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2022年8月7日 第321号 World News Insight (ALUMNI編集室改め) 

発行:バベル翻訳専門職大学院 ALUMNI Association

日本はウクライナ戦争で何を学ぶか   

バベル翻訳専門職大学院(USA) 副学長 堀田都茂樹
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今回は第29代航空幕僚長の田母神俊雄氏にロシア、ウクライナ戦争で何を学ぶか、日本の安全保障、日本の行方について聴いていきたいと思います。

はじめに、国防軍の設立、自衛隊を国軍への主張を取り上げます。田母神氏、曰く、世界の国で国軍を持たない国というのはない。日本がアメリカとの大東亜戦争に負けて奪われた最大のものは日本軍だと思うんです。軍が存在して、初めて国家なんです。自分の国を自分で守れるということ。でもアメリカは第2次大戦を戦った日本軍があまりにも強かったので、日本がまた再び立ち上がって、強い軍を持ってアメリカに迫ってくるということはもう絶対に避けたいという狙いで、日本、日本軍の徹底的弱体化を図ったわけです。「彼らに任しておくと、国が戦争に突入して破滅的状態にまたなってしまう」ということが戦後ずっと教えられた結果、軍という ものは悪いものというふうに日本国民の相当数の⼈がいまだに思っているということが日本の今1番の問題です。

憲法上も自衛隊は⽇本国軍と位置付けられていないわけです。だから、この自衛隊を憲法上、国軍であると位置付けて、初めて日本が戦後の日本から昔のきちんとした国家である⽇本に戻ることができます。軍事力が外交のバックにはあるわけです。だから言ううことを聞かないと、極端にいうと殴られるかもしれないという、この恐怖感の下に外交というのは展開されているわけです、と。

軍が動くとろくなことにならないというふうに思っているわけで、自衛隊に対して不必要な縛りをかけているわけです。その代表的なものは、まず専守防衛です。専守防衛というのは相手の攻撃を受けてから、こっちが立ち上がるんです。今、ロシアとウクライナが戦争になっています。ウクライナも専守防衛でした。戦争が始まるまで、専守防衛。専守防衛でどうなったかというと、結局、戦場はウクライナの国内になるわけです。だからウクライナの⼈たちは、軍だけではなくて、⼀般の国⺠とか、国⺠の財産とか、施設とか、いろいろ⼤被害を受けてます。それは、専守防衛だからです。とすると、相⼿が準備する前にやっつけていいということだと、攻撃を仕掛ける側も考えるわけです。準備して、準備して、もう徹底的に叩きのめす準備ができてから殴っていくことができるわけです。そうすると⾮常に専守防衛という体制を取る国を攻めるということは簡単なわけです。 だからウクライナはロシアに徹底的に破壊されています。専守防衛というのは、だから大被害を受けてから⽴ち上がるというのが前提です。そうすると戦争の被害というのは大きく復旧するのにお金がかかるんです。おそらくウクライナも、復旧するのに何百兆円とかいう、お金がかかります。

田母神氏は続けます。また、日本の今の防衛は米軍の力も前提にされているかと思うんですけれども、何かあったときに米軍は日本を本当に守ってくれるのでしょうか。いいえ、守らないと思います。それは今回のウクライナとロシアの戦争でも明らかになったと思うんです。よく「ウクライナは NATO の同盟に参加してないから」とか⾔う人がいますけど、これとはまったく関係なく、1994年のブタペスト覚書というのがあるんです。 これはソ連が崩壊した後、ウクライナにはロシアの核兵器の⼤部分があったんです。 1700 発ぐらいの核ミサイルがあったと言われています。これをイギリスとアメリカ とロシアがウクライナに対して「これを⼿放してくれ」と。いわゆる核拡散防止条約と同じように核兵器を持つ国というのを限定して、「核戦争が起こらないようにするために、これを手放してくれ」と頼んだ。「そうしたら、ウクライナの安全はイギリス、アメリカ、それからロシアが責任を持って保証する」という覚書なんです。これは条約です。しかし、今回、ウクライナとロシアの戦争が起きたら、どうでしょう。ロシア、その条約の加盟国の本⼈がウクライナを攻撃しているわけでしょう。では、イギリスとアメリカはどうしたのでしょうか。イギリスとアメリカは条約に基づけばウクライナの安全を保障しなければいけないから、ロシアを⽌めるか、ロシアに対して戦いを挑まなければおかしいわけです。しかし、軍事的な支援、戦車の支援をしたり、いろんな軍事品の支援はするけれど、実際に戦闘に参加して戦っていません。

これはなぜでしょうか。それは、 ロシアは核武装国だからです。アメリカもイギリスも核武装国ですけれども、核武装国どうしの戦争というのはできないんです。それはなぜかというと、核兵器というのは 破壊力があまりにも大きすぎるからなんです。広島とか、長崎でも大被害でしたが、今の核ミサイルというのは、あれの30倍も50倍も破壊力が大きいわけです。そうすると1発落ちたら街が消えちゃう。東京が消えちゃうかもしれない、ニューヨークが消えちゃうかもしれない、それだけの破壊⼒を持つ。そうすると核戦争になれば、相互に撃ち合いになれば、1発も命中しないということはあり得ないですよ。 どんなに頑張って防いでも、必ず1発ぐらいは命中します。でも1発が命中したら、ニ ューヨークが消えちゃう。だからニューヨークが消えて、アメリカが戦争に勝ったと⾔えないでしょう。そうすると核戦争というのは実際できません。破壊力が大きすぎて。だから核武装国どうしの戦争は核兵器出現以降、1回も起きてないということ なんです。これは日本も今後は考えるべき核兵器の抑⽌⼒なんです。そうすると、もしアメリカ、イギリス が今回、ロシアに対してウクライナに加勢して戦闘に参加したならば、エスカレート して核戦争に至る可能性があるわけです。そうするとそれはできないから、結局 プーチン⼤統領も「核兵器を使う。必要なものは何でも使う」と宣⾔しているから、アメリカとか、イギリスが戦闘に参加することが抑止されているわけです。これは核兵器、ロシアの核兵器の抑止力です。

これを日本に当てはめてみると、核武装国中国が非核武装国日本を攻撃するとします。これは核武装国ロシアが非核武装国ウクライナを攻撃するのと同じ構図です。そのとき、アメリカは日米安保に基づいて日本を守ってくれるのでしょうか。日米安保条約というのはアメリカが戦争に自動的に参加することを保証していないんです。日米安全保障条約の第5条には、日本とアメリカは日本の施政権下にある地域が攻撃を受けた場合には、それぞれ日本とアメリカの法的手続きに従って行動すると書いてあるだけな んです。だからアメリカは⼤統領が決めたり、議会が決めたりして、「日本に武器の支援をしようということは決めてくれる可能性は⾼いですが、それ以上のことでアメリカの軍隊を直接戦闘に参加させて 中国と戦うということをやってくれるか。これはウクライナを⾒て明らかです。 中国は核武装国だから。核武装国どうしの戦争になってしまうからできないというこ とです。日米安保というのは、もともとが即時参戦を義務付けている条約ではないわけです。一方、NATO の条約というのは、まだ即時参戦を義務付けているんです。NATO は今、30か国あります。30か国のどこか1か国が NATO の域外から攻撃を受けた 場合には NATO の同盟に参加している、その他 29か国は即時参戦を義務付けられている条約なんです。でも⽇⽶安保はそういう条約ではないということです。だから アメリカは別に戦闘に参加しないから⽇⽶安保違反だということにはならないということなんです。

曰く、日本ははっきり言って、アメリカにうまく言いくるめられていると思います。それは⽇本が戦後、国の守りを真面目に考えてこなかったからです。だからアメリカの言う通りにしていれば、アメリカが日本を守ってくれるんだと日本は思い込まされていた。騙されていたというか、自ら進んで騙されたということだと思います。だから自分の国を自分で守る体制を作る。これが非常に大事で、いざとなったらアメリカが助けてくれるということは考えが甘すぎるというふうに思います。

加えて言うと、「武器はアメリカから、もう買ってきたほうがいいんだ」とか。 それから「国産化とか、そういうことで武器を造って金儲けしたりすることはやめた ほうがいいんだ」というのも、やはり戦後に植え付けられた自虐史観です。日本以外の国は皆、武器を造って、自ら使うし、売るわけでしょう。でも日本だけはそれをしないということですよね。そして⼒のある国、アメリカとか、ロシアとか、あるいはヨーロッパでも、イギリスとか、フランスとかは自分の国の軍隊が使う武器は造るし、そして余ったものをよその国に輸出するということをしていますね。⽇本では 武器輸出というのは悪いことだと皆が思っていますよね。思わされているんです。「だから武器を売って金儲けなんかしなくていいんだ」と。武器を売って金儲けすると言うけれども、武器を売ることは金儲けだけではないんですよね。自分の国で造った武器を使わせておけば、その国に対して外交上、大変強い力を持つことができるんです。

ことほど左様に、日本は戦後、アメリカに植え付けられた自虐史観で、自律の道を自らとらないでいるわけです。今回のロシア、ウクライナ戦争で、日本、日本人はいまこそこの事実に目覚めるべきだと感じるのは私だけでしょうか。

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