東アジア・ニュースレター
海外メディアからみた東アジアと日本
第180 回

バベル翻訳専門職大学院 国際金融翻訳(英日)講座 教
中国は他のすべての国・地域を犠牲にする「近隣窮乏化」成長モデルを追求しているとメディアが批判する。輸入が横ばいで推移するなか、輸出を急増させ、工業製品の世界市場でシェアを大幅に伸ばしており、今後数年間に中国の経済成長は年率約0.6ポイント加速するが、他国の成長率は年0.1ポイント押し下げられるとの試算を紹介する。
台湾への武器売却を第2期トランプ米政権がようやく実行に移すことを表明した、メディアはこれを歓迎し、さらなる売却を勧奨している。高市首相の台湾問題発言も引用し、中国共産党政権への譲歩的姿勢は台湾問題への解決に役立たないと明確に指摘する。
韓国政府は関税をめぐる対米交渉で3,500億ドルの投資を公約した。その資金調達の一環として外貨建ての債券発行枠を大幅に引き上げた。与党も2国間投資基金の創設と最大20年間の運営主体設置を含む法案を準備している。ウォンは対ドルで大幅に下落しているが、原因は米国株に殺到する韓国個人投資家にあると中央銀行は指摘している。
北朝鮮に対する米トランプ政権の政策が不在だとメディアが指弾する。このまま事態を放置すれば、日韓も核武装に動き、「ガソリンの臭いが充満した部屋で、あまりにも多くの手がマッチを握っている」という状況に至るだろうと警鐘を鳴らす。ただし、解決策に向けたヒントは明示する。
東南アジア関係ではベトナム経済が好調を維持している。政府は今後5年間の経済成長率の目標を10%に設定している。トランプ高関税にもかかわらず対米輸出が好調で外国直接投資も増加傾向にある。ただし、ベトナムの対中貿易赤字は拡大しており、これは中国からの輸入品を米国向けに輸出しているためとみられる。
インド中央銀行が通期成長予測を上方修正するなかで利下げに踏み切った。インフレ率は昨年の6%超からほぼゼロ水準まで緩和しているが、経済は好調で今年9月までの3四半期で8.2%の成長率を示した。ただし、モディ首相は2047年までに先進国入りする目標を掲げ、その実現には年平均約8%のGDP成長率が必要だとされている。
主要紙社説・論説欄では、最近の緊張する日中関係に関する主要メディアの報道や論評を観察した。
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北東アジア
中 国
☆ 「近隣窮乏化」モデルで成長する中国経済
12月9日付ウォ-ル・ストリート・ジャーナルは、中国経済成長のカギは他国の犠牲の上に成り立つ「近隣窮乏化」モデルにある、と以下のように論じる。筆者は、WSJ経済担当チーフコメンテーターのグレッグ・イップ(Greg Ip)氏。かなりの長文であり、以下はその概略である。
突然だがクイズだ。今年、自国以外の世界の経済成長により大きく貢献しているのは、中国と米国のどちらだろうか。答えは米国で、両国の間には大きな差がある。米国は関税をかけているにもかかわらず、輸入は今年これまでに前年同期比で10%増加している。一方、中国は保護主義に反対しているが、同国の輸入はドル建てで3%減少している。米国の数字は関税引き上げを見越した取引を反映した異常値かもしれないが、中国の数字は異常値ではない。過去5年間で中国の輸出量が急増したのに対し、輸入は横ばいで推移している。中国は工業製品の世界市場でシェアを大幅に伸ばしている。このことは厄介な真実を明らかにしている。中国は他のすべての国・地域を犠牲にして「近隣窮乏化」成長モデルを追求しているということだ。
ゴールドマン・サックスのエコノミスト陣がまとめた最近のリポートは、この点を明確に説明している。それによると、かつては中国の生産が1%増えると輸入が増えるため他国の生産が0.2%押し上げられた。ゴールドマンは新たな予測でこの関係がマイナスに転じたと結論付けた。中国の成長を主導しているのは「製造業の競争力を一段と高め、輸出を増やすという指導部の決意と能力」だという。安価な中国製品が購買力を高める限りにおいては他国にとってプラスだ。しかし、その恩恵に比べれば各国の製造業が中国との競争によって受ける打撃の方が大きい。ゴールドマンはそれが今後、欧州や東アジアの他の工業国やメキシコにとってますます大きな障害になると予想している。結論として、今後数年間に中国の経済成長は年率約0.6ポイント加速するが、それによって他国の成長率が年0.1ポイント押し下げられるとゴールドマンは予想している。
中国は現在、世界第2の経済大国で世界最大の輸出国だが、その哲学はかなり異なる。中国が貿易の均衡や比較優位の原則を信じたことは一度もない。西側諸国から重要な技術を取り入れたものの長期的な目標は常に自給自足だった。中国の最高指導者である習近平氏は2020年、このアプローチを「双循環」と呼んで体系化した。これによって「国際的な工業網の(中国への)依存度が高まる」一方で、中国の生産の「独立性」と「自立性」が確保されると述べた。中国が航空機や半導体といった高付加価値の製造業へと生産分野を広げる中でも、習氏は玩具や衣料品などの低付加価値の生産を放棄してはならないと命令した。政府は国外に投資する中国企業に対し、「iPhone (アイフォーン)」や電池の生産などに関して重要なノウハウの移転を思いとどまるよう求めた。習氏は、同国の経済モデルを投資・輸出・貯蓄を主体とするものから、個人消費と輸入を主体とするものに移行させるための財政改革を拒否した。
もちろん、輸出主導型の成長、あるいは特定部門への政府支援を通じた産業政策を推し進めたのは中国が最初ではない。西ドイツや日本、後には韓国も同じことを行い、やがて米国にとって長年の不満要因となる貿易黒字を抱えるに至った。しかし民主的な西側諸国の一員として、これらの国は経済的な相互依存を恐れず、輸入を排除しようとすることもなかった。各国はバリューチェーンの上流へと移行する中で付加価値の比較的低い製造業がより低所得の国々へ移転することを容認した。ジョー・バイデン前米大統領の政権で国家安全保障会議(NSC)のメンバーを務めた中国専門家のラッシュ・ドーシ氏は、これらの西側諸国では「繁栄への欲求が原動力になっていた」と指摘。「中国を突き動かしているのは要塞(ようさい)的な考え方であり、同国は産業支配こそが富と権力のカギだと見なしている。これらは、ナショナリズムと共産党に深く根ざした長年の目標だ」と述べた。現在、中国は世界の国内総生産(GDP)の17%を占める。ゴールドマンの試算によれば、貿易の最も広い尺度である経常収支で見た中国の黒字は2029年までに世界のGDPの1%に達し、少なくとも1940年代終盤以降ではどの国の黒字よりも大きくなる見通しだ。
2020年時点では、中国で販売された約2,000万台の自動車のうち、およそ60%を外国メーカーが供給し、その多くは中国企業との合弁会社が運営する現地工場で生産されていた。市場調査・助言会社ダン・インサイツのマイケル・ダン氏によると、こうしたメーカーの幹部らは、中国以外の市場で自社の売り上げを奪うカニバリゼーション(共食い)が起きないよう、これらの合弁会社から輸出することは決してないと強調していたという。それ以降、中国の自動車メーカーが電気自動車(EV)市場に参入し、国外メーカーの市場シェアは40%を下回った。国外メーカーの中国合弁会社は内燃エンジン車の生産能力が過剰となり輸出を開始した。カニバリゼーションが始まっている。ダン氏によれば、メキシコで販売されている「シボレー」ブランドの上位5モデルのうち、4モデルはゼネラル・モーターズ(GM)の合弁パートナーが中国で製造しているという。従来これらのモデルはメキシコか韓国で製造されていた。
多くの国が中国のやり方に不満を抱いている。中国の戦略は多くの国の製造業と輸出機会を圧迫しているがどの国にも解決策はない。中国は多くの製造分野で支配的地位に立つことで圧倒的な影響力を得ている。オランダ政府が安全保障上の理由から、同国に本社を置く中国系半導体メーカー、ネクスペリアの支配権を掌握した際、中国がネクスペリア中国事業からの半導体輸出を禁止したため、顧客である自動車メーカーの生産がまひ状態に陥った。オランダはこの措置を停止した。他国からは関税への対抗措置をほとんど受けなかったドナルド・トランプ米大統領は、中国が重要鉱物の輸出を制限すると妥協を余儀なくされた。
中国の猛烈な輸出攻勢に歯止めをかける最も効果的な方法は、米国が同じような考えを持つパートナーと協力することだろう。例えば、中国製自動車に共通の制限を課しつつ、協力国とは相互に制限を低く抑えるといったことだ。これまでのところ、トランプ氏はこうした共同戦線に関心を示していない。ただ、同氏が交わしている2国間協定には、中国からの輸出に抵抗するためのインセンティブが含まれている。マレーシアが国家安全保障を理由に米国が中国に課している輸出規制に相当する措置を取ることで合意したのは、その一例だ。共同戦線を組む候補として自然なのは北米だ。カナダとメキシコは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に盛り込まれた低関税を維持するため、積極的に米国に加勢し、中国に対する障壁を強化する可能性がある。だが、時間の猶予はない。カナダは昨年、米国に倣って中国製EVに100%の追加関税を課した。その後カナダはトランプ氏から自動車関税を課され、中国からはカナダ産農産物への報復関税を課された。二正面での貿易戦争に陥ったカナダは、中国に対する関税を見直している。
以上のように、記事は冒頭で中国は過去5年間で輸入は横ばいで推移するなか、輸出量は急増し、特に工業製品の世界市場でシェアを大幅に伸ばしているとし、中国は他のすべての国・地域を犠牲にして、「近隣窮乏化」成長モデルを追求していると批判する。今後数年間に中国の経済成長は年率約0.6ポイント加速するが、それによって他国の成長率が年0.1ポイント押し下げられるとのゴールドマンの試算を紹介する。中国の長期目標は常に自給自足で、習近平主席はこのアプローチを「双循環」として体系化しており、こうした中国を突き動かしているのは要塞(ようさい)的な考え方で、そこでは産業支配こそが富と権力のカギだと見なしていると指摘する。こうした中国の猛烈な輸出攻勢に歯止めをかける効果的な方法として、米国と同様な考えを持つパートナーとの協力を挙げ、そうした共同戦線を組む自然な候補としてカナダ、メキシコ、そして国家安全保障を理由に米国が中国に課している輸出規制に相当する措置を取ることで合意したマレーシアを挙げる。
ただし、こうした共同戦線を張ることに肝心のトランプ米大統領が関心を示していないことが問題であろう。そしてもっと問題なのは、こうした中国の近隣窮乏化政策が他の工業国、特に日本を含む東アジア諸国の経済成長にとって障害となり得ることである。
台 湾
☆ トランプ米政権、台湾への武器売却を決定
11月13日付ロイター通信によれば、米国防総省は同日、台湾に戦闘機の予備部品と修理部品を3億3000万ドルで売却する計画を承認したと発表した。トランプ大統領の1月の就任以来、こうした取引は初めてとなる。同省は声明で、「提案された売却により、(台湾は)保有するF─16やC─-130などの航空機の運用態勢が維持され、現在および将来の脅威に対応する能力が向上するだろう」と述べた。
こうした米政府の動きについて11月20日付ウォ-ル・ストリート・ジャーナルは社説で、トランプ米大統領の第2期政権発足後、初めてとなる台湾への武器供与として重要な取引であり、太平洋での抑止力強化の一助としてさらなる武器売却の前兆となるのを期待すると以下のように論じる。
世界情勢における最大の疑問の一つは、トランプ大統領が中国の習近平国家主席と大いなる妥協を目指しているかどうか、そしてそれが米国にどのような代償をもたらすかである。したがって、友人である台湾への武器売却により、米国が太平洋における国益の防衛が脅かされることはないことをトランプ政権が示したことは、朗報である。米国防安全保障協力局は、台湾に対する3億3,000万ドル規模の武器販売の可能性を議会に通知した。その内容には戦闘機や輸送機の予備部品、米国の技術・物流支援などが含まれている。しかし、詳細よりも重要なのは、これがトランプ大統領の第2期政権による台湾への初の武器販売であるということだ。今年、トランプ大統領が貿易協定で習主席に働きかけるため、台湾への武器供給を保留しているとの噂が流れていた。
中国共産党の反応に合わせて米国の武器販売を調整するのは愚かな行為である。日本の高市早苗首相が日本の裏庭である台湾への中国軍の攻撃は自国の存亡を脅かすと発言したことを受け、中国の外交官は最近、高市首相の首を切ることをほのめかした。中国の野心に譲歩しても台湾に対する共産主義者の野望は和らぐことはない。この武器販売が、さらなる売却の前兆となることを期待したい。台湾は、台湾海峡を越えて侵攻を試みた場合、米インド太平洋軍司令官のサム・パパロ提督が中国軍にとって「地獄のような光景」と表現したものを実現させるために多くの機雷や自律走行車両など、豊富な防衛能力を必要としている。
ピート・ヘグセス国防長官は今月初め、米国政府が武器の納入を迅速化するため対外軍事販売制度の見直しを進めていると述べた。ヘグセス長官は「私が各国大統領、首相、国防相と行う会話は、すべて『対外軍事販売に何か問題があるのか、2014年に発注したのに2025年になっても納入予定は2032年だ』というような内容だ」と語った。台湾は、その緊急のニーズを考慮して、発注した武器を最優先で受け取る権利がある。また、2030年までに国防費をGDPの5%に引き上げるという目標を達成するには、より迅速な納入が不可欠である。
一方、台湾と米国は、武力紛争に至らないレベルの挑戦にも備える必要がある。ワシントンD.C.におけるシンクタンクの一つ、民主主義防衛財団(Foundation for Defense of Democracies)の新しい報告書は、台湾がほぼ完全に輸入に依存しているためにエネルギー面で脆弱であることを詳述している。報告書によると、中国は「経済的、法的、サイバー上の手段を用いて、台湾の燃料供給を締め付け、その政治的意思を分断する」ことができるという。台湾は数週間分の液化天然ガスしか貯蔵できない。
中国が先進技術を搭載した第三空母を就役させたことは、中国政府の野心が台北に新たな旗を掲げる以上に遥かに大きいという警告である。台湾海峡における抑止力強化に向けた一歩を踏み出した米政権の姿勢は評価すべきだ。
以上のように、社説はトランプ政権がようやく台湾への武器売却を実行に移したことを歓迎し、さらなる売却を勧奨している。高市首相の台湾問題発言も引用し、中国共産党政権への譲歩的姿勢は台湾問題への解決に役立たないと明確に指摘したことも注目される。
韓 国
☆ 政府、巨額の対米投資に備え外貨建て起債を準備
関税をめぐる対米交渉で韓国政府は3,500億ドルという巨額の対米投資を約束した。米国政府は当初、前払い・現金投資を要求し、これに対して韓国政府は為替市場の安定性と財政負担を考慮して保証・貸出中心に投資構造を組むべきだと主張して対抗した。3,500億ドルは韓国外貨準備高(4,220億ドル)の83%にのぼり、短期間にドルが流出するとウォン安など「通貨危機」につながる可能性があったからである。折衝の結果、11月中旬に両国は年間ドル流出を200億ドルに制限することで合意した。これに基づき韓国与党は先月、2国間投資基金の創設と最大20年間の運営主体設置を含む合意実施法案を提出した。
また韓国政府は外貨建ての債券発行枠上限を引き上げた。12月3日付フィナンシャル・タイムズによれば、米韓貿易協定による通貨への影響が懸念されるなか、韓国政府は、ワシントンでの貿易協定に基づく米国への3,500億ドル投資公約の資金調達に向け、外貨建ての債券発行枠を大幅に拡大した。韓国財務省によると、12月2日遅くに国会で承認された次年度予算案では、外貨建ての債券発行枠の上限が従来の14億ドルから過去最高の50億ドルに引き上げられた。ウォン価値防衛に活用される同債券の上限額は、今年度は35億ドルであった。
この措置は、韓国車輸出関税を15%に引き下げる一方で巨額のドル流出を伴うため通貨安リスクを招く恐れのある、韓国の対米投資公約への対応を目的としているとみられる。韓国は10月、外貨準備高(4,307億ドル)を強化するため、約17億ドル相当の円建て・ドル建て債券を売却した。この売却は、6月に実施した過去最大規模となる14億ユーロのユーロ債発行に続くもの。ウォンは6月末以降、対ドルで8%下落したが、韓国中央銀行は急落の原因として米国株に殺到する韓国個人投資家を指摘している。
個人投資家は今年、過去最高の純額300億ドル相当の米国株を購入しており、2024年通年の約3倍に相当する。韓国証券保管振替機構のデータによると、11月末時点で個人投資家が保有する米国株は過去最高の1,600億ドルに達し、5年前から4倍に増加した。先週の政策金利決定後の記者会見でウォンが1ドル=1,500ウォンに迫る中、李昌鎬(イ・チャンヨン)韓国銀行総裁は「韓国特有の現象」への懸念を表明した。同総裁は、米国株に多額の投資を行う若年層が通貨リスクを理解しているか、為替変動リスク管理の適切な指導を受けているか疑問を呈した。金融監督院は今週、個人投資家の為替リスク対策を見直す方針を表明。李燦鎮(イ・チャンジン)金融監督院長は「個人投資家の海外株式投資を規制する計画はないが保護措置の検査を実施する」と述べた。
ウォン安は政策当局者を警戒させ続けている。具潤哲(ク・ユンチョル)企画財政相(財務相に相当)は先週、世界第3位の規模を誇る公的年金基金の活用を含む「あらゆる政策手段」を通じた通貨安定化を誓約した。他方、アナリストらは、海外株式投資によるウォンへの圧力は来年緩和されると予想している。シティグループのアナリスト、キム・ジンウクは今週のレポートで「韓国個人投資家と外国株式投資家による資本流出圧力の合計はピークを過ぎた可能性がある」と記した。
以上のように、韓国政府は3,500億ドルの対米投資公約の実現に向けた対策の一環として、外貨建ての債券発行枠を大幅に引き上げた。政府は通貨ウォンへの悪影響を懸念し、米国に対して投資に伴うドル流出を年間200億ドルに制限することを求めて合意し、その後、与党は2国間投資基金の創設と最大20年間の運営主体設置を含む法案を提出している。ウォンは6月末以降、対ドルで8%も下落したが、韓国銀行は急落の原因として、米国株に殺到する韓国個人投資家を指摘している。したがって政策当局としては、むしろ投資家、特に個人投資家の海外株式投資動向に目を光らせる必要がありそうだ。
北 朝 鮮
☆ 漂流する米国の北朝鮮政策
トランプ米大統領は、アジア経済協力会議(APEC)首脳会議で韓国を訪れた際に北朝鮮の金正恩総書記との会談を望んでいたようだが、実現しなかった。これに関連して11月15日付ブルームバーグ論説記事は、米スティムソンセンターのジョエル・ウィット特別研究員は、それが実現していれば、会談は無残な結果に終わっただろうと指摘していると伝えると共に、最近の米朝関係の動向について以下のように論評する。論説記事の筆者は、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで米国の外交・国家安全保障・地政学を担当しているアンドレアス・クルート氏。
現在、北朝鮮は50~90発の核兵器と、ミサイルなど米国本土に到達可能なものを含むあらゆる種類の運搬手段を保有していると推定されている。トランプ氏にとって不愉快なことに、彼も少なくとも4人の前任者と同様にこうした事態に至った責任の一端を負っている。特に、最初の任期中に金正恩と行った3回の派手だが失敗に終わった首脳会談が挙げられる。問題は、トランプが自らを交渉の達人・平和構築者として過大評価している点だけではない。ウィット氏が指摘するように「金正恩と3度の首脳会談を行ったことで、自分ほど彼を理解する者はいない」と考えているため、助言に耳を貸さない点も問題だ。さらに悪いことに、トランプは今も「2019年の北朝鮮と交渉している」と思い込んでいる。実際には、地政学的・戦略的状況はトランプ氏の認識を超えた変化を遂げており、米国側に明らかに不利な方向へ動いている。
この変化を理解するため、現在、ウィット同様スティムソンセンターに所属しているロバート・カーリン氏に話を聞いた。彼もまた北朝鮮の非核化を試みてきた米国務省内のベテランであり、朝鮮半島に関する情報収集を統括していた。以下は、平壌の立場と思考様式が当時(1990年代からトランプ・キム首脳会談頃まで)と現在でどう対照的かを示すものだ。
当時、北朝鮮は孤立していた。ロシアや中国さえも、いわゆる六者会合¹や国連安全保障理事会において、米国の北朝鮮非核化への取り組みに協力していた。その結果、北朝鮮経済の近代化を望んだ金正日、そして後にその息子は、米国との関係正常化を切望した。米国大統領はこの見通しを大きな人参としてぶら下げることができた。同時に米国は制裁という「大きな棒」を振るい、中国とロシアも多かれ少なかれその執行に協力した。背景には、在韓米軍と米国の核の傘が北朝鮮の侵略に対する効果的な抑止力として機能しているように見えた。
しかし状況は一変した。今日の北朝鮮はもはや孤立していない。代わりにロシアと相互防衛条約を結び、ウクライナ侵攻でロシア軍と共に戦う兵士を派遣した。古くからの同盟国である中国との関係も改善している。9月に北京で会談した金正恩、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席は自信と友好に満ちた笑顔を見せ、新たな反米「軸」の誕生を強く示唆した。朝鮮半島の非核化に向け米国と協力するどころか、中露両国は今や国連安保理で北朝鮮を庇護している。したがって金正恩はもはや米国との国交正常化を必要としない。米国の追加制裁試みも懸念していない。中国とロシアが過去以上に露骨に制裁回避を支援するからだ。人参も棒も消えたのである。
さらに悪いことに、核兵器を保有し中露両国と結託した金正恩は、もはや米軍を畏怖していない。カーリンは私にこう語った。「金正恩は米国と同盟国へのコミットメントが弱体化していると結論づけ、『自らを反帝国主義の指導者』と見なしている。プーチンや習近平と並ぶ『大物の一人』として、米国を半島から押し戻し追い出すつもりだ」。カーリンは、キムが「今や韓国への攻撃さえも許されると考えている」と確信している。ロシアが東欧で、あるいは中国が台湾海峡で同時攻撃を仕掛ける可能性すら排除できない。抑止力はもはや機能しない、とカーリンは語った。
米国では、新たな人参と鞭をどう用意すべきか、誰も見当がつかないようだ。しかしカーリンとウィットは、この悪しき状況を悪化させないための少なくとも一つの方法を明確にしている。それは米国の同盟関係、特に韓国や日本との同盟を弱体化させるのではなく確固たるものとし、抑止力の残存部分を可能な限り長く維持することだ。ところがトランプは、韓国を含む同盟国を米国の関税を課すに値するフリーライダーと見なしている。韓国がNATO同盟国と同様に防衛負担をもっと分担すべきだと要求するのは正しい。しかし米韓両国が同盟の「近代化」を協議する中、トランプ氏は米軍の段階的撤退(あるいはグアムへの移動)という選択肢を繰り返し持ち出す。北朝鮮が韓国に先制核攻撃を仕掛けた場合、トランプ氏が北朝鮮に報復し「サンフランシスコとソウルを交換する」リスクを冒すか否かは議論の余地がある。最悪の場合、その可能性はますます高まっているが、韓国、そしておそらく日本も自国の核兵器が必要だと結論づけて開発に乗り出すだろう。そして彼らが準備を進める間、キムはさらに先制攻撃に踏み切る誘惑に駆られる。ウィットはこう主張する。「ガソリンの臭いが充満した部屋で、あまりにも多くの手がマッチを握っている」と。
コラムニストは解決策を提示すべきだ。「ただボタンを押して提案を投げ出すな」とカーリンは私に促した。「第一歩は新たな現実と向き合うことだ」。トランプ大統領や国家安全保障チームがそれを実行した兆候は全くない。「合意」を宣言したいがために、トランプは実質的な見返りもなく金総書記に過剰な譲歩をし、韓国を犠牲にするかもしれない。今、金総書記との首脳会談を急げば、プーチンとの時と同様に翻弄されるだろう。朝鮮半島の非核化追求は失敗に終わり、もはや米国政策の目標とはなりえない。代わりに目標とすべきは、核戦争を含む戦争リスクを減らすための東アジア安定化だ。そのために米国は、ロシア・中国・北朝鮮の複合的脅威への答えを見出さねばならない。正直に言えば、現時点で答えがないことを認めるのが良い出発点だろう。
以上のように、論説は米トランプ政権の北朝鮮政策の不在を指弾し、結論として現時点で答えがないことを認めるのが良い出発点だと投げ出す。そして、このまま事態を放置すれば、日韓も核武装に動き、「ガソリンの臭いが充満した部屋で、あまりにも多くの手がマッチを握っている」という状況に至るだろうと警鐘を鳴らす。ただし、解決策に向けたヒントは明示する。それは、北朝鮮がもはや米国との国交正常化を必要としていないという新たな現実と向き合うことであり、核戦争を含む戦争リスクを減らすための東アジア安定化だと主張する。そのうえで、米国の同盟関係、特に韓国や日本との同盟を確固たるものとし、抑止力の残存部分を可能な限り長く維持することだと提言する。日本の果たす役割と期待はますます高まっていると言わざるを得ないだろう。
東南アジアほか
ベトナム
☆ 好調を維持するベトナム経済
米国政府による高関税にもかかわらず、ベトナムの対米輸出が好調を維持し、対米貿易黒字が増加している。12月6日付ロイター通信によれば、今年11月までの対米貿易黒字が過去最高を記録した。ベトナムの主要輸出先である米国との貿易黒字は、8月に米国がベトナム製品に課した輸入関税にもかかわらず、今年1~11月期に1,216億ドルに達したと当局が6日に発表した。東南アジア諸国は依然として米国との貿易協定交渉中だが、ベトナムはほぼこれまで、トランプ政権が巨大な貿易優位を縮小させるため同国製品に課した20%の関税をものともしない勢いを維持してきた。
ベトナム統計局によると、11月の対米輸出は前年同月比22.5%増となり、世界全体への輸出増加率15.1%を上回った。対米輸出の急増は貿易黒字の過去最高更新につながり、1~11月期の黒字額は既に2024年通年実績(1,045億ドル)を大幅に上回っている。ただし、ベトナムの11月単月の輸出額は前月比7.1%減の約390億ドルとなり、米国向け輸出は10月の2.2%減に続き7.3%減少した。対米輸出の前月比減少はこれで4カ月連続となった。ベトナムの対米貿易黒字の伸びも鈍化し、10月の118億ドルから11月は106億ドルに縮小した。対米輸出への依存度を示すように、ベトナムの貿易黒字総額は10月の26億ドルから11月は10億9,000万ドルに減少した。ベトナムは先月、10月に両国が合意した枠組みに基づき、米国との貿易協定を早期に締結すべく取り組んでいると表明した。
他方、ベトナムの対中貿易赤字は拡大している。1~11月期の対中貿易赤字は前年同期比38.1%増の1,043億ドルに拡大した。ただし米国、欧州連合(EU)、日本との黒字が中国や韓国との赤字を相殺したため、今年1~11月期のベトナムの貿易黒字総額は205億3,000万ドルに達した。またグエン・ヴァン・タン財務相は土曜日、1~11月期の外国直接投資(FDI)の実際の流入額は前年同期比8.9%増の236億ドル、投資承諾額は7.4%増となったと発表した。しかし同相は、米国による関税やここ数カ月の広範囲な洪水の影響など、同国が直面する経済的課題が増大していると指摘した。一方、統計局のデータによると、11月の消費者物価は前年同月比3.58%上昇した。工業生産は10.8%増加している。
こうした情勢のなか、ベトナムは経済成長力を重視し、米国からの貿易圧力にもかかわらず来年は10%の成長率を目標としていると10月20日付ブルームバーグが伝える。それによれば、ベトナム政府は米国の関税や世界的な貿易の不確実性が輸出や投資の流れに重くのしかかる恐れがある中でも、今後5年間で少なくとも年率10%の経済成長を目標としている。ファム・ミン・チン首相は月曜日、ハノイの国会で「マクロ経済の安定維持、インフレ抑制、主要経済バランスの確保、公的債務と財政赤字の制限範囲内維持を図りつつ、成長促進を引き続き優先する」と述べている。
以上のように、ベトナム経済が堅調である。トランプ高関税にもかかわらず対米輸出は好調を維持し、対米貿易黒字が増加している。外国直接投資の流入も増加傾向にある。政府は今後5年間の経済成長率10%達成を目標にしている。ただしベトナムの対中貿易赤字は拡大しており、これは中国からの輸入品を米国向けに輸出しているためとみられ、また対米輸出の伸び率も縮小傾向にあり、ベトナムの貿易収支動向は必ずしも楽観視できないと思われる。
インド
☆ 中央銀行、経済の急成長と低インフレの中で利下げ
インド準備銀行(中央銀行)は、急成長と記録的な低インフレという「ゴルディロックス局面」を活用すべく、政策金利を0.25%ポイント引き下げると発表した。12月5日付フィナンシャル・タイムズによれば、今回の利下げは5日に終了したインド準備銀行(RBI)の3日間の会合で決定された。これにより、昨年末に総裁に就任したサンジャイ・マルホトラ氏の下での利下げ幅は累計1.25%ポイントとなった。政策金利は現在5.25%となっている。
この動きは、先週発表された公式データが、米国向けインド輸出品への50%関税の影響懸念を払拭し、9月までの四半期で経済が8.2%の成長率を示したことを受けたものだ。インフレ率も昨年の6%超からほぼゼロ水準まで緩和しており、アナリストはこれがRBIにさらなる利下げの余地を与えたと指摘する。マルホトラ総裁は「厳しい外部環境にもかかわらず、インド経済は驚くべき回復力を見せている」と述べたが、成長は「やや鈍化すると予想される」と警告した。さらに、会計年度前半の予想を上回る成長と「穏やかな」インフレは「稀な『ジャスト・ライト』な時期」をもたらしたと付け加えた。RBIはまた、3月終了年度の成長率予測を0.5ポイント上方修正し、7.3%とした。
発表を受けインド株は上昇し、ムンバイのセンセックス指数は0.2%、ニフティ50指数は0.3%それぞれ上昇した。ルピーは対ドルで0.4%下落し90ルピー台を突破、3日に記録した過去安値に接近した。通貨ルピーは、今年、アジアで最悪のパフォーマンスを記録している。マルホトラ氏は金曜日の午後の記者会見で、RBIはルピーの価格水準を目標としておらず、市場が通貨の強さを決定することを容認すると述べた。「我々の取り組みは、常に異常または過度の変動を抑えることにある」と述べた。インド経済は国内に重点を置いているため、貿易依存度の高い近隣諸国に比べ、ドナルド・トランプ米大統領の関税の影響を受けにくい。米国大統領は、インドがロシア産原油を割引価格で購入したことを受け、8月にインド製品に対する関税を2倍の50%に引き上げた。通貨安はインドの輸出業者にとって製品のコストを削減し、競争力を高めることである程度の保護となっている。しかし、アナリストたちは、最近の好調なGDP統計について疑問を投げかけているが、米国との貿易戦争の影響は今四半期にはより顕著になるだろうと予想している。
ナレンドラ・モディ首相は、英国からの独立100周年となる2047年までに先進国入りを達成する目標を掲げている。経済学者によれば、これを実現するには年平均約8%のGDP成長率が必要だという。モディ政権は最近、一連の構造的経済改革を発表した。これには、企業の負担軽減と外部ショックへの耐性強化を目的とした、物品サービス税(GST)制度の簡素化や労働法改正などが含まれる。マルホトラ総裁は1年前、経済成長の減速とインフレ率が中央銀行の目標上限である6%を上回る状況の中で、RBI総裁に就任した。直ちに一連の利下げに乗り出し、今年前半の3回連続の政策会合で政策金利を1%ポイント引き下げた。10月の小売物価上昇率は前年同月比0.25%だった。マルホトラ氏は5日、市場への流動性供給計画も発表し、中央銀行が1兆ルピー規模の公開市場操作と50億ドル相当のドル・ルピー交換を実施すると述べた。
以上のように、米関税にもかかわらずマルホトラ総裁が「ゴルディロックス」局面を称賛し通期成長予測を上方修正するなかで利下げに踏み切った。実際、経済は好調である。9月までの四半期で経済が8.2%の成長率を示し、またインフレ率も昨年の6%超からほぼゼロ水準まで緩和している。ただし、通貨ルピーは対ドルで0.4%下落し90ルピー台を突破し、過去安値に接近しているが、それは輸出競争力の強化に結び付いている。モディ首相は2047年までに先進国入りを達成する目標を掲げており、これを実現するには年平均約8%のGDP成長率が必要だとされている。これを踏まえてモディ政権はGST制度の簡素化や労働法改正などの一連の構造的経済改革を実行しようとしている。その成果に注目したい。
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主要紙の社説・論説から
緊張する最近の日中関係
-抗議を対立に変えた中国、短期収束の可能性ある緊張関係
高市首相は11月7日、衆議院予算委員会において中国が台湾に対して武力行使をした場合、日本の存立危機事態に当たり自衛隊による集団的自衛権の行使を行う可能性があると表明した。これに対して中国政府が強く反発し、発言の撤回を求めたが、日本政府は応じていない。中国政府は訪日観光客の渡航自粛や日本産水産物の事実上の輸入停止といった制裁的措置を講じるなど、対立をエスカレートさせている。以下は、こうした状況に関する主要英文メディアの報道と論調の要約である。(筆者の論評は末尾の「結び」を参照)
11月18日付ウォ-ル・ストリート・ジャーナルは「Why China Is Picking a Fight With Japan (日本版記事:【オピニオン】中国が日本にけんかを売る理由)」で、中国は、高市氏の台湾を巡る率直な発言で、同首相を弱体化させる好機と判断したのだ、と以下のように論評する。
中国の「戦狼」は新たな標的を見つけた。ロイター通信の報道によれば、彼らは下品な言葉を使って日本の高市早苗新首相を攻撃している。中国の駐大阪総領事は「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬のちゅうちょもなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」と投稿した。この投稿は削除されているが、他にも多くの投稿があった。高市氏の「罪」は、国会での質問に対して正直かつ率直な答弁したことだ。立憲民主党の岡田克也衆議院議員は、台湾およびその周辺での中国のどのような行動が、日本にとっての「存立危機事態」に該当するのかを尋ねた。これは重大な質問だ。2015年に成立した安全保障関連では、「存立危機事態」は日本の軍事的対応につながり得る。高市氏の答弁は明快だった。その内容は、中国が武力で台湾を支配下に置こうとした場合は、安保関連法が想定する存立危機事態に当たり、そうした状況下では自衛隊が米国などの同盟国を支援することがあり得るというものだ。過去の日本の首相でこれほど明確に発言した者はいないが、日本の基本的な立場に実質的な変化はなかった。
中国の反応はある程度避けられないものだった。領有権を主張している国は、その主張が消えないようにするために常に強く表明しておかなくてはならない。中国の見解では、台湾は中国の一つの省であり、中国が台湾をどう扱おうと他国に干渉する権利はない。日本が中国本土と台湾の紛争に介入する可能性を示唆するなら、中国は抗議せざるを得ない。さもなければ自らの主張に関して疑念があると認めることになる。同様に、米国が台湾に武器を売却するたびに中国は自国の主張が真剣なものであり、いつかはそれを実現させる意向だということを示すために異議を申し立てざるを得ない。だが、そうした反応が避けられなかったとしても、危機が避けられないというわけではなかった。中国は形式的な抗議をして数週間で平常に戻ることもできただろう。だが、中国政府は小さな騒動を大きな対立に変えることを決めた。それはなぜか。
中国政府の動機をアウトサイダーが読み解くのは難しいと思われるが、二つのことが起きているようにみえる。第一に、中国共産党には威圧という長い伝統がある。相手が国内の敵対勢力であろうと、扱いにくい外国政府であろうと、中国政府はまず直感的に相手を威圧したり、脅したりすることが多く、可能な場合には相手に何かを強要する。これがうまくいった場合は、それでよい。うまくいかなかった場合は、いつでも、より対立的でないアプローチに変えられる。第二に中国政府は、高市氏が自らの立場を完全に確立する前に同氏の力を損なうことを望んでいた。同氏は、タカ派だった安倍晋三元首相の政治手法の後継者だ。高市氏はまた、ややハト派の公明党から連立維持を拒否された後、タカ派の小規模な日本維新の会を連立に引き入れることができた。
中国は、高市氏に歯止めをかけなければ、日本の防衛力強化に向けたより多くの施策が打ち出されるのではないかと懸念している。共同通信は、高市政権が長く続く非核三原則の見直しを検討していると報じた。世界史の中でも最速ペースで核武装強化を進めている中国は、近隣諸国が核兵器を持たない弱い国であってほしいと考えている。中国は、高市氏発言への同国の憤りが日本国内の反高市勢力の活性化につながることを期待している。多くの日本企業は、重要な輸入品の供給を中国の工場に頼っている。中国市場へのアクセスに依存している企業も多い。自民党の多くの有力者は、これらの企業と緊密な関係を築いている。中国と関係を持つ企業が雇用の中心になっている地域の議員や、観光が主な収入源になっている地域の議員もいる。国会議員の中には、日本初の女性首相誕生の意義に懐疑的な者も多くいる。中国が集中して経済的圧力をかければ、自民党の重鎮たちが水面下で強力なメッセージを高市氏に伝えてくれるかもしれない。高市氏は、自らの手本となる人物としてマーガレット・サッチャー氏(元英首相)の名を挙げている。高市氏が元祖「鉄の女」サッチャー氏と同様に、タフで機知に富んだ鉄の女であることを期待したい。
同じく11月21日付ニューヨーク・タイムズも「Japan’s New Leader Mentions Taiwan, and Tanks Her Relationship With China (日本の新首相、台湾に言及し中国との関係悪化)」と題する記事で、台湾に関する発言で中国からの報復に直面すると以下のように伝える。
この紛争は、先月下旬に就任した高市氏にとって早期の試練となる。同氏は日本史上初の女性首相である。議員時代には習近平氏を公然と批判、南シナ海での中国の軍事化を非難し、台湾を訪問して現地指導者との連帯を示した。今や危機が新政権を飲み込もうとする中、アナリストに言わせれば、高市氏の課題はエスカレーションを回避しつつ、国内では強さを示すことだ。ワシントンのブルッキングス研究所アジア政策研究センター所長、ミレイア・ソリス氏は「彼女の任期が中国との本格的な対立で始まることは誰も予想していなかった」と指摘。「現在の課題は、中国に屈服せず、また国内で弱体化を招くような後退と見られずに、いかに緊張緩和を図るかだと述べた。
緊張の高まりは収まる気配を見せていない。さらなる報復措がまだ起こり得る。中国には経済的圧迫の記録がある。2010年の紛争時には、中国は希土類金属を含む重要鉱物の日本への輸出を制限した。2017年には、米国のミサイル防衛システム導入を理由に韓国を制裁する際、中国国営メディアは中国本土で事業を展開する韓国企業のボイコットを呼びかけた。「中国には圧力をかけるためのマニュアルがあり、彼らはその章を一つずつ実行している」とソリス氏は述べた。「中国側は出口戦略を一切提示していない。問題は、最終的な目的が何かということだ」。
戦略国際問題研究所(CSIS)中国パワープロジェクトのボニー・リン所長は、「中国は対応の準備を整えていた」と述べる。「しかし、事態がここまでエスカレートするとは誰も予想していなかっただろう」。発言を巡る最初の騒動の後、高市首相は議員らに対し「特定のシナリオについて明示的な発言は控える」と伝えた。しかし緊張が沈静化するまでには長い時間がかかるかもしれない。高市氏の与党・自民党は、かつて中国政府との間にあったパイプを失ってしまっている。自民党は最近、中国との窓口役を担ってきた主要連立パートナーである公明党と決裂した。「中国側は強硬姿勢を崩さず、高市氏も撤回する意思がない」とリン氏は指摘する。「短期的には、明らかな打開策は見当たらない」
11月21日付フィナンシャル・タイムズは「China and Japan’s unnecessary dispute (中国と日本の不必要な争い)」と題する社説で、中国政府と日本政府は最近の対立から教訓を学ぶべきだと以下のように提言する。
中国の「戦狼」外交の基準からしても、その表現は極端だった。今月初め、中国の大阪総領事である薛剣氏がSNSに投稿した内容には「汚い首が招かれざる客として首を突っ込んできたら、一瞬の躊躇もなく切り落とす」と書かれていた。この発言は、中国が台湾を攻撃した場合に日本が軍事介入を検討する可能性を示唆した日本の高市早苗首相に向けたものだった。投稿は後に削除されたが、中国政府はなおも怒りを強め、中国人の日本渡航制限、係争島への中国海警局の巡視船派遣、日本産水産物輸入禁止の脅しなどに出ている。
中国は、1931年から1945年にかけて日本軍により国内の多くが残虐に占領されたという苦い記を抱えており、日本の軍国主義復活を懸念していると主張する。しかし、高市氏の発言は多くの点で当然の表明であった。2015年に成立した法律により、日本政府は直接攻撃を受けていなくても、「存立危機事態」に対する集団的対応の一環とし軍隊を使用することが認められている。中国による台湾侵攻は、重要な海路へのアクセス、台湾在住の日本国民の安全、この地域の民主主義の将来など、日本の基本的な国益に対する大きな脅となるだろう。米国が関与する台湾紛争は、ほぼ必然的に日本の領土にも波及するだろう。とはいえ、高市氏がそのような状況では日本が軍事介入を検討しなければならないと述べたのは正しいが、その可能性を公の場で議論しないことが賢明だったろう。対中関係では、慎重な言葉遣いや歴史的な感性への配慮が正しい言動となることが多い。
今回の件は、これ以上かき回す必要のある外交上の問題ではない。ドナルド・トランプ米大統領の最近の訪日は、高市氏にとって成功であり、米国大使は現在の紛争において「揺るぎない」支援を彼女に約束した。とはいえ、米国は明らかにかつてほど信頼できる同盟国であり、地域の安定を守る存在ではなくなっている。防衛費の支出拡大を約束しながら、国内経済の低迷と闘っている高市氏は、自国の安全確保を強固にする体制の構築に注力すべきである。また、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領との初会談で示された良好な関係を基盤として、韓国のほか、域内外の同盟国との関係を改善すべきである。
中国にはこの対立を反省すべき理由がさらに多い。軍事力の増大と米国主導の国際秩序の崩壊が、中国の傲慢さを助長している。関税戦争でトランプ氏を退けたばかりの習近平国家主席は、高市氏なら難なく対応できると感じているかもしれない。しかし近隣諸国への威圧的姿勢は簡単に裏目に出る。トランプ氏の混乱した自己利益優先の外交政策は、米国の同盟国に安全保障における米国への依存を疑問視させている。日本では与党・自民党が、核兵器の不保有・不製造・不導入という長年の三原則の見直しを計画している。地元メディアによれば、今のところ真剣に議論されているのは、米軍の核兵器の日本国内配備を阻止する第三原のみだという。しかし日本の非核タブーに疑問を投げかける姿勢自体が重大な意味を持つ。中国は既に高市政権の非核三原則への「曖昧な姿勢」を批判している。だが中国が地域の軍事化拡大を阻止したいなら、台湾問題の平和的解決を確約し、地域安定への脅威と見られぬよう努めるべきだ。外交官の言動もはるかに外交的であるべきである。
11月24日付タイムは、「How the China-Japan Rift Could Cost Both Countries (日中関係の亀裂が両国にもたらす代償)」と題する記事で、日中間の外交上の対立(diplomatic spat)は双方に多大な代償を強いる可能性があると以下のように報じる。
日中間の外交上の対立は、これまでのところ緊張緩和の兆しは見られない。中国は国連に書簡を送り、日本が「台湾海峡に軍事介入する勇気があるなら」自衛権を行使すると表明。これに対し日本は反発している。金曜日には在日中国大使館がX (旧ツイッター)に投稿し、日本が「再び侵略政策を実施する措置」を取った場合、国連安保理の承認なしに中国が「直接的な軍事行動を取る権利」を有すると表明した。一方、高市氏は自身の発言を撤回するよう迫る圧力に屈することを拒否し、その発言は日本の長年の立場と一致すると主張している。日本政府関係者は対話を通じて緊張緩和を図っているが、最大の貿易相手国が中国である日本にとって、この対立の余波は甚大となる可能性がある。ただし専門家は、紛争が長期化すれば中国も損失を被り得ると指摘する。
中国政府も反中感情に基づく攻撃や犯罪の増加を理由に日本への渡航自粛を国民に呼びかけているが、日本政府はこうしたことを否定している。ブルームバーグによると、中国貿易デスクの推計では、12月末までに中国から日本への渡航予定144万件のうち約30%がキャンセルされた。複数の中国系航空会社は顧客に無料キャンセルや旅程変更を提供しており、日本行き便を減便した会社もある。市場調査会社によると、中国人の観光支出(日本国内外)の推計値を分析した結果、中国観光客の減少により、日本が年末までに被る損失は5億~12億ドルに上る可能性がある。多くの日本企業にとって「高消費の中国人観光客の大幅な減少は、混雑した街の短期的な緩和効果よりもはるかに痛手だと関係者は指摘する。
中国にはまだ打てる手があると関係者は指摘する。投資制限やアンチダンピング措置の発動、貿易救済措置に関する調査の開始などだ。中国が行き過ぎた行動——例えば在留日本人の拘束や日本企業の中国国内での事業制限——に出た場合、日本はこれまで回避してきた対抗措置を講じざるを得なくなる可能性があると付け加える。しかし東京大学准教授で日本国際問題研究所研究員のリ・ハオ氏は「日本には中国に対する『切り札』がない」と指摘する。ナドー氏は「中国は依然として日本企業にとって巨大な市場であり、中国は自国が日本に対してより大きな影響力を持っていることを認識している」と語る。「歴史的に指導者は密かな交渉などで同様の危機を回避してきたが、中国は現状ではエスカレートさせる意思があるようだ。関係が以前の状態に戻るために日本が取るべき措置が何なのか、私にはわからない」
日本のハイテク産業(電気自動車、電子機器、防衛産業など)は中国のレアアースに依存している。2010年の依存度90%から現在は約60%まで削減しているものの、依存は続いている。中国は2010年、尖閣諸島(中国名:釣魚島)付近で中国漁船船長が拘束されたことへの報復として、日本へのレアアース輸出を制限したことがある。しかし、リ氏はTIME誌に対し、先月、習近平国家主席とドナルド・トランプ米大統領による会談を控えて、中国のレアアース輸出規制が世界的な注目を浴びたことを踏まえると、中国が今、そのような措置を取る可能性は低いと語っている。「レアアース問題は、米中関係と深く関わっているとリ氏は言う。このような規制は日本に大きな影響を与えるだろうが、それは両国間だけでなく、中国と世界との「相互信頼」も破壊することになると李氏は言う。また、日本は最近、中国のレアアースへの依存度を低減することを目的として、太平洋でレアアースを採掘する協定を米国と締結した。
日本はこれまで外交的に抗議し、事態のさらなる悪化を避けるため、主に水面下での紛争解決を図ってきた。しかし同時に日本は「中国需要への依存から脱却する多様化努力を密かに加速させている」とバット氏は指摘する。紛争が長期化すればするほど―特に世間の注目を浴びるほど―日本は「リスク回避」( ‘de-risk’)に一層意欲的になるだろう。例えば企業に補助金を出してサプライチェーンを中国から移管させたり、半導体輸出規制を強化したりするといった手段だ、と同氏は付け加えた。
この間、11月24日にトランプ米大統領と習近平国家主席の間で電話会談が行われた。27日付けウォール・ストリート・ジャーナルは、その直後、高市首相とトランプ大統領との間でも電話会談が開催され、トランプ大統領が高市首相に対して、台湾の主権に関する問題で中国政府を挑発しないよう助言したと報じられたが、日本政府はこうした会話はなかったと否定する一幕があった。27日付ワシントン・ポストは、こうした経緯を踏まえたとみられる社説「Japan’s prime minister says the quiet part out loud (口を閉ざすことを口にした日本の首相)」で、新たに就任した日本の高市早苗首相は、台湾という厄介な問題をめぐって中国と対立していが、この外交上の難題に関しては、意外な人物、すなわちドナルド・トランプ氏から1つや2つの教訓を学ぶことができるだろうと以下のように論評する。
高市首相が議会で「中国による台湾攻撃は日本に存亡の危機をもたらと発言し、民主的で自治権を持つ台湾防衛のため軍事対応すると表明したことで、外交問題が激化している。日本が脅威を真剣に受け止めているのは心強いが、中国政府は予想通り過剰な怒りで反応した。これは中国の根深い不安を反映しており、米国の数々の失策にもかかわらず、多くの国が依然として米国との関係維持を好む理由を改めて思い起こさせる。そして高市氏の発言は間違っていない。日本は台湾に正当な経済的・安全保障上の利益を有している。台湾は世界最先端の半導体の約90%を生産し、日本の海上輸送路にとって極めて重要だ。
この現実を認識し、日本は軍事費を増額し、より高度な兵器を調達している。日本の新たな戦略方針は、中国と北朝鮮を地域の安定に対する最大の脅威と正しく指摘している。しかし、なぜ今、争いを挑むのか。他の民主主義国のタカ派が日本の新たな強硬姿勢を好意的に受け止めたとしても、日本は「口に出さない部分」を声に出すことで得るものはほとんどない。これとは対照的にトランプ大統領は中国が台湾を侵略した場合の米国の対応について曖昧な姿勢を保っている。先月のアジア訪問では、習近平国家主席との会談後に緊張緩和に成功した。台湾問題については一切議論されなかったと報じられている。月曜日にトランプ大統領と習主席が行った、自治民主主義の島に関する電話会談は、さらに緊張を和らげた可能性がある。
習近平は対外的な対立を糧に国内のナショナリズム感情を煽り、中国経済の減速や若年層の広範な失業問題から国民の関心をそらす。反日感情を武器化することは、そのための手っ取り早い手段。抑止力には不必要な挑発は不要である。中国に対しては大声で叫ぶよりも常に大きな矛を持つ方が効果的なのだ。
結び:以上のようなメディアの報道や論調を次の4つの観点からまとめて、論評してみたい。第1は、高市首相の発言に対する評価、第2に、中国政府の反応やその意図に関する見方、第3に、高市首相の今後の課題に関する意見、第4に、日中関係の見通しについての見解である。
第1の高市発言に関するメディアの論評は、まず国会での質問に対する正直かつ率直で明快な答弁だったと評する。日本の首相でこれほど明確に発言した者はいないが、日本の基本的な立場に実質的な変化はなかったと指摘する。中国による台湾侵攻は、重要な海路へのアクセス、台湾在住の日本国民の安全、この地域の民主主義の将来など、日本の基本的な国益に対する大きな脅威となり、その発言は多くの点で当然の表明だったと述べる。ただし、そうした可能性を公の場では議論しないことが賢明だったとも指摘、高市氏の任期が中国との本格的対立で始まるとは誰も予想していなかったとし、早期の試練となるとコメントする。
さらに、中国と北朝鮮を地域安定に対する最大の脅威とする高市首相の戦略方針は正しいが、なぜ今、争いを挑むのかと疑問を提起、米国の対応について曖昧な姿勢を保っているトランプ大統領の例を挙げ、「口に出さない部分」を声に出すことで得るものはないと論じる。中国の習近平主席は対外的な対立を糧に国内のナショナリズム感情を煽り、中国経済の減速や若年層の失業問題から国民の関心をそらしていると指摘、反日感情の武器化は、そのための手っ取り早い手段と述べ、中国に対しては大声で叫ぶよりも常に大きな矛を持つ方が効果的だと主張する。
確かに高市首相は正論を吐いたが、中国相手では、慎重な言葉遣いや歴史的な感性への配慮が必要になることも間違いない。
第2に、中国政府の反応や意図については、対応の準備を整えていた中国は、高市氏の率直な発言は同首相を弱体化させる好機と判断したと指摘、その「戦狼」は新たな標的を見つけたのだと述べる。また、領有権を主張している中国にとって、その主張が消えないようにするために、こうした反応はある程度避けられないものだったとも指摘する。ただし、中国は形式的な抗議だけで済ませることもできたが、小さな騒動を大きな対立に変えることを決めたのは、中国共産党には威圧という長い伝統があること、高市氏に歯止めをかけなければ、非核三原則の見直しなど日本の防衛力強化に向けた多くの施策が打ち出されるのではないかとの懸念があったと分析する。
確かに中国には日本の軍事大国化への懸念があると思われる。このため日本に対して集中して経済的圧力をかければ、自民党の重鎮たちが水面下で強力なメッセージを高市氏に伝えてくれるとの期待があるとみられる。しかし、こうした中国の傲慢な態度は、中国自身の軍事力増大と米国による国際秩序の弱体化が助長しているのも事実であろう。高市氏なら与しやすいと感じているかもしれない。日本としてもメディアが指摘するように手にする矛を大きくする必要に迫られていることは間違いない。
第3の、高市氏の首相としての課題についてメディアは、国内で弱腰と見られずに微妙なバランスを保つこと、すなわち、紛争の激化を防ぐため、エスカレーションを回避しつつ、国内では強さを示すことだと述べ、それは中国に屈服せず、国内で弱体化を招くような後退と見られずに、いかに緊張緩和を図るかということだと指摘する。まさに高市氏が信奉する元祖「鉄の女」サッチャー氏のように、タフで機知に富んだ鉄の女であることが期待されているといえよう。
ただし、今回の件は、これ以上かき回すべき外交上の問題ではないことはメディアの指摘どおりである。国内経済の低迷との闘いを喫緊の課題とする高市首相としては、域内外の同盟国との関係強化などにより安保体制を強固にする努力を急ぐべきだろう。
第4に、緊張する日中関係の今後については、緊張の高まりは収まる気配を見せておらず、さらなる報復措置がまだ起こり得ると予測し、そうした中国には圧力をかけるためのマニュアルがあり、その章を一つずつ実行しているのだと述べる。中国側は出口戦略を一切提示しておらず、問題は、最終的な目的が何かだと指摘する。要するに緊張が沈静化するまでには長い時間がかかるということである。
一つの問題は、中国通の有力者の引退や公明党との決裂により与党・自民党が、かつて中国政府との間にあったパイプを失ってしまったことがある。短期的な打開策を見いだせないのである。しかし、根本問題は中国側にあるのは間違いない。中国が台湾問題の平和的解決を確約すればよいのである。台湾を武力で制圧するという理不尽な野望が地域の安定と日本の存亡に対する重大な脅威となっているからである。
要すれば、現在の日中間の緊張は、専ら中国側の事情に起因しているといえる。中国は、高市政権によって防衛力強化に向けた多くの施策が打ち出されるのを深く警戒し、今回の高市発言について同政権を弱体化させる好機と判断したとみられ、減速する経済や若年層の失業問題などから国民の関心をそらすために反日感情を武器化していることなどが、その要因として考えられる。したがって日本の世論が高市政権を確固として支持し、中国が反発すればするほど高市政権の基盤が強固となるのを明示し、その一方で、国内で無用な排外的行動に走らないことが肝要であろう。一言でいえば、冷静な対処が求められるといえよう。それにより中国政府は、対日関係を緊張させ続ける根拠を失い、むしろ内外における自らの立場を悪化させるだけの結果になることを学習するはずである。今回の緊張は、したがって意外と短期に収束する可能性が高いのではないかと思われる。
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主要資料は以下の通りで、原則、電子版を使用しています。(カッコ内は邦文名)THE WALL STREET JOURNAL(ウォール・ストリート・ジャーナル)、THE FINANCIAL TIMES(フィナンシャル・タイムズ)、THE NEWYORK TIMES(ニューヨーク・タイムズ)、THE LOS ANGELES TIMES (ロサンゼルス・タイムズ)、THE WASHINGTON POST(ワシントン・ポスト)、THE GUARDIAN(ガーディアン)、BLOOMBERG・BUSINESSWEEK(ブルームバーグ・ビジネスウイーク)、TIME (タイム)、THE ECONOMIST (エコノミスト)、 REUTER(ロイター通信)など。韓国聯合ニュース、中国人民日報(日本語版)も参考資料として参照し、各国統計数値など一部資料は本邦紙も利用。
バベル翻訳専門職大学院 国際金融翻訳(英日)講座 教授 前田高昭



















