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JTA News & Topics 」 第185回  

今回は、20231222日に実施しました「日英技術翻訳の勘どころ」セミナー第4(主催:バベルユニバーシティ、後援:一般社団法人 日本翻訳協会)受講者の吉田ひろみさんよりセミナーレポートを投稿いただきましたので掲載をしています。
情報提供:一般社団法人 日本翻訳協会 (Japan Translation Association 略してJTA)           https://www.jta-net.or.jp/
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          「日英技術翻訳の勘どころ」セミナー 第4

― 日本人の弱点を克服して Readable な英文を書こう ―

●レポーター :吉田 ひろみ

バベル翻訳専門職大学院在籍中                                    米国ハワイ州在住。国際企業でフルタイム勤務の傍ら、子育てと学業の両立に奔走中。

前回に引き続き、平井講師(技術士/情報工学、()平井ランゲージ・サービシズ代表取締役社長)のセミナーへ、チャレンジ精神で参加させて頂きました。今回のテーマは、"単語・フレーズレベルの諸ルール-技術翻訳の注意すべき点を中心に-"

他のセミナーと比べ資料のボリュームも多く、毎回、事前にご準備なさる講師の大変さを想像しながら拝読。不思議なことに、今までよりスムーズに理解できました。 中でも、日本語表現と英語表現の違い、和製英語と正しい英語の違いによるミスコミュケーション等は、リゾート(観光地)という土地柄、日々、よくあるシチュエーションなので、双方の間に入ってサポートする事は日常茶飯事。コロケーションの習得は、母国語話者以外には難しいという事も、日本語学習を継続中の家族とのやり取りを通じて実感。また、業務内でもよく見聞きする"Chairman" "Businessman"等は差別用語に当たるので、”Chairperson" "Businessperson"の方がよい事、明快な言葉の選択など、改めて参考になりました。他、フランス語と日本語が似ているという意外なエピソードも興味深かったです。 

コロケーション (collocation) とは、複数の単語間で頻繁に使われる組み合わせを意味し、共起関係ともいう (俗に言う言葉の相性一般に、母語話者 (native speaker) は幼時からその言葉の多様な使い方に習熟しているので、コロケーションはいわゆるネイティブらしさの大きな要素であると言える。一方、母語話者以外にとってはその習得に多大な時間と労力が必要となる。その意味で、コロケーションはテクニカルライティングや翻訳の品質 (特に、流暢さや読みやすさ (readability)を大きく左右する。 

単語/フレーズ・レベルの留意事項

-社会的(法律的)側面の配慮-

(1) Political Correctness (PC) - 差別的表現の排除

(a) 性差別の排除

・避けるべき単語の例: businessman, chairman, manpower, repairman, salesman, serviceman

・代替例: businessperson, chairperson(「会長、司会者」)salesperson, sales representative (sales rep), service engineer, etc.

) everyone” や“anybody” 等の本来単数扱いの不定代名詞は、現代の文法では、“they,” “their,” “them” で受けるのが普通である

(b) 人種や外見に基づく差別の排除

・避けるべき単語の例: Negro, Oriental, Jap, Jew

・代替例: African American, Asian [American], Japanese, Jewish; primary/standby (leader/follower)

(c) 障碍に基づく差別の排除

参考例: https://disability.stanford.edu/sites/g/files/sbiybj26391/files/media/file/disability-language- guide-stanford_1.pdf

) これらは社会の流れとともに頻繁に変わるので、随時ウェブ等でチェックしておくのが望ましい 

-法律的/ビジネス的側面の配慮-

(2) Product Liability (PL) 問題の配慮

(a) 製品安全警告表示の規格(安全警告表示)を遵守する

・全世界的な消費者保護の動き(特に1980年代以降)

・製造者は、知識や財力に欠ける消費者[の安全]を保護する義務がある

・その一環として、製品に潜む危険性をユーザーに明確に報知*する義務がある

* 製品および付随文書(ラベル、マニュアル等)での明確な表示

-ビジネス的側面の配慮-

(3) 法的意味の重い言葉/用語を不用意に使わない

好ましくない例1A thorough investigation has revealed a defect.

改善例1 A thorough investigation has revealed a problem (anomaly, issue, flaw).

1) defect” は「瑕疵、欠陥」に対応する法律用語であり、メーカー責任として即損害賠償につながり得る重みをもつので、使用にあたっては慎重さを要する

(4) [特に通信文 (コレポン) ] 響きが強すぎて(上から目線的で)感情問題を起こす可能性のある言葉を避ける(以下、数例)

キツイ響きをもつ単語/フレーズ 代わりの単語/フレーズ(例)

bad not very good; not the best; not ideal; undesirable; unfavorable

careless inadvertent; remiss; unwitting

claim complaintclaim [賠償]請求等強い意味)

error oversight; inaccuracy 

-その他一般的留意事項-

(1) あまり意味のない(意味がぼんやりとした)言葉を避ける

例: good, bad, nice

・これらは、より意味のはっきりした、読み手に訴える言葉で置き換える例: [high] quality, excellent, not ideal, substandard, nondescript

(2) あまりくだけた(俗な、informalな)言葉を使わない

良くない例1: This plan will save the company a lot of bucks. 改善例1: This plan will save the company a large sum of money. 良くない例2: Weve got a hunch that their design is buggy. 改善例2: The authors have the impression that their design is faulty. その他の俗語例: awful, mighty, stuff, thing

(3) 見かけ上カッコ良いが上調子な印象を与える言葉を避ける

良くない例: The team members were wholeheartedly excited to participate in the expedition into a thus far untrodden horizon.

改善例: The team members were all excited to participate in the challenging expedition into an unfamiliar area.

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●●セミナーのご案内●● 

*ZOOM(オンライン)で受講できます。                           

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●ZOOM オンラインセミナー●

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「日英技術翻訳の勘どころ」セミナー 第7回

― 日本人の弱点を克服して Readable な英文を書こう ―

日本語で書かれた文章を英語に翻訳する上で、日本人が犯しやすい間違いを最少に抑えながら、テクニカルライティングの考え方も取り入れたreadableな(外国人が自然に読める)技術英文を作成する方法に焦点をあてた一連の講義です。

<セミナー目次>

文/文章レベルの諸ルール

1) パラグラフィング

2) パターンの重要性

●講師:平井 通宏(ひらい みちひろ)

・(株)日立製作所でメインフレームコンピューターの設計および輸出に35年間従事した後、社内外国語研修所の運営に4年間携わり、定年退職後15年間神奈川大学や早稲田大学で技術英語の教鞭をとった。

・並行して(益財)日本英語検定協会顧問を11年間務める等、日本人の英語能力評価に携わった。

・日英・英日翻訳(含添削)歴は、社内従事や副業も含め49年に及ぶ(2023年春現在)。

・現職は、(有)平井ランゲージ・サービシズ代表取締役社長。

・英語能力検定試験*の最上級54件取得(日本一ネットで日本記録認定)。

・技術士(情報工学)、工学修士(米国ペンシルバニア大学)

* 米国翻訳者協会 (ATA) (JE/EJ)、JTFほんやく検定1級(JE/EJ)、

「JTA公認翻訳専門職(Certified Professional Translator)」認定取得、

TEP 1級、工業英検1級、TOEICR満点を含む

著書

・『速く正確に読む IT エンジニアの英語』

・『エンジニアのための英文超克服テキスト』

・『エンジニアのための英語プレゼンテーション超克服テキスト』

・『エンジニアのための英会話超克服テキスト-実戦! テクニカル・ミーティング』

・『キクタンサイエンス: 情報科学編』

訳書

・『はじめての STEP BULATS』

●第7回セミナー日程: 2027年6月21日(金) 15時~16時30分(日本時間)

●申込締切 : 2024年6月18日(火)(日本時間)

◆セミナーの詳細・お申込みはこちらまで↓

https://www.jta-net.or.jp/seminar_230623.html

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●●翻訳試験のご案内●● 

*試験は全てインターネット受験ですからご自宅での受験となります。 

●●実施日:2024518日(土)(日本時間)

●●締切:2024514日(火)(日本時間) 

◆《出版翻訳能力検定試験》

1) 44 絵本翻訳能力検定試験(英日)

2) 41 スピリチュアル翻訳能力検定試験(英日)

https://www.jta-net.or.jp/about_publication_exam.html 

◆《ビジネス翻訳能力検定試験》

1) 4 〔日英〕リーガル翻訳能力検定試験

2) 4 〔日英〕医学・薬学翻訳能力検定試験

https://www.jta-net.or.jp/about_business_exam-2.html 

◆《中国語翻訳能力検定試験》

1)42 中日ビジネス一般翻訳能力検定試験

2)42 日中ビジネス一般翻訳能力検定試験

3)42 中国語リーガル翻訳能力検定試験

https://www.jta-net.or.jp/about_chinese_translation_exam.html 

◆第52 翻訳プロジェクト・マネージャー資格基礎試験

https://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm.html

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情報提供 : 一般社団法人 日本翻訳協会 (Japan Translation Association 略してJTA)
●一般社団法人 日本翻訳協会● https://www.jta-net.or.jp/
・設立:1986年10月
・Mission:「翻訳に対する社会の認識を高めること及び翻訳に関する技術及び知識を増進することによって翻訳の水準を高めること並びに翻訳者を支援してその自立を促進することを通じて、世界の文化交流及び産業経済の発展に寄与することを目的とする。」
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