新着情報

「求人・求職支援システム」の特許訳-14

2025/5/07
特許翻訳入門
第57回  「求人・求職支援システム」の特許訳-14
奥田百子(おくだももこ)
奥田国際特許事務所にて、翻訳者、執筆者、弁理士として活躍。
バベル翻訳専門職大学院(USA) 第3科目「特許・技術・医薬翻訳専攻」
「特許翻訳訳レベルⅠ(英日)」プロフェッサー
まず、今回までの課題(特開2004-21571号)の解答を示します。
次を英訳します。

「次に、図2のブロック図及び図3のフローチャートに基づき、本システム10に求職者として登録されることを希望する個人が、自己の求職者情報をシステム10に登録する際の処理手順を説明する。
まず、求職者は自己のパソコン12上に起動させたWebブラウザからセンターサーバ16のURLを入力し、インターネット18経由で同センターサーバ16にアクセスする。
そして、パソコン12の画面に表示されるサービスメニューの中から「新規求職者登録(個人用)」を選択する(図示省略)。」

Answer:
Next, based on the block diagram in Figure 2 and a flowchart in Figure 3, the processing procedure when an individual desiring to be registered as a jobseeker in this system 10 registers his/her jobseeker information into the system 10 will be explained.
First, the jobseeker inputs the URL of the center server 16 from a web browser launched on his/her personal computer 12 and accesses the center server 16 via the Internet 18.
Then, from the service menu displayed on the screen of the personal computer 12, he/she selects 'New Jobseeker Registration (Individual Use)' (not shown).

📖単語
選択した  selected, chosen
求職者固有 unique to a jobseeker
「~固有」 unique to ...
通知する notify, transmit, notice, send
一文ごとに訳していきます。
「次に、図2のブロック図及び図3のフローチャートに基づき、本システム10に求職者として登録されることを希望する個人が、自己の求職者情報をシステム10に登録する際の処理手順を説明する」

Next, based on the block diagram in Figure 2 and a flowchart in Figure 3, the processing procedure when an individual desiring to be registered as a jobseeker in this system 10 registers his/her jobseeker information into the system 10 will be explained.

▷次に next, secondly, subsequently
▷求職者として登録されることを希望する個人
主格の関係代名詞を使います。「~を希望する個人」を表すためです。
関係代名詞を使わない文章
「個人は、本システム10に求職者として登録されることを希望する」
An individual desires to be registered as a jobseeker in this system 10

「本システム10に求職者として登録されることを希望する個人」
An individual who desires to be registered as a jobseeker in this system 10

「個人」を先行詞として文頭に置き、主語である「個人」が先行詞であるため、主格の関係代名詞です。
「個人」がどんな人であるかを関係代名詞節(who以下)で説明し、この節は個人を修飾しています。

別の訳例
関係代名詞を使わない訳例もあります。現在分詞の形容詞的用法を使います。

An individual desiring to be registered as a jobseeker in this system 10

現在分詞(desiring)が名詞(individual)を修飾しています。現在分詞が名詞を修飾するので、形容詞的用法といわれます。
このとき現在分詞を名詞の前後どちらに置くかという問題があります。以下のルールがあります。

□現在分詞1ワードのみの場合・・・名詞の前に置く(前置修飾)
例 泳いでいる少年  a swimming boy

□現在分詞2ワード以上の場合・・・名詞の後に置く(後置修飾)
例 プールで泳いでいる少年 a boy swimming in the pool

“An individual desiring to be registered as a jobseeker“は2ワード以上で名詞(individual)を修飾しているので、後置修飾で名詞の後に置かれています。

▷図2のブロック図及び図3のフローチャート
この文章が登場する「発明の実施の形態」では、「ブロック図」は初出ではなく、「フローチャート」は初出であるため、ブロック図には定冠詞theを付し、フローチャートには不定冠詞aを付します。
初出か否かは原則、明細書の項目ごとに判断します。

▷図2のブロック図及び図3のフローチャートに基づき
「~に基づき」はこの部分が名詞を修飾する場合、based on
「~に基づき」はこの部分が動詞を修飾する場合(副詞的に使用する場合)、on the basis ofを使うというルールがあります。ここでは「図2のブロック図及び図3のフローチャート」という名詞に「基づいている」ため、based onを使います。
▷自己の his/her
性別がわからないときは、his/herとするかitsとしておきます。
▷システム10に登録する register ... in the system 10
「システムに登録する」は前置詞inを使います。

では改めて訳します。
「次に、図2のブロック図及び図3のフローチャートに基づき、本システム10に求職者として登録されることを希望する個人が、自己の求職者情報をシステム10に登録する際の処理手順を説明する」。
Next, based on the block diagram in Figure 2 and a flowchart in Figure 3, the processing procedure when an individual wishing to be registered as a jobseeker in this system 10 registers his/her jobseeker information into the system 10 will be explained.

ではつぎの文章を訳します。
「まず、求職者は自己のパソコン12上に起動させたWebブラウザからセンターサーバ16のURLを入力し、インターネット18経由で同センターサーバ16にアクセスする。
First, the jobseeker inputs the URL of the center server 16 from a web browser launched on his/her personal computer 12 and accesses the center server 16 via the Internet 18.

📖単語
▷まず at first, firstly, first
▷Webブラウザを起動させる  launch a Web browser
▷~経由で via, through
▷アクセスする access
access (アクセスする)
は他動詞のみであり、自動詞はありません。
「~にアクセスする」という対象が必ず必要だからです。
I accessed the Internet.
私はインターネットにアクセスした。
このようにアクセスの対象が必ず必要であり、対象もなくアクセスするということはありません。

では次の文章を訳します
「そして、パソコン12の画面に表示されるサービスメニューの中から「新規求職者登録(個人用)」を選択する(図示省略)。」

Words and Phrases
▷画面 screen
▷サービスメニュー service menu
▷新規求職者登録(個人用) new jobseeker registration (for individual use)
▷選択する select, chose
▷図示省略  not shwon

ここでは主語が省略されているので、前の文章の主語をhe/sheに置き換えて記載します。
Then, from the service menu displayed on the screen of the personal computer 12, he/she selects 'New Jobseeker Registration (Individual Use)' (not shown).the ba

では次回までの課題です。以下を英訳しておいてください。
「この結果、センターサーバ16に対して、求職者情報の登録要求が送信され、これを受けて(S10)、Web情報送信部17は、Web情報データベース35内から図4及び図5に示す如き「求職者情報入力フォーム(個人用)」を抽出し、これを求職者のパソコン12に送信する(S12)」

📖単語
▷この結果 as a result, consequently, eventually, in conclusion
▷センターサーバ center server
▷求職者情報 jobseeker information
▷登録要求 registration request, request for registration
▷送信する  send, transmit
▷これを受けて on receipt of this, after receiving this
▷Web情報送信部 Web information transmission unit, Web information transmitter
▷Web情報データベース Web information database
▷~に示すごとき as shown in ...
▷求職者情報入力フォーム jobseeker information input form
▷個人用 for individual use
▷抽出 extract, pick up
▷求職者 jobseeker
▷パソコン PC

📚フレーズ
▷求職者情報の登録要求が送信され、これを受けて(S10)、Web情報送信部17は、~を抽出し
このフレーズを分詞構文を使って訳すこともできます。

Receiving this, a Web information transmitter 17 extracts ...
分詞構文とは、動詞を-ing(現在分詞)とすることにより、主節に理由、時、結果、付帯状況、条件、譲歩の情報を付け加えます。

分詞構文を使わないで書くと、
When a web ifnormation transmitter 17 receives this, it extracts ...

分詞構文にすると
Receiving this, a web ifnormation transmitter 17 receives this, it extracts ...

主語が同じとき、分詞構文の主語を省略し、動詞をing形にする
私は音楽を聴きながら夕食をとる
分詞構文を使わないでかくと、
While I am listening to music, I have dinner.

Listening to music, I have dinner.

0
おすすめの記事