「JTA News & Topics 」 第181回
今回は、2023年8月30日に実施しました「社内翻訳者としてのキャリアビルディング」セミナー(主催:バベルユニバーシティ、後援:一般社団法人 日本翻訳協会)受講者の吉田ひろみさんよりセミナーレポートを投稿していただきましたので掲載をしています。
情報提供:一般社団法人 日本翻訳協会 (Japan Translation Association 略してJTA) https://www.jta-net.or.jp/
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「社内翻訳者としてのキャリアビルディング」セミナー
― 現在、過去、未来から考察する ―
・2019年バベル翻訳専門職大学院修了
・外資系メーカーにて、翻訳担当
翻訳会社の翻訳者養成講座を受講したことをきっかけに、
翻訳会社に勤務。その後、外資系IT企業、日系メーカーにて
社内通訳翻訳者として勤務し、現在に至る。
●レポーター :吉田 ひろみ
バベル翻訳専門職大学院在籍中 米国ハワイ州在住。国際企業でフルタイム勤務の傍ら、子育てと学業の両立に奔走中。
前回、宮田講師のセミナーへ参加させて頂いた時のお話がとてもおもしろく印象的でしたので、また、参加させて頂きました。業種職種は異なれど、企業内正社員としての役割、日常業務に通訳・翻訳が求められる事など共通点が多々あり、親近感が湧きました。最近、翻訳作業者から管理者へという役割と立場の変化に伴い、新たな視点から情報をシェアしたい、日本企業には、明文化されていない慣習が未だにある等々、業界裏話を交えたユーモアたっぷり、フレンドリーなトークが楽しくて、あっという間のセミナーでした。
― 現在、過去、未来から考察する ―
日本において、翻訳者として仕事をする場合、多くの方がフリーランスとして在宅で仕事をすることを思い浮かべると思います。その一方で、一つの企業に常駐して、社内翻訳者として働く道があるのをご存知でしょうか。フリーランス翻訳者と比べて、社内翻訳という仕事についてあまり多く語られることはないですが、日本には社内翻訳者という大きな求人市場があります。その一方で、労働市場は常に変化しています。最近の労働市場の様子を踏まえながら、社内翻訳者として仕事していくことについてリアルにお伝えします。
<セミナー目次> 1、はじめに 2、社内翻訳者になるには 3、社内翻訳者の現在 4、社内翻訳職の歴史 5、社内翻訳職の未来
*フリーランス9割 *社内通訳・翻訳コーディネーター 1割以下の少数派 *市場雇用が重なっていない *人材紹介会社へ登録する *日本では資格がない *難易度:エントリーレベルから同時通訳レベルまで幅広い *トライアル:ある場合とない場合、ケースバイケース *語学系人材派遣会社のトライアルは難易度が高い傾向、一般の人材派遣会社はトライアルなしで登録可、語学系人材派遣会社が厳選に選考している間に、一般の人材派遣会社からの紹介者が先に決まってしまう事も多々ある *給与水準:エントリーレベルでも悪くない、1人暮らしの人が贅沢をしなければ暮らしていけるレベル
*同時通訳ができた方が給与は高い *日本企業には、明文化されていない慣習がある *翻訳の仕事⇒女性が多い *正社員の減少⇒社内コミュニケーションの為の社内翻訳のニーズが減少 *正社員になりたい人が多い *最近の傾向⇒パンデミック以降、同時通訳(リモート)求人が急増 求職者の経歴と職種内容がマッチしていればok、特殊技能であることからも年齢制限の枠は緩くなってきているので、自分自身で審査して落とさない事
*1995年を境に変化 語学力の高い男性が多かった(商社) *1995年以降⇒インターネット、グローバル化 *1996年⇒MazdaがFordの傘下に入り、外国人社長が、欧米社員をたくさん連れてきた為、社内コミュニケーションとしての英語ニーズが急増、人材派遣会社曰く、業界として、求人の出し方とノウハウを学んだ時期 社内翻訳者=アシスタント=女性 *1997年 EU誕生⇒要語学力の仕事が急増 *1999年 日産&ルノー ゴーン社長の通訳・翻訳(社内のTOEIC 満点の数人) *2010年頃から変化⇒社内通訳を減らす傾向(自分の仕事くらいなら、英語でできる人がたくさんいる) *2015年 派遣労働法の改定(3年契約) *2020年 パンデミックによる影響、会議のオンライン化 *正社員に求められる事⇒翻訳+α
*今後どうなっていくのか?(未来)
日本全体の雇用環境が変わる?就職ではなく就社?ジョブ制(ポジションに見合った人を外から採用)
定年制度の崩壊、撤廃?
自己責任=働かなければならない(米国ではすでに撤廃)
*AIをライバル視せず、味方に付ける=戦略的に使えばよい
翻訳メモリー⇒昔、人間が翻訳したものがベース、新しいものを翻訳する知識、スキルが必用
*語学力を必要とする職種は年々増えている
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●●セミナーのご案内●●
*ZOOM(オンライン)で受講できます。
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●ZOOM オンラインセミナー●
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「翻訳における視点と語り手をめぐる問題」セミナー
― 「~は」、「~た」などの形式をめぐって「話し手の言語」としての日本語 ―
感情形容詞が「太郎はさびしい。」のように三人称には使用できないことなどにも示されているように日本語は「話し手の言語、立場志向」といわれている。「(「旅行行ったんだってね、」)うん、奈良の大仏は大きかったよ。」の「大きかった。」も、話し手の自分の経験した事柄に対する気持ち・反応の現れであって、発話時点でも大きいことに変わりはない大仏の属性の描写のみに収まりきらない。
このことは小説の語り手の位置の問題にも関係し、川端康成の「雪国」の冒頭の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」も英訳などでは客観的な描写になってしまうが、日本語ではあきらかに「汽車の中にいてそれを経験した人になりきっている語り手の声」である。
講義では以上のような問題点に関してこれまで指摘されていることがらのいくつかを整理、紹介していく。
そして以前扱った「機械翻訳」や「役割語」も含め翻訳においての問題点を考える。
●セミナー目次
1.はじめに
2.事実志向と立場志向
3.言語形式と語り手
4.「た」をめぐって:古語「き、けり」「つ、ぬ、たり、り」の意味用法から現代語「た」へ
5.「は」をめぐって:主題を提示する語り手の問題
6.翻訳における「話し手の立場」の扱い
●講師:猪塚 元(いのづか はじめ)
・上智大学外国語学部ロシア語学科卒業、
同大学大学院言語学研究科 博士前期課程修了 文学修士
・日本語教育能力検定試験 合格
・東邦大学等で講師 大学院では音声学の研究室に所属し10年ほど日本
各地で方言のフィールドワークに従事
大学院終了語、辞書出版社で露和・和露、英和・英英などの辞書の編纂
また情報処理振興事業協会でコンピュータ用日本語辞書のプロジェクトに
従事。
著書
(共著:猪塚恵美子)『日本語の音声入門 新版』2022バベルプレス
(共著:猪塚恵美子)『日本語音声学の仕組み』2003研究社
(共著:井口厚夫他)『Japanese Now(英文)』1993荒竹出版
『キクタン ロシア語 入門編』2014アルク
(共著 原ダリア)『キクタン ロシア語 会話編』2017アルク
(共著 原ダリア)『キクタン ロシア語 初級編』2019アルク
●セミナー日程: 2023年11月10日(金)15時~17時(日本時間)
<途中10分ほどの休憩が入る場合がございます>
●申込締切 : 2023年11月7日(火)(日本時間)
◆セミナーの詳細・お申込みはこちらまで↓
https://www.jta-net.or.jp/seminar_20231110.html
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●●翻訳試験のご案内●●
*試験は全てインターネット受験ですからご自宅での受験となります。
●●実施日:2023年11月11日(土)(日本時間)
●●締切:2023年11月7日(火)(日本時間)
◆《出版翻訳能力検定試験》
1) 第42回 絵本翻訳能力検定試験(英日)
2) 第39回 スピリチュアル翻訳能力検定試験(英日)
3) 第2回〔日英〕出版翻訳能力検定試験(ノンフィクション分野)
https://www.jta-net.or.jp/about_publication_exam.html
◆《ビジネス翻訳能力検定試験》
1) 第2回 〔日英〕 IR・金融翻訳能力検定試験
2) 第2回 〔日英〕 特許翻訳能力検定試験
https://www.jta-net.or.jp/about_business_exam-2.html
◆第50回 翻訳プロジェクト・マネージャー資格基礎試験
https://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm.html
◆《中国語翻訳能力検定試験》
1)第40回 中日ビジネス一般翻訳能力検定試験
2)第40回 日中ビジネス一般翻訳能力検定試験
3)第40回 中国語リーガル翻訳能力検定試験
https://www.jta-net.or.jp/about_chinese_translation_exam.html
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情報提供 : 一般社団法人 日本翻訳協会 (Japan Translation Association 略してJTA)
●一般社団法人 日本翻訳協会● https://www.jta-net.or.jp/
・設立:1986年10月
・Mission:「翻訳に対する社会の認識を高めること及び翻訳に関する技術及び知識を増進することによって翻訳の水準を高めること並びに翻訳者を支援してその自立を促進することを通じて、世界の文化交流及び産業経済の発展に寄与することを目的とする。」
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