2024年12月23日 第354号 World News Insight (Alumni編集室改め) 第三次世界大戦は「すでに」始まっている―企業が取るべき対応 バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹
Forbes 2024年12月10日号に「第三次世界大戦はすでに始まっている―企業が取るべき対応」というショッキングな記事が掲載された。主観的な見解に基づく部分があるため、確固たるデータや広範な視点からの補強が必要かもしれないが、紹介しよう。
シリアでアサド政権が崩壊した背景には、現代の紛争が相互に絡み合い、第三次世界大戦がすでに始まっている現実がある。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOも「すでに複数の国で同時多発的な戦争が進行中」と警告を発しており、ビジネスリーダーは即座に備える必要がある。
アサド政権を支援してきたロシアとイランの影響力は、ウクライナ戦争やイスラエルの攻撃により弱体化した。これにより、シリア情勢が転機を迎えた。このような局地的な紛争が相互に影響を及ぼし、世界規模の紛争として繋がり始めている。
第二次世界大戦時のスターリングラード攻防戦や北アフリカ戦線との類似性も指摘されるように、局地戦が大国の疲弊を招き、より大きな紛争へと発展する様子が浮き彫りになっている。
現在進行中の紛争は、第一次・第二次世界大戦とは異なり、断続的かつ複雑な様相を呈している。一見すると独立した紛争のように見えても、大国の関与、経済・政治的利害の交錯、不安定化の連鎖など、全体的な世界規模の紛争としての性質を持つ。
こうした状況では、各国の関与が深まり、紛争がさらなる拡大を見せる可能性が高い。その結果、これらの危機は世界経済や国際的な秩序に大きな影響を及ぼす。
紛争の拡大に伴い、企業活動にも深刻な影響が出ている。サプライチェーンの寸断、顧客需要の変化、地政学的 リスクの高まりが例として挙げられる。JPモルガンのダイモンCEOは、「この問題が自然に解決するのを待つわけにはいかない」と強調し、危機管理計画の重要性を訴えた。
企業は以下の対応が求められる
リスク管理:
紛争がもたらすリスクを特定し、事業への影響を最小化する戦略を立てる。
危機対応計画の策定:
サプライチェーンの回復力向上や、予期せぬ事態に迅速に対応できる体制の構築が必要。
社会的貢献の検討:
紛争地域への支援やインフラ再建への協力など、企業の社会的責任を果たす方法を模索する。
紛争の中でも、企業には貢献の余地がある。例えば、人道支援や技術革新、地域社会の復興支援など、長期的な社会的信頼の構築に繋がる活動を通じて、企業価値を向上させることが可能だ。
現在の紛争は、過去の世界大戦とは異なる形を取りながらも、国際秩序や経済に甚大な影響を与え続けると予想される。一時的な停戦が訪れたとしても、紛争の再燃は避けられない。欧州の指導者たちもロシアとの全面戦争の可能性を警告しており、企業は長期的な視点での備えが求められる。
第三次世界大戦のリスクを軽視することなく、今すぐに危機管理と戦略的対応を進めることが、企業存続の鍵となる。戦争がビジネスにもたらす影響を理解し、適切な対応を取ることが求められる時代に私たちは生きている。
*World News Insightは今回をもって今年の最終回となります。
隔離され、情報統制された日本のマスコミの裏側の視点をささやかながら提示できたかと思います。来年も、ブレることなくこの視点を探ります。
1年間、有り難うございました。