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2022年1月23日 第308号 World News Insight (ALUMNI編集室改め) 

発行:バベル翻訳専門職大学院 ALUMNI Association

「 人生・仕事の結果=能力×熱意×考え方 」 

バベル翻訳専門職大学院(USA) 副学長 堀田都茂樹
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 今回は、京セラや第二電電(現KDDI)を育てた日本を代表する経営者であった稲盛和夫さんの人生論の決定版の一冊「生き方」(サンマーク出版)を取り上げて、世界レベルの生き方を学びたいと思います。

 この書は、日本で150万部突破し、世界16カ国で翻訳、中国でも500万部を突破して稲盛さんの代表作のひとつとなっています。二つの世界的大企業「京セラ」「KDDI」を創業し、JALの経営再建を成し遂げた当代随一の経営者である著者が、その成功の礎となった実践哲学を語りつくした人生論です。

 人生をどうやって生きるかわからなくなったときにヒントを得られる人生哲学本であり、経営者がどんな心持ちで仕事をすれば良いか。より良く幸福に生きるための考え方などが書かれています。夢をどう描き、どう実現していくか。人間としてもっとも大切なこととは何か。

 この書籍「生き方」で語られるのは一言で言うと、「人生の目的とは何か?」について語られています。人生の目的とは、「人格、心を高めること」だと明確に述べています。

人格とは性格(先天的に備わったもの)+哲学・原理原則(後天的に学ぶもの) 

 稲盛さんが、なぜ、原理原則(哲学)を身につけようと思ったか、この書では、その実例が語られています。例えば、KDDIの時の経営合併の際にも、多くの人の関わる中で、多くの意見、多くの立場が入り混じる中で、どのような判断基準や、行動基準をもて経営にあたっていったかが紹介されています。

 経営の判断基準として、原理原則の則っていると、社会貢献を念頭に置いているか、それにより正々堂々思い切った、決断や行動が可能になったと言います。

 それは、人生も経営も、根本の原理原則は同じだと述べています。

また、稲盛和夫の「人生の方程式」は皆さんもご存じかと思いますが、人生をよりよく生き、幸せに過ごしたいとだれしも考えていますが、

・仕事でうまく成果が出なかったり

・その影響もあり、家庭の雰囲気も悪くなったり

・新しいことを始めようと思ってもうまくいかなかったりと

なかなか思い通りにいかないこともたくさんあります。そんな時に、人生をいい方向へ導くそんな“方程式”を稲盛さんは提案しています。

「人生・仕事の結果=能力×熱意×考え方」

 生き方のベースにしていた「人生の方程式」です。

人生や仕事の成果は、「能力・熱意・考え方」これら3つの要素の掛け算から得られるということ。能力は、健康や運動神経などを表し、先天的に得られる素質のことです。

熱意は、成功させようとする情熱や努力の心など。考え方、これは、心のあり方や生きる姿勢、自分自身の哲学、原理原則などを指します。

熱意・考え方、この2つは、自分の意思でコントロールできる後天的な要素です。

そしてこの3つの要素の中で一番大事なのは「考え方」と言います。これは、原理原則に基づく、心のあり方や生きる姿勢、自分自身の哲学を指すと言います。

 「考え方」が最も大事なワケは、それ次第で「いい方向」に行くこともあれば、

「悪い方向」に行く可能性もあるからと言います。つまり、考え方には良い考え方もあれば悪い考え方もあるということ。考え方には他の2要素とは違い、マイナス(-)ポイントがあります。先ほどの方程式で「考え方」がマイナスになると、他の2要素がどれだけ大きくなったとしても、全体がマイナスになってしまうということです。すなわち、いくら能力と熱意があったとしても、考え方の方向が間違っていれば、そこに幸せや成功は訪れないと言うのです。

 私たちはともすると、物事を複雑に考えすぎてしまう傾向があります。しかし、物事の本質は実は単純なもので、いっけん複雑に見えるものでも、単純なものの組み合わせでできています。技術者出身の稲盛さんは、創業当時、会社経営の知識も経験もなかったですが、悩み、行き着いた答えが「原理原則」であったと言います。人間として正しいか正しくないか、よいことか悪いことか、やっていいことかいけないことか。そういう人間を律する道徳や倫理をそのまま経営の指針や判断基準にしたと言います。

 例えば、バブル景気の際、京セラには多額の現預金があったので、それを不動産投資に回さないかという提案がずいぶんあったが、稲盛氏は「土地を右から左へ動かすだけで多大な利益が発生するなんて、そんなうまい話があるはずがないと考えたそうです。あるとすれば、それはあぶく銭であり、浮利にすぎない」として、すべて断ったと言います。「額に汗して自分で稼いだお金だけが、ほんとうの『利益』なのだ」という信念は、人間として正しいことを貫くという原理原則に基づいたものであった、と。

 損をしてでも守るべき哲学、苦を承知で引き受けられる覚悟、それが自分のなかにあるかどうか。それこそが本物の生き方が出来るかどうか、成功の果実を得ることができるかどうかの分水嶺になる、と言います。

 常に、原理原則に立ち返る、その重要性は、揺れ動くこの時代には、生きる要諦なのでしょう。

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