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2024/10/7

           第15回 翻訳プラットフォーム「YarakuZen」

               小室誠一:Director of BABEL eTrans Tech Lab

今回は、AI自動翻訳から編集・共有・翻訳会社への発注までを統合した翻訳プラットフォームの「Yarakuzen(ヤラクゼン)」を取り上げます。

YarakuZenとは?

翻訳支援ツールを大別すると、翻訳メモリをメインの機能とするCATツールと、機械翻訳(AI翻訳、自動翻訳)ツールになります。また、これも大雑把な区分けですが、主に商品としての「翻訳」を作成するためにプロの翻訳者が使用するのがCATツールで、一般ユーザーが業務の効率化やコミュニケーションの補助として使用するのが機械翻訳と言うこともできるでしょう。とは言っても、最近では機械翻訳の品質が向上し、CATツールに組み込んで、プロの翻訳者も使用するようになっています。

今回紹介するYarakuZenは、プロの翻訳者というより、一般ユーザーのためのツールです。機械翻訳を出発点として、訳文を効率的に修正するための編集機能を備え、共有機能により、例えば社内の担当者同士の協同作業ができたり、さらには、より厳密で完成度の高い訳文が必要な場合に、そのプラットフォームから翻訳会社に簡単に発注したりすることができます。機械翻訳と人間翻訳を融合した、ユニークなツールと言えるでしょう。

YarakuZenは従来の翻訳支援ツールや翻訳管理システムではなく、「翻訳プラットフォーム」という位置づけとなっています。

それでは具体的に使い方を説明して参りましょう。

YarakuZenで翻訳する

YarakuZenは八楽株式会社が運営する翻訳プラットフォームです。

無料で試用できますが、アカウントの作成が必要です。

無料のアカウントを作成するには、YarakuZenのトップページにある「無料で試してみる」をクリックします。
https://www.yarakuzen.com/

「プランと価格」のページが表示されたら、「パーソナルプラン」のタブをクリックしましょう。

「パーソナルプラン」が表示されたら「一般個人向け」の下にある「今すぐ始める」をクリックします。

この無料バージョンでは、「データの機密性保持:保障なし」となっているので、業務で機密文書の翻訳に使用するときは、翻訳者向けのプレミアムバージョンにアップグレードすることを推奨します。

「今すぐ始める」をクリックすると、アカウント作成画面が表示されるので、必要事項を記入して作成します。クレジットカードの登録は不要です。

アカウントを作成したらログインします。

初期画面はシンプルです。「ファイルをアップロード」をクリックして「開く」画面からファイルを選択するか、この部分にファイルをドラッグアンドドロップします。

あるいは、テキストを直接入力してエンターキーを押すと、すぐに翻訳が始まります。

Wordファイルなどで、レイアウトを保ったまま翻訳したい場合は、ファイルをアップロードします。

ファイルをアップロードした場合は、「翻訳スタート」をクリックします。

画面が切り替わって、機械翻訳の訳文が表示されます。

上部画面にプレビューが表示され、下部の対訳画面で任意の訳文をクリックすると、原文との対応が表示され、訳文を編集することができます。

ダブルクォーテーションのアイコンをクリックすると、対訳をフレーズに追加できます。

フレーズ集は翻訳メモリのような働きをします。

部分一致検索により、「フレーズとの一致」セクションに検索結果が表示されます。

リターン矢印をクリックすると逆翻訳ができます。外国語への翻訳の場合、正しく翻訳されているか確認するのに利用できます。

用語の登録は、右画面の「用語との一致」にある「用語集へ追加する」をクリックして行います。
「用語集へ追加する」が表示されたら見出しと訳語を入力して「保存する」をクリックします。
用語の検索結果は「用語との一致」のセクションに表示されます。

YarakuZenのチェックアシスタント機能

画面上部の翻訳状況バーにカーソルをかざして、「翻訳状況、チェックアシスタント、検索と置換」の吹き出しが表示されたらクリックします。

画面が拡張されて、「翻訳状況」が表示されます。

「チェックアシスタント」タブに切り替えると、ハイライトの一覧が表示されます。

フレーズ一致:フレーズと一致するテキストを青でハイライト(全言語)
固有名詞:機械翻訳が間違えやすい特徴的な名刺を黄色でハイライト(日本語と英語のみ)
代名詞:間違っている可能性がある代名詞を黄色でハイライト(日⇒英のみ)
数字エラー:間違っている可能性がある数字を赤でハイライト(全言語)
訳抜け:訳が抜けている可能性のある入力テキスト/原文を赤でハイライト(全言語)
スペルミス:スペルミスの可能性がある単語を赤でハイライト(英語のみ)
Word-to-Word:原文と訳文の一致する単語をグレーでハイライト(クメール語を除く)

スマートサジェスト:類義語が表示される。(非固有名詞、動詞、形容詞、副詞に対応)(日↔英のみ)

翻訳が終わったら訳文をダウンロードします。原文と対訳データ(CSV)もダウンロードできます。

Wordファイルの訳文はレイアウトが反映されています。

コラボレーション機能

最後に「コラボレーション」機能を見ておきましょう。

「コラボレーション」をクリックすると「共有する」画面が表示されます。
「ユーザーを選ぶ」にメールアドレスを入力します。もちろんアカウントが登録されたアドレスです。

ここで、「注文する」の画面に切り替えて、カテゴリーとドキュメント種別を選択すると、「翻訳会社の選択」にリストされている翻訳会社の右側に、翻訳単価が表示されます。

さらに、下にスクロールして「依頼する文の選択」で依頼する文を指定すると、料金と予想完了時間が表示されます。

この後、依頼内容を確認し、支払い方法を選択すると発注できるようになります。
見積書を印刷することもできます。

まとめ

YarakuZenは、原文をアップロードするだけで自動翻訳してくれるツールですが、出力された訳文を人間が修正するために便利な機能が用意されています。
また、フレーズ集(翻訳メモリ)や用語集など、言語資源を有効に利用するための機能も搭載されています。さらに、共有機能、注文機能といったコラボレーション機能もあり、総合的な翻訳プラットフォームと言えます。

最新の翻訳テクノロジーを、人間にとって使いやすい形で統合したYarakuZenは十分に実用的なシステムです。

しかし、ここでも主体は人間です。より良い結果は、使用者の翻訳力や専門知識に左右されます。YarakuZenの優れたところは、使用者の能力に応じて活用できるように、総合的な機能が備わっていることです。

今回は、アカウントの登録方法から、基本的な使い方まで紹介しました。興味のある方は、この記事を参考にして、無料アカウントを試してみてはいかがでしょうか。

(ちなみに、この記事はあくまでも筆者の見方によるものです。決してステマではありません。念のため)


eトランステクノロジー講座(AI翻訳活用編)

https://www.babel-edu.jp/ett-pr/#spb-bookmark-4 

eトランステクノロジー研究室

https://www.youtube.com/channel/UCpwhJgDgTHkwia7EVUvorcg

 

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