぶりの大地震が発生し、最も近い花蓮市の建物は揺れに翻弄された。44日の朝までの24時間に300回以上の余震が島を襲い、建物は何度も揺れ動いた。しかし、ほとんどの建物は損壊しなかった。最も大きな被害を受けた2つの建物でさえほとんど無傷で、住民は窓から安全な上の階に抜け出すことができた。そのうちのひとつ、丸みを帯びた赤レンガ造りのウラヌスビルは1階部分が崩壊した後、不安定に傾き、好奇心旺盛な見物客を集めていた。

このビルはマグニチュード7.4の地震のような災害に対して、台湾がどれだけ備えてきたかを思い起こさせる。おそらく建築法の改善、国民意識の向上、高度に訓練された捜索救助活動、そして幸運もあって死傷者の数は比較的少なかった。4日までに10人が死亡し、1,000人以上が負傷、数十人が行方不明となっているが、4日までに花蓮行きの列車を含む鉄道輸送が再開された。道路は徐々に修復されていた。花蓮市では木曜日にウラヌスビルの周辺が封鎖され、建設作業員が傾いたビルが完全に倒壊するのを防いでいた。まず、巨大なレゴのピースのような3本足のコンクリートブロックをビルの前に置き、その上にショベルカーで土や石を積み上げた。ウラヌスビルの修復工事を見に来た元建築業のライ・ユンチーさん(72)は、「どれだけ深刻なのか、なぜ傾いてしまったのか、自分の目で確かめに来た。自分は建築基準について知っている」と語る。花蓮の駅近くにある夫妻のアパートは大きな被害はなかったという。「私たちの建物を建てる際、耐震性に気を配っていることは知っていたので心配はしていなかった。念のため、セメントを流し込むところを見ていました」とライ氏は言う。「地震が起きるたびに、当局はさらに基準を引き上げている」。街区を歩いても大地震の痕跡をはっきりと見ることはできなかった。風雨にさらされてきた古い建物もあれば、コンクリートとガラスでできた近代的な多層建築もあったが、多くの建物が無傷のまま残っていた。

複数の活断層の上に位置する台湾では、地震は避けられない。数十年にわたり、他の災害から学び、厳しい建築基準を導入し、国民の意識を高めてきたことが頻発する強い地震を乗り切ることに役立っている。たとえば、ウラヌスビルのすぐ近くでは、柱にひびが入ったビルを当局が検査し、そこに留まるのは危険だと結論づけた。住民には15分の猶予が与えられた。ある者はコンピューターを持って外に飛び出し、またある者は衣服の入ったバッグを窓から通りに投げ出した。

1974年以来、台湾の建築法には耐震性の要件が組み込まれている。それ以来数十年間、台湾の建築法の作成者たちは、メキシコやロサンゼルスなど世界各地で発生した大地震から学んだ教訓を応用して、台湾の建築法を強化した。1999年の集集地震(1999921日に台湾中部の南投県集集鎮付近を震源として発生したマグニチュード7.6の地震)2,400人以上が死亡し、少なくとも10,000人が負傷した後、地震前に建てられた数千棟の建物が見直され、補強された。2018年に花蓮で再び強い地震が発生した後、政府は新たな建築物検査を命じた。それ以来、建築法の複数の更新が発表されている。台北にある国立地震工学研究センターのチュン・チェ・チョウ事務局長は、「私たちはこの20年間で1万棟以上の校舎を改修した」と語る。

「また、政府は過去6年間、鉄骨ブレースを追加し、柱や梁のサイズを大きくすることで民間のアパートの補強を支援してきた」と周博士は述べた。花蓮で部分的に倒壊した建物からそう遠くない場所でこのような方法で補強された古い建物のいくつかは、今回の地震被害を免れたと彼は言う。この結果、台湾で最も高い高層ビルでさえ、通常の地震の揺れに耐えられるようになった。首都の最も象徴的な建物である台北101は、かつて世界で最も高い建物であったが、台風の風や頻繁な地震にも耐えられるように設計されている。それでも一部の専門家は、基準を満たさない建造物の補強や取り壊しにはもっと多くの対策が必要だと主張しており、今回の地震を受けてそうした声はますます大きくなっている。

台湾には、インフラを守るもうひとつの大きな理由がある:それは、世界最大の最先端コンピューター・チップ・メーカーである台湾積体電路製造(TSMC)の生産拠点が台湾にあることだ。スマートフォンから自動車、戦闘機に至るまで、電子機器のサプライチェーンはTSMCの工場の生産量にかかっており、TSMCは数十億ドルをかけてこれらのチップを製造している。1999年の地震は、TSMCに工場が地震の被害から免れるための特別な措置をとるよう促した。同社は大規模な構造調整を行い、早期警報システムなどの新技術を採用した。20162月に南部の高雄市で再び大きな地震が発生した際も近隣にあるTSMC2工場は構造的な被害を受けることなく存続した。捜索チームとボランティアは、台湾の過去の地震から貴重な教訓を学んでいる。

こうしたことの結果、台湾は災害への対応で前進したと専門家は言う。今回の地震発生後24時間で、レスキュー隊は高速道路の落石の間に車に閉じ込められたり、採石場の山の岩棚に取り残されたりしていた何百人もの人々を解放した。香港の緊急事態管理コンサルタントのブルース・ウォン氏は、「長年にわたる能力強化の努力の結果、台湾の全体的なパフォーマンスは大幅に向上した」と語った。台湾の救助隊は複雑な作業に特化するようになり、訓練されたボランティアのスキルを活用することもできるようになったと言う。台湾の退役軍人グループの一員であるウー・チーフーは、花蓮で避難住民の避難所となっている学校で水やその他の物資を配る手伝いをしていた。彼は、人々は1999年の地震からより多くの備えをする方法を学んだと語った。「彼らは部屋の隅や他の安全な場所に避難することを知っている」と語り、多くの住民は必需品の入ったバッグをベッドの横に置き、消火器も持っていると付け加えた。

彼の周囲には、十数もの他の慈善団体やグループが住民に食料、金銭、カウンセリング、託児を提供していた。台湾仏教の大規模な慈善団体である慈済基金は、家族がプライバシーを確保できるよう学校のホール内にテントを提供した。同財団の災害救援マネージャーであるホアン・ユーチー氏は、非営利団体は以前の災害から学んできたと語った。「今、私たちはより体系化され、防災についてより良い考えを持っています」とホアン氏は語った。

以上のように、記事は地震後の状況を住人やレポーター自らの目撃情報をもとに臨場感豊かに伝えている。それによると、建物の損害は非常に少なく、人身被害も少ない。復旧工事や作業も迅速である。その理由として記事は、数十年にわたり多様な災害から学び、厳しい建築基準を導入し、国民の意識を高めてきたためだと説明する。このほかに、TSMCの生産拠点が台湾にあることを挙げているのが注目される。過去の災害体験を生かして政府、民間が協力して準備を整えてきた努力の成果といえよう。同じ地震大国である日本としても見習うべきところが多々あるのではないかと思われる。

韓 国

 与党、総選挙で惨敗

4月10日、4年に一度の総選挙が実施された。1院制の立法院(国会に相当。定数300人)の選挙で、発足後2年を経た尹錫烈(ユン・ソンニョル)政権の中間評価として位置づけられている。選挙の結果、野党の「共に民主党」が圧勝し、与党の「国民の力」は惨敗した。11日付ロイター通信によれば、共に民主党が175議席を獲得し、共に民主党と協力関係にあるとされるリベラル政党は12議席を獲得した。国民の力は108議席を確保した。

11日付ウォ-ル・ストリート・ジャーナルは、この結果は米国と日本に接近してきた保守派の尹政権下での韓国の方向性を否定するものだと概略以下のように報じる。

10日、韓国の尹錫烈大統領の与党である保守派は、議会選挙で大失敗した。投票率は過去30年以上で最も高く、韓国の有権者4,430万人のおよそ3分の2が投票した。法律により、63歳の尹大統領は再選に立候補できない。その5年の任期は2027年に終わる。11日、大統領府によると尹氏は選挙での敗北を謙虚に受け止め、国政改革と経済の安定化を誓ったという。11日、国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)非常対策委員長は総選挙の結果に責任を取り、非常対策委員長の職を辞任した。

韓国の昨年の経済成長率は、他の富裕な民主主義国よりもはるかに低く、数十年にわたり局地的に抑えられてきたインフレがスパイラル状に上昇し始めた。尹氏は韓国をよりグローバルな舞台へと導き、欧米主導の自由主義秩序を支持し、ウクライナ支援のために砲弾を提供し、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席した。米シンクタンクのブルッキングス研究所で韓国問題を専門に研究するアンドリュー・ヨー上級研究員によれば、国内問題が解決されないまま政治的な行き詰まりが長引けば、尹氏の外交政策にもリスクが生じる。ウェズリアン大学で東アジア研究・政治学を教えるジョアン・チョー教授は、「尹大統領の残りの任期は、国際問題に焦点を当て続けるだろう。尹氏の功績は、米国との経済関係の強化、日本との2国間や3国間関係の改善といった外交政策が中心だ」と言う。韓国の左派連合は5分の3以上の議席を確保したため、法案を早急に成立させ、尹大統領の国内政策を阻止できるようになった。ただし、尹大統領の拒否権を覆したり、弾劾に踏み切ったりすることができる3分の2の勢力には届かなかった。

さらに4月11日付ワシントン・ポストは、無残な敗北で韓国の指導者は岐路に立たされたと題する記事で、米国の主要同盟国である韓国の尹錫悦大統領は、野党との交渉を始めなければレームダック(死に体)になる可能性に直面していると、概略以下のように論じる。

立法院選挙は、尹錫悦大統領の就任2年間を振り返る「審判の日」となった。尹大統領は国際舞台で躍進を遂げたが、国内では根強く不人気で分裂を招いている。有権者は尹氏をレームダックの瀬戸際まで追い込み、野党はここ数十年で最大の議会多数派の一つとなった。この選挙結果と尹大統領が激化に一役買った韓国政局の二極化は、中国と北朝鮮に対抗する米国の取り組みにとって極めて重要な韓国の行き詰まりが深まる前触れとなった。これにより超党派の支持を必要とする案件を成立させられる可能性が後退し、2027年に大統領が退任する可能性が高まった。尹氏は、自国の外交政策を米国や日本との軍事的関係の拡大に方向転換させる以外にほとんど何もできなくなろう。

尹氏は自身の保守的な外交政策を誇りに思っている。しかし多くの有権者にとって今回の選挙は、インフレや民主主義の後退兆候など、国内の苦境に関するものが焦点となった。野党は、この選挙を尹氏に対する国民投票としてうまく組み立てた。何カ月も前から政治評論家や地元メディア、さらには党内の評論家までもが尹氏の一般市民との「断絶」や野党への対処における「傲慢さ」、国家的惨事、医師による長期にわたるストライキ妻の金建熙(キム・ゴンヒ)氏の汚職疑惑などについて警告してきた。在任中の2年間、尹氏は海外で成功し、米欧の首都で外交政策とウクライナ戦争における自国の重要性の高まりで脚光を浴びた。しかし、そのビジネス寄りの国内政策は、野党が支配する国会との関係悪化によって麻痺したままだった。

外交政策の大部分は大統領の手に委ねられているが、尹氏の国内での地位の弱体化は、その外交イニシアチブを妨げる可能性がある。選挙を制した共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)氏は、尹氏が朝鮮の旧宗主国である日本との軍事協力を拡大し、韓国の最大の貿易相手国である中国を疎外したと激しく批判している。李氏はまた、尹氏や米国が制裁と軍事的抑止を優先するアプローチとは異なり、北朝鮮との対話を望んでいる。京畿大学の政治学者ソン・ドク・ハム氏は「国民の賢明な判断により、尹大統領と野党は対話を始める以外に選択肢がなくなった」と語る。「彼らが目を覚まさなければ、事態は本当に無残な結果になりかねない」。尹氏は、住宅価格の高騰急速な高齢化、長らく遅れている国民年金制度の見直しに対処するために野党の支援を必要としている。2年前に尹氏に敗れ、再び大統領選に出馬することを望んでいる李氏もリーダーシップの資質を身につける必要がある。

他方、選挙結果に唖然とした尹氏は、かつて「絶対にやらない」と言われていたこと、つまり自分に過ちがあったことを認める兆しを見せた。尹大統領は「選挙結果に反映された国民の意思を謙虚に受け止め、政府の運営のあり方を抜本的に見直し、経済と国民生活の安定に最善を尽くす」と述べたと伝えられている。大統領補佐官も記者団に対し、尹氏は選挙期間中に党が「犯罪者」と呼んだ野党議員との協力関係を築こうとしていると述べる。

以上のように、総選挙で与党は敗北した。今回の選挙では、インフレや民主主義の後退兆候など国内問題が焦点となったことが背景にある。左派連合は5分の3以上の議席を確保し、法案を早急に成立させ、尹大統領の国内政策を阻止できるようになった。しかし、国内問題が解決されないまま政治的な行き詰まりが長引けば、尹氏の外交政策にもリスクが生じるとメディアは指摘する。尹大統領としては、残りの任期は国際問題に焦点を当て続ける他はない状況にあるが、韓国政局の二極化によって、中国と北朝鮮に対抗する日米などの取り組みにとって重要な韓国の行き詰まりが深まるリスクが出てきた。選挙に勝利した共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)氏は、尹氏が朝鮮の旧宗主国である日本との軍事協力を拡大し、韓国の最大の貿易相手国である中国を疎外したと激しく批判している。とはいえ、尹氏は住宅価格の高騰急速な高齢化、国民年金制度の見直しなどの諸問題に対処する必要があることに変わりはない。このために、野党の支援が必要であり、李氏もリーダーシップの資質を身につける必要があるのはメディアが主張するとおりである。また尹氏としても自身で述べているように、選挙に反映された国民の意思を謙虚に受け止めて対処していく他はないだろう。

北 朝 鮮

☆ 北朝鮮と共闘するロシア

北朝鮮はロシアに武器を送った。そして今、プーチンは金正恩に代金を支払っていると44日付ワシントン・ポストが「North Korea sends arms to Russia. Now Putin pays back Kim Jong Un.」と題する社説で論じる。社説は、過去14年間、国連の専門家委員会は、北朝鮮の核・ミサイルプログラムの拡大と国連安全保障理事会の制裁に挑戦する行動について定期的に報告してきたが、今、この目と耳は取り除かれたと以下のように論断する。

国連専門家パネルは、37日に発表した最新の報告書で2017年から2023年にかけての北朝鮮による暗号通貨関連企業に対する58件のサイバー攻撃の疑いや、大量破壊兵器の開発資金として約30億ドルを純増させたなど、北朝鮮の活動について615ページにわたって報告している。しかし328日の国連安保理の採決でロシアはこれまで支持していた専門家パネルの作業延長に拒否権を行使した。中国は棄権し、他の13カ国は賛成した。その結果、対北朝鮮制裁を監視していたパネルは今月末で期限切れとなり、他の国々は北朝鮮が何をしようとしているのか、今以上に分からなくなるだろう。これはロシアのプーチン大統領から北朝鮮の金正恩委員長への贈り物であり、国連が近年課してきた制裁を弱体化させるものだ。それ以上に、大量破壊兵器の拡散を抑制するための冷戦後の闘いにまたもやロシアが新たな後退を仕掛けたことを示している。

北朝鮮は、ロシアによるウクライナ侵攻に使用する武器と弾薬を搭載する推定1万個のコンテナをロシアに送り、戦争の最前線に近い3つの主要な保管庫を満杯にし、砲弾は300万発以上に達した。プーチン氏はその北朝鮮に支払いをしているのだ。韓国の国防相は北朝鮮の兵器工場が24時間体制でロシア向けの砲弾を製造していると述べた。北朝鮮の弾道ミサイルはロシアによってウクライナの都市に向けて発射されている。フィナンシャル・タイムズは衛星写真を検証し、国連が2017年に石油輸送に厳格な上限を課して以降初めて、3月に少なくとも5隻のタンカーを含むロシアの船舶が制裁を無視して北朝鮮に石油を輸送していると報じた。プーチン氏の対外情報機関の長であるセルゲイ・ナリシキン氏は、協力を深めるために325日から27日まで平壌を訪問したと発表した。今年中にもプーチン氏の訪朝が予定されている。

これまで6人の米大統領が北朝鮮の核・ミサイル開発を抑制しようとしてきたが、ほとんど成功しなかった。2019年にドナルド・トランプ大統領とのハノイ・サミットが失敗した後、金正恩氏は米国との正常化の望みを捨て、モスクワとの関係を深めながら軍備増強のペースを加速させているように見える。ロシアは彼に命綱を投げた。しかし、もし金正恩が石油と国連での拒否権以上のものを求めているとしたらどうだろうか。核兵器やミサイル技術の援助をロシアに求める可能性がある。最近、アブリル・ヘインズ国家情報長官はロシアのニーズが"長年の核不拡散規範"を損なう可能性があると議会に警告した。ロスアラモス国立研究所のジークフリード・ヘッカー元所長は、プーチン氏は70年以上にわたって存在してきた世界の核秩序を壊そうとしていると主張している。彼は、北朝鮮がロシアに核兵器の実験結果を求める可能性を指摘している。

ソ連は715回の核実験を行ったが、北朝鮮は6回のみである。特に懸念されるのは、北朝鮮がロシアにミサイルや核弾頭の設計、あるいは最も懸念される核弾頭の燃料となる核分裂性物質に関する情報を求める可能性があることだ。中国は北朝鮮の主要貿易相手国であり、国連安全保障理事会の制裁措置に賛成したものの、その銀行は制裁措置違反に加担してきた。中国に北朝鮮をけん制するよう強く迫ることは、米中間に存在する様々な緊張を考えると今は成功しそうにない。中国が金総書記とロシアとの新たな親密さをどう見るかはまだ定かではない。しかし、金委員長のミサイル発射のデモンストレーションが米国の同盟国である日本と韓国を不安にさせ続けるのは間違いない。火曜日、金氏は極超音速兵器を搭載したとされる新型中距離弾道ミサイルの発射に立ち会い、北朝鮮が発射速度の速い固体燃料ミサイルに切り替えると発表した。

  監視パネルの喪失は、7カ国グループによって支援される新たな監視パネルの設置で多分修復できよう。しかし、より大きな課題は、北朝鮮に対処するための新しく効果的な戦略を打ち出すことである。米国の政策は定まらず、インセンティブの提供やトランプ氏の首脳会談の失敗、そしてまた漂流へと揺れ動いている。核の時代に常とされるリスクは、対決における悲惨な誤算と誤認である。その危険性を封じ込めるのはさらに難しくなっている。それは安保理の常任理事国入りを果たしたプーチン氏が、ロシアを少なくともいくつかの問題については基本的な責任を果たしていたグローバルなアクターから、世界最悪の体制と共闘するならず者国家へと変貌させたからだ。

以上のように、社説は冒頭で北朝鮮の行動を定期的に報告してきた専門家パネルの延長案をロシアが拒否権を発動して葬り去ったことを非難する。同時にロシアが北朝鮮に対して核兵器やミサイル技術を支援する可能性に大きな警戒感を示す。確かに、北朝鮮は最近における一連のミサイル発射実験で固体燃料を使用した極超音速機の開発に成功したなどと喧伝していることから、この懸念は的を射ていると思われる。まさしくロシアは世界最悪の体制と共闘するならず者国家へと変貌し、"長年の核不拡散規範"を損ない、世界の核秩序を壊す行動に出ているといえよう。社説は北朝鮮に対処するための新しく効果的な戦略を打ち出すよう提言しているが、これは7カ国グループによって支援される新たな監視パネルの設置という課題と合わせて、広く討議すべき問題と思われる。

東南アジアほか

シンガポール 

☆ 高成長企業を引き付けるシンガポール

シンガポールは、いかにしてアジアの新興企業の拠点となったかと題する44日付フィナンシャル・タイムズ記事は、アジアの高成長企業を引き付けるシンガポールの魅力と現状を概略以下のように報じる。

シンガポールは、その国土と人口の規模にもかかわらず、今年のアジア太平洋地域における高成長企業の拠点数ランキングでトップとなった。これは、人口わずか600万人の都市国家にとって意外なことではない。東と西を結ぶ貿易の中継地であるこの島国は、東南アジアでの戦略的立地、政府による支援政策、強力な法的枠組み、地元労働者と外国人労働者の混在などにより、以前から起業家や投資家にとっての主要な進出先となってきたからだ。最近では、シンガポールが米中間で中立的な立場にあり、地政学やサプライチェーンの混乱から身を守りたい企業にアピールしていることもビジネスの拠点としての魅力を後押ししている。本紙が発表したアジア太平洋地域の高成長企業ランキングでは、シンガポールが93社でソウルや東京を上回った。

シンガポールに進出している成長企業は、製造業、人工知能、ソフトウェア、日用品、ヘルスケアなどさまざまで、この都市が支援できるビジネスの幅の広さを物語っている。

清掃ロボットメーカーのライオンズボット(Lionsbot)は、高成長ランキング23位で2019年から2022年までの年間平均成長率(CAGR)178%を達成している。その共同創業者であるディラン・ウン(Dylan Ng)は、「シンガポールは中立であり、アジアのスイスだ」と言う。「これは世界的な地政学的状況において重要なことだ。人材が豊富で世界に製品を供給でき、遵法精神が強いという評判もある」と付け加える。ライオンズボットの顧客の大半はシンガポール国外にあり、同社は昨年のシリーズAの資金計画で3,500万ドルを調達した後、現在は米欧を含む海外市場での成長に注力している。

ライオンズボットのように顧客の大半がシンガポール国外にいるにもかかわらず、シンガポールに拠点を構えて、その利点を語る企業は他にも多い。今年、年平均成長率115%65位にランクインしたアイケアは、ラオスやカンボジアなど発展途上国の低所得の女性工場労働者に洗濯機、冷蔵庫、炊飯器など、基本的だが生活を変える家電製品へのアクセスを提供している。カンボジアを拠点とする共同設立者のパブロ・アロンソ・カプリレは、シンガポールに拠点を置くことで「安全な層」ができたと語る。同社はシンガポールに本社を置くが、業務や中核となる従業員は置いていない。シンガポールはこの地域の資金調達の中心地でもあり、カプリル氏は、アイケアの投資家の多くがシンガポールに進出しているため、頻繁にシンガポールを訪れているという。同社は家電製品のカタログを持ち、工場と協力して労働者が必要な商品を購入し、無利子の分割払いで返済できるようにしている。

ランキング10位のSkrya Pte Ltdもシンガポールを拠点とする企業で収益の大半をシンガポール国外から得ている。Skrya社は、AI3Dを使って最適な価格を決定するアプリ「Catalopedia」を通じて、自動車部品会社などのクライアントにパラジウム、ロジウム、プラチナなどの素材のリサイクルを支援している。「私たちは、アプリやテクノロジーを使って、リサイクルという古いタイプのビジネスを現代的な方法で行おうとしている」と、グループの最高経営責任者(CEO)であるシバクマール・アヴァディアルは説明する。利益を上げているSkryaは、シンガポールに多くの施設を持ち、およそ10人の従業員で構成されている。しかし、今年は国際的な成長を計画しており、インドに新工場を開設し、さらに3,000万ドルから4,000万ドルの売上増を見込んでいるとアバディアルは言う。

しかし、近年シンガポールでの事業運営にかかるコストが上昇していることに気づいたとディラン・ウンは言う。シンガポールビジネス連盟が1月に実施した景況感調査によると、ビジネスコストの増加が企業の直面する最大の課題であり、特に人件費が問題となっている。人工知能と自動化を駆使して顧客の従業員採用をより良く、より早く支援するソフトウェア会社であるX0PA AIなどのハイテク新興企業にとっても、環境は厳しくなっている。「創業者のニナ・スリ氏は言う。「ここ数年、市場は大幅な調整を余儀なくされた。「より持続可能な成長に集中するために私たちは自らを修正し、一歩後退しなければならなかった」。X0PA AIは現在、2回目のシリーズAラウンドで資金調達を行っている。ニナ・スリ氏によると、同社は今四半期で収支均衡を達成し、2024年末までに黒字化する見込みだ。シンガポールはX0PA AIにとって最大の市場だが、同社は現在ヨーロッパ、中東、アフリカ、そして米国での成長に注力している。スリ氏はシンガポールとロンドンを行き来しているが、シンガポールのリソース、人材、助成金などの政府支援を含むエコシステムにより、X0PA AIの拠点とすることは「間違いない」と言う。「しかし、私たちのようなビジネスでは、シンガポールだけでは十分に生き残り、成長することはできない。「政府もそれを理解してくれていて、アラブ首長国連邦やイギリスを含む海外市場に進出するための助成金を得ることができた」。

しかし、小さなシンガポール内市場にビジネスチャンスを見出している企業もまだたくさんある。ドクター・エニウェアは、プライマリ・ケアの遠隔医療スタートアップとしてスタートしたが現在はオフラインで急成長している。例えば、最近、健康診断と画像診断施設の運営を開始した。この事業は、年平均成長率124%で今年のリストで55位にランクされている。共同設立者のワイ・ムン・リム氏は、「私たちのビジネスの基盤はこの地域にあるが、多くの人々が一流のヘルスケアを求めてこの地を訪れている」と語る。マレーシアやフィリピンなど、この地域で事業を展開する他の国々に、私たちのサービスの多くを導入する前に私たちはこの都市で事業を構築している」。シンガポール発のビジネスと言えば、合法的なビジネスを意味している。

以上のように、記事は多くの高成長スタートアップを引き付けるシンガポールの魅力と優位性を豊富な事例を挙げて報じている。そうした優位性として、昔から貿易の中継地として栄えてき東南アジアでの戦略的立地、政府による支援政策、強力な法的枠組み、地元労働者と外国人労働者の混在などを挙げる。その一方で、最近における事業運営コストの上昇を企業が直面する最大の課題として指摘する。特に人件費の増大がいわばアキレス腱となっている。とはいえ、シンガポールに拠点を構える新興企業は、内と外の双方でビジネスを展開して収益を挙げ、シンガポールと繁栄を共有している。シンガポールは日本としても座視できないライバルである。

インド 

☆ ルピーのグローバル化を目指すモディ首相

 44日付エコノミスト誌は、「How to build a global currency (いかに世界通貨を創造するか)」と題する金融経済関係記事で、インドはルピーをグローバル通貨にしようと試みているが、それには痛みを伴う改革が必要だと以下のように論じる。

 70年前、インド・ルピーはしばしば遠く離れた国で見かけられた。インドが英国から独立した後も通貨は依然としてアラビア海の向こうの首長国で使われていた。1970年頃までは、インドの中央銀行が発行するガルフ・ルピーという通貨も使われていた。しかし今日、その様相はかなり異なっている。インド経済が世界第5位であるにもかかわらず、国際通貨取引に占めるルピーの割合は2%にも満たない。インドのナレンドラ・モディ首相は、ルピーが再び世界中に広がることを望んでいる。41日に開催されたインド準備銀行創立90周年記念式典で、モディ首相は準備銀行の政策担当者らに対し、ルピーを身近なものにするべく注力するよう申し述べた。

しかし、歴史をみると国家指導者は自国通貨をグローバルにするアイデアに熱意を示すことはあっても、そのために必要な改革を実施することはあまりない。米ドルは言わずと知れた通貨の王者だが、ほかにもグローバルな役割を担う通貨は数多くある。ユーロ、英ポンド、スイスフランやオーストラリア、カナダ、香港、シンガポール・ドルなどがその例だ。これらの通貨は世界中の外貨準備や個人のポートフォリオにあり、貿易と金融取引の両方に使われている。理論的には、ルピーがこの輝かしいグループに加わらない理由はない。広く使われる通貨を持つことは大きなメリットをもたらす。海外投資家からの需要は、国内企業の資金調達コストを引き下げる。こうした需要は輸出業者や輸入業者にとっても為替リスクを軽減し、貿易に際して頻繁に通貨を交換する必要がなくなる。政府も外貨準備高を減らすことができる。

国際通貨の礎石の一部はインドで築かれつつある。現在、インドには外国人が買いたいと思う資産があり、ルピーが海外で価値を蓄える可能性がある。9月、JPモルガン・チェース銀行は、インド国債を新興市場インデックスに含めると発表した。データプロバイダーのブルームバーグも先月同じ決定を下した。インド株は過去1年間にドルベースで37%上昇した。その爆発的なパフォーマンスは世界の関心を集めている。ルピーはまた、外国人にとって口座単位や為替媒体としての意味合いも強めている。22カ国の銀行がルピー建て特別口座の開設を許可され、通常の為替制限がなくなった。8月には、インドはアブダビ国営石油会社に対して初めて石油のルピー建て支払いを行った。

しかし、中国を見ればインドがどれほど前進しなければならないかがわかる。中国の政策立案者たちは10年以上にわたって人民元のグローバル通貨化を試みたが、世界のGDP17%を中国が占めているにもかかわらず、ユーロ圏以外の決済ネットワークであるスイフトを介した国際取引に占める人民元の割合はまだ3%にも満たない。さらに、人民元の国際取引の80%は香港で行われている。中国の資本勘定は比較的閉鎖的で投資が国境を越えて自由に流れることを妨げている。インドの資本勘定はかつてほど閉鎖的ではないが、それでもグローバル通貨を持つどの国よりもはるかに保護されている。

日本はもっと良い例である。1970年には世界のGDP7%を占め、現在の4%を上回っていた。しかし、円は取るに足りない存在だった。1970年には日本の輸出の1%が円建てで請求されていたが、1980年代初頭には40%が円建てになった。1989年には外国為替取引全体の28%を円が占めた。現在でも16%を占めている。世界通貨としての地位を確立するために日本の指導者たちは日本経済を変革しなければならなかった。外国人がさまざまな資産を保有できるようにし、大手金融機関の規制を緩和し、資本フローや金利に関する規制を撤廃した。これらの変化は、日本の輸出志向の経済モデルを崩壊させ、官僚の権力を弱体化させた。

今、トップリーグの仲間入りを果たそうとする国には、同じように遠大で不快な変化が求められるだろう。現在のところ、そのような気概のある国はほとんどないようだ。実際、米国の圧力と関税の脅威がなければ、日本自身がそのような改革を行わなかったかもしれない。米国は、日本の場合と同じようにインドにもたれかかる気配をみせていない。変革への意欲は内部から湧き上がってこなければならないだろう。

以上のように、記事はまずルピーの過去の歴史を簡単に振り返り、現在においても国際通貨となる礎石が築かれつつあると述べる。ただし、記事はモディ首相もインド準備銀行創立90周年記念式典で政策担当者らに対し、ルピーを身近なものにするべく注力するよう指示したが、日本や中国の例を出してルピーの国際通貨化は一筋縄ではいかないと警告する。特に日本の場合、米国からの外圧が円の国際化につながったと述べ、インドにはそうした外圧がみられないとして、内部からの改革意欲が必要だと指摘しているのが注目される。ルピー国際化に向けたモディ政権の本気度が問われている。

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主要紙の社説・論説から 

異次元緩和政策から離脱した日本銀行―未だ前途遼遠な金融正常化への道 

日本銀行は、319日の金融政策決定会合でマイナス金利(マイナス0.1%)を解除し、17年ぶりの利上げを決めた。イールド・カーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の廃止や上場投資信託(ETF)の新規購入の停止も決定した。同日付ブルームバーグによれば、新たな政策金利は無担保コール翌日物レートを目標とし、00.1%に誘導する。当座預金の超過準備に対する付利は0.1%に一本化され、3層構造は終了した。新たな市場調節方針と付利は21日から適用。現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、「当面、緩和的な金融環境が継続する」ことを明確にした。以下は、こうした日銀の政策転換に関する主要メディアの報道と論調の要約である。

 318日付ニューヨーク・タイムズは「Japan Raises Interest Rates for First Time in 17 Years (日本が17年ぶりに利上げを実施)」と題する記事で、今回の日銀の政策転換の概要を報じると共に、日本の金融政策正常化の新たな一里塚になるとの専門家のコメントを伝える。こうした政策転換の背景として賃金上昇の加速があると述べるが、日本の金利は依然として主要先進国よりはるかに低く、日銀が追加利上げに慎重な姿勢を示したこともあり、円安の修正につながらなかったと指摘する。さらに日銀がマイナス金利政策から離脱した最後の主要中央銀行という点で重要だったが、利上げが他の中央銀行ほど積極的でないため依然として海外のリターンの方が魅力的であり、日本への急速な資金還流が妨げられ、またマイナス金利の債券も残存していると指摘する。

 321日付フィナンシャル・タイムズは「The Bank of Japan’s tricky path to normalization (日銀の正常化に向けた危うい道のり)」と題する社説で、こうした日銀の政策姿勢を擁護して、植田総裁は慎重な姿勢を貫くべきだと論じる。社説はまず、日銀による今回のマイナス金利やYCCの解除は無理のない形で行われ、市場も平静に受け止めたと述べる。これは日銀が事前に十分告知を進め、トレーダーに織り込みのための時間を与えたうえ、日本国債の購入継続も決定し、金利がすぐに上昇しないことを明確にするなど慎重に準備を重ねた結果であると指摘する。そのうえで、最近の賃金上昇が維持されるとは予想されず、短期的なインフレの勢いは弱まっており、完全な引き締めはまだ先と思われるが、日銀の正常化計画について市場との対話継続が必要であり、さらには日銀が超緩和策時代に積み上げた国債残高などのエクスポージャーは解消されていないこと、国際的投資家となった日本の金融機関による米欧国債への買い需要の落ち込みと買い控えの懸念や、日本の財政や銀行が利回り上昇や日銀による国債買い入れ減に対して脆弱であることから警戒が肝要だと論じる。また海外でリスクの高い融資を行っている邦銀の経営への影響、予測不可能な米国の金利動向による円高の可能性、日本の国内成長、インフレ、財政の見通しを変える可能性があるその他の経済ショックの発生などを挙げて、日銀の明確かつ慎重な姿勢の継続が必須だと主張する。

これに対して319日付ウォ-ル・ストリート・ジャーナルは「Japan Ends the Negative Rate Mistake (日本、マイナス金利の誤りに終止符)」と題する社説で、今回の政策転換は、これまでの誤った政策を修正する一環だと論じ、鳴り物入りで導入したがうまく行かなかった政策は容易に終了できないと警告する。社説は日銀の政策転換について「引き締め」はふさわしい表現ではなく、「正常化」は言い過ぎだろうと主張する。その理由として、日銀は利回りコントロールの終了の本気度についてはぐらかす一方、量的緩和を続けていると述べる。賃金上昇が日銀の政策転換を後押ししているが、今のところ賃上げは大企業の労働者に集中しているため、すべての家計が恩恵に浴しているわけではないと指摘し、むしろ日銀の従来の政策は金融抑圧を生み出し、実体として家計に企業への補助金を強制したと主張する。事実、家計の純金利収入はマイナス金利期間中に数兆円減少したと述べ、この間、利益で利払いをカバーできないゾンビ企業の割合は、全企業の17.1%まで上昇したと批判する。日銀はまた、長年にわたる超格安円が円を借りて他の国への投資資金を調達する巨大なキャリートレードを煽り、世界にリスクをもたらしたと述べる。このような政策の背景には、異常な金融措置は効果的であり、必要がなくなれば元に戻せるという考えがあったが、日本の長い経験は、最初の主張を覆し、政策の巻き戻しによって2番目の主張が試されていると論評する。

 政策転換後の日本の進むべき道を論じたのが319日付エコノミスト誌の「Japan today, Japan tomorrow Why Japan’s economy remains a warning to others (日本の今日と明日、日本経済が他国への警告であり続ける理由)」と題する社説である。社説はまず、大企業による賃上げや活況を呈する株式市場の動きなどを報じて、超緩和策を異例に長く続けてきた日銀が今般、利上げやYCCを廃止したことを驚くべき瞬間だと評する。次いでこうした世界経済の中で例外的存在であった日本が今後、どこまで他国と同じようになるかが問題だと提起する。そのうえで、低下する実質金利、豊富な貯蓄を抱える中で減少する設備投資意欲、消極的な移民政策などによって成長率の低迷が予想されることから、日本が日本化から脱却したとは言えないと断じる。世界で最も高い公的債務を抱える日本は、金利が5.255.5%に達したアメリカのような厳しい金融引き締めには耐えられないと論じ、世界の例外的な国でなくなるには、巨額の公的債務の処理が先決だと指摘し、さもないと世界の他の地域が日本に似てきてくれること以外に日本が例外的でなくなる道はないと皮肉に論断する。 

結び:以上のようなメディアの論調を次の3点からまとめてみる。第1に日銀の政策転換に対する評価、第2にその背景に関する見方、第3に政策の効果と今後の展望である。第1の評価の問題については、メディアの見方は大きく2つに分かれる。ひとつは、日銀による利上げやYCCの廃止は驚くべきことであり、日本の金融政策正常化の新たな一里塚であるとする肯定的見解である。これに対して、日銀の政策転換は従来の誤った政策修正の一環であり、「引き締め」あるいは「正常化」と呼ぶのはふさわしくなく、言い過ぎだとの見方である。前者の肯定的見解との関連では、日銀が今般の政策転換に至る過程で市場に対して事前に十分告知し、市場に織り込む時間を与えるなど慎重に進めたことは評価できよう。後者の関連で注目しておきたいのは、設備投資意欲の減退、消極的な移民政策などによって成長率低迷が予想されることから、日本は日本化から脱却したとは言えないという指摘と、世界経済の中で例外的存在であった日本が今後どこまで他国と同じようになるかという問題提起であろう。日本化から脱却していない日本は、依然として例外的存在から卒業しなければならないという課題を背負っていると言えよう。

2に政策転換の背景である。メディアは概ね、緩やかなインフレの進行と賃金上昇の加速を今回の日銀決定の背景として挙げる。ただし、今のところ賃上げは大企業の労働者に集中しているため、すべての家計が恩恵を受けるわけではないと指摘。むしろ日銀の従来の政策は家計を圧迫し、実体として家計に企業への補助金を強制したと主張する。事実、家計の純金利収入はマイナス金利期間中に数兆円減少し、この間、利益で利払いをカバーできないゾンビ企業の割合は、全企業の17.1%まで上昇したとの批判的見方を示す。その意味で、今回の日銀の動きは行き過ぎた緩和政策の弊害を部分的に除去し、家計を若干でも救済する意義があったといえよう。問題は日銀を動かした賃金上昇の持続性である。メディアは賃金上昇が維持されると予想していない。だが、今年の賃上げについてはかなり積極的な動きが報じられており、来年以降の動向を注視していく必要があろう。

3に新政策の効果については、まず円相場への影響について円の金利水準が依然として主要先進国の中で低く、また日銀が追加利上げに慎重な姿勢を示していることもあり円高への転換は見られないとメディアは指摘し、依然として海外のリターンの方が魅力的であるために日本への急速な資金還流も妨げられ、マイナス金利の債券も残存していると論じる。その意味では、次に述べる円キャリー取引も当面、ただちに巻き戻しが起きることはないとみられる。

メディアは、長年にわたる超格安円が円を借りて他の国への投資資金を調達する巨大なキャリートレードを煽り、世界にリスクをもたらしたと述べ、こうした政策の背景には、異常な金融措置は効果的で必要がなくなれば元に戻せるという考えがあったと指摘する。そのうえで、最初の主張は日本の長い経験によって覆され、政策の巻き戻しによって2番目の主張が試されることになるが元に戻すのは容易ではないと論じる。

確かに、日銀の超緩和政策は巨大な円キャリー取引を積み上げ、日銀自身も国債その他の債券を買い上げた結果としてバランス・シートを肥大させ、その背後にいる政府は巨額の公的債務をさらに累積させた。こうした巨大な円キャリー取引、日銀バランス・シートの肥大、政府累積債務の拡大は、まさしく超緩和策が生み出した一種の金融バブルである。金融正常化とはこうした金融バブルの後始末に相当している。90年代初頭に破裂したバブルの最終処理は、長銀、北拓、債券信用の3行の破綻と山一證券の廃業という実態として金融恐慌の形で終わりを迎え、その間約10年の歳月を要している。メディアの指摘するように金融を正常化する、すなわち元に戻すのは容易ではなく、長い日時を要することを覚悟する必要があろう。

国際的投資家となった日本の金融機関による米欧国債への買い需要の落ち込みと買い控えの懸念や、日本の財政や銀行が利回り上昇や日銀による国債買い入れ減に対して脆弱であるなどの諸点は留意しておく必要があるだろう。今後の中長期的問題としては、巨額の公的債務を抱える日本は金利が5.25~5.5%に達した米国のような厳しい金融引き締めには耐えられないことであろう。世界の例外的な国でなくなるには、この巨額の公的債務の処理が先決であるのは間違いない。

以上、日本はようやく金融正常化に向けて一歩踏み出したが、それは金融引き締めの一歩とは言えず、それにより、いわゆる日本化から脱したとも言えない。日本は世界経済の中で未だ例外的存在のままであり、日本経済が他国への警告となっている状況は変わっていない。そして金融正常化の達成の前に横たわるのは、長引いた超緩和策が生み出した巨大な金融バブルの処理という難問である。日本の金融政策正常化への道は未だ前途遼遠である。

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(主要トピックス)

2024年

3月16日 インド選挙管理委員会、総選挙(下院。定数545)の日程を発表。

4月19日から6月1日にかけて投票、同月4日に一斉開票。

18日  第3回「民主主義サミット」、ソウルで開幕。韓国の尹錫悦大統領、

民主主義陣営の結束を呼びかけ。

19日 香港の立法会(議会)、スパイ行為などを取り締まる国家安全条例を

可決、成立。

20日 インドネシア中央選挙管理委員会、2月14日実施の大統領選で

プラボウォ国防相(72)が当選したと発表。

ベトナム共産党、序列2位のボー・バン・トゥオン国家主席(53)の

辞任を発表。後任は未定。

22日  インドの捜査当局、首都ニューデリーを含むデリー首都圏政府

トップのケジリワル首相を逮捕。酒類販売に絡む汚職に関与した疑い。

25日 中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席、台湾と断交し、中国と

国交を結んだ太平洋島しょ国のナウル、カリブ海の島国ドミニカ

の両首脳とそれぞれ北京で会談。

26日 北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長、日本側との接触や交渉を「拒否する」

との談話を発表。

28日  国連安全保障理事会、北朝鮮制裁状況を調査する専門家パネルの任期延長

決議案を否決。対北朝鮮兵器取引を指摘されているロシアが拒否権を行使。

29日 中国を訪問した福田康夫元首相、中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談。

王氏が中日関係の安定的で健全な発展の推進を呼びかけ。

30日 日本外務省、東電福島第1原子力発電所処理水の海洋放出を巡り大連で

中国専門家との対話開催と発表。

4月1日 インドネシア次期大統領のプラボウォ国防相、中国を訪問。

習近平国家主席と会談。

2日 バイデン米大統領、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と電話協議。

台湾海峡の平和と安定に改めて支持を表明。

インドネシア次期大統領のプラボウォ国防相、来日。

3日 台湾の東部で大規模地震が発生。半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)、

一部の製造装置の稼働を停止。

5日 東南アジア諸国連合(ASEAN、ラオス北部ルアンプラバンで財務相・中央銀行

総裁会議を開催。域内経済の安定や金融サービスの統合などを討議。

6日 イエレン米財務長官、訪中、中国の何立峰(ハァ・リーファン)副首相と会談。

電気自動車(EV)や太陽光発電パネルを念頭に、中国の過剰生産能力を米中で

議論する意向を表明。

7日   訪中したイエレン米財務長官、中国の李強(リー・チャン)首相と北京で会談。

10日 訪米中の岸田文雄首相、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談。

訪中した台湾最大野党の国民党の馬英九前総統、習近平国家主席と会談。習氏、

馬氏の台湾独立反対と両岸(中台)の平和的発展推進論を高く評価すると発言。

11日 10日に実施された韓国総選挙で与党「国民の力」は系列含め108議席にとどまり

大敗。

初の日米比3カ国首脳会談、開催(ワシントン)。フィリピンのマルコス大統領、

海洋進出を強める中国に結束して対処すると表明。

12日 中国外務省、日米フィリピン3カ国による11日の首脳会談などを巡る日本の対応

について、「後ろ向きだ」と抗議。

13日 北朝鮮を訪問中の中国共産党序列3位の趙楽際(ジャオ・ルォージー)

全国人民代表大会(全人代)常務委員長は13日、首都・平壌で

金正恩(キム・ジョンウン)総書記と会談。

15日 シンガポールのリー・シェンロン首相、5月15日に退任すると発表。

後継者にローレンス・ウォン副首相兼財務相(51)を指名。

主要資料は以下の通りで、原則、電子版を使用しています。(カッコ内は邦文名) THE WALL STREET JOURNAL (ウォール・ストリート・ジャーナル)、THE FINANCIAL TIMES (フィナンシャル・タイムズ)、THE NEWYORK TIMES (ニューヨーク・タイムズ)、THE LOS ANGELES TIMES (ロサンゼルス・タイムズ)、THE WASHINGTON POST (ワシントン・ポスト)、THE GUARDIAN (ガーディアン)、BLOOMBERG・BUSINESSWEEK (ブルームバーグ・ビジネスウィーク)、TIME (タイム)、THE ECONOMIST (エコノミスト)、REUTER (ロイター通信)など。なお、韓国聯合ニュースや中国人民日報の日本語版なども参考資料として参照し、各国統計数値など一部資料は本邦紙も利用。

バベル翻訳専門職大学院 国際金融翻訳(英日)講座 教授

前田高昭

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