――長編は「展開」ではなく「摩擦の持続」で作る
短い場面は書ける。では、長編はどう作るのか
前回、私は「状況駆動型創作」という考え方を紹介しました。
これは、物語を最初から筋書きとして組み立てるのではなく、まず状況を置き、そこに人物の欲望や歪みを入れ、その条件の中で人物がどう反応するかを観測していく方法です。AIには、物語そのものを丸ごと作らせるのではなく、条件下での人物の反応をシミュレーションさせます。
この方法は、短い場面を書くときには非常に有効です。
人物が何を望み、何を恐れ、世界をどのように誤読しているのか。その人物がある状況に置かれたとき、何を言い、何を隠し、どのように行動するのか。こうした条件を与えると、AIはかなり自然な場面を出してきます。会話も動く。心理も出る。人物の反応にも、それなりの必然性が出る。
しかし、ここで次の壁に突き当たります。
短編や一場面ならうまくいく。けれども、長編にしようとすると失速するのです。
書き始めは面白い。人物も立っている。会話にも熱がある。ところが途中から、同じようなやり取りが続き、物語が前に進んでいる感じがしなくなる。AIに続きを書かせると、もっともらしい場面は出てくるのに、全体としての圧力が弱くなる。読者を引っ張っていく力が落ちていく。
これは偶然ではありません。むしろ、AIを使って長い物語を書こうとすると、かなり高い確率で起きる現象です。
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