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ドイツ語書籍レポート  

海外旅行気分に浸れる写真満載の2冊
             篠田珠(日本翻訳協会 ドイツ語翻訳能力検定2級)


長引く円安の影響で、海外旅行が難しくなっていますね。今回は、海外旅行気分に浸れる写真満載の2冊を紹介したいと思います。

・Bücherorte(本がある場所):2023年
読書好きな人達に、ぜひ紹介したいのがこの本です。ヨーロッパ各地、約80か所の図書館や書店、街の風景などを全編カラー写真で紹介しています。
膨大な蔵書を誇る大学図書館、きらびやかな装飾に圧倒される修道院図書館もあれば、簡素な装飾ながら歴史を感じさせる図書館。斬新な設計の公立図書館、田舎にたたずむ小さな図書館小屋、趣のある書店や大聖堂の中にある書店。また、人々がくつろぎながら本を読む図書館から、道行く人が気軽に立ち寄る書店まで、各地の「本がある場所」が主役です。作家の記念館、文豪たちが通ったカフェから、文化イベント、古本市、各地のお勧め観光名所やホテルの情報にいたるまで、「本」にまつわる情報がぎっしり詰まっています。
作家や作品ゆかりの地を訪ねる章では、駆け足ながら、さらに「本」を巡る旅へ出ます。トーマス・マンゆかりの地であるヴェネツィアや、ドイツのリューベック。「長靴下のピッピ」で有名なアストリット・リンドグレンのストックホルム。ムーミンの町フィンランドのナーンタリ。ハリーポッターはロンドン、エジンバラなど。メルヒェン街道はハーナウ、カッセル、ハーメルン。ジュール・ヴェルヌ「地底旅行」の舞台アイスランド。アガサ・クリスティーゆかりの地の一つスペイン、マヨルカ島など盛りだくさん。そしてさらに、ローマ、アムステルダム、プラハ、マドリッド、ウィーン、コペンハーゲンなど20か所については、各街に関連した作品約170作品(うち邦訳があるのは約100作品)がお勧め書籍として紹介されています。オスカー・ワイルド、チャールズ・ディケンズ、ゲーテなど古典作品だけでなく、現代作家も多く、特にイタリア、チェコ、ポーランドなど日本ではあまり知られていない作品の紹介もあるのです。読書を通じて、それぞれの街の新たな魅力が発見できるかもしれません。写真と読書でヨーロッパを満喫し、そしていつかヨーロッパ旅行を思い立ったときにもきっと役立つ、実に贅沢な一冊です。

・Die faszinierendsten Friedhöfe der Welt (素晴らしい世界のお墓):2024年

世界のお墓に関する本は、すでにいくつかありますが、ここでは約70か所に絞った各地のお墓を写真で巡ります。

アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北南米、そしてオセアニア。宗教、文化、風習が異なれば、お墓もしかり。実に様々なお墓があるのです。

フィリピンの絶壁にぶら下がる棺桶の光景は、いわゆる墓地やお墓のイメージからは程遠く、面食らってしまいます。天に近い絶壁に安置することで、死者がいつでも自由に死後の世界へ旅立てるのだ、という意図があるそうです。陽気なお墓と呼ばれるルーマニアの墓地には、華やかな装飾が施されたお墓が広がります。青色を基調とした木製の墓標に、故人の生涯の一場面などが描かれているそうです。また南米グアテマラでは、墓地の風景らしくないカラフルな写真に驚きます。これは、親族たちが故人との続柄によって、異なったパステル色を墓石に塗る風習があるためなのです。一つの墓石だけでもピンク、黄色、緑と実にカラフル。死者への愛情と敬意の表現には、様々な形があるのだなと感心します。

アフリカといえば、エジプトのピラミッド。カイロ南部にある古代の大規模な埋葬地サッカラには、最古のピラミッドである階段ピラミッドがあります。また、スーダンのオールド・ドンゴラある、ハチの巣をさかさまにしたような円錐型のお墓は、中世に栄えたマクリア王国時代のものだそうです。

歴史的、伝統的な墓地や墓とは打って変わって、ドイツには14年前に開園した、サッカーファン専用の墓地があります。「シャルケ ファンフィールド」と名付けられたサッカーチームシャルケ04ファンの墓地には、こだわりが見て取れます。墓地の中心部にはチームのロゴ。お墓の数は、チームの創立年にちなみ1904区画。供養に使用できる花の色はチームカラーの白と青のみ、と徹底していて面白いですね。そのうち、他のサッカーチームのファン墓地も登場するでしょうか。

上に挙げた以外にも、草原に静かにたたずむノルウェーの歴史的な墓地、ターゴイズブルーの装飾が美しいウズベキスタンの霊廟、人骨が装飾に使われているチェコの納骨堂など、少々薄気味悪いものまで変化に富んでいて、お墓文化に興味が湧いてきます。お墓という視点から、世界を眺めるのもおすすめです。


しのだたま

ドイツ語翻訳能力検定2級取得

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