WEB TPT 2026年3月7日 386号 巻頭言 失われた「物語」を取り戻す
バベル ・グループ代 表 堀田都茂樹
私たちは今、大きな忘却の中に生きています。かつてこの列島に生きた人々が、自然の猛威に畏怖し、八百万の神々に感謝を捧げ、自らのルーツを瑞々しい物語として語り継いできた事実を、学校の教室で耳にすることはありません。
「神話を学ばない民族は滅びる」という言葉があります。これは物理的な死を指すのではありません。自らの拠って立つ地平を見失い、先人との精神的紐帯(ちゅうたい)を断たれたとき、民族という生命体は文化的な「死」を迎えるのです。
敗戦後の日本において、神話は教育の現場から切り離されました。しかし、神話は政治の道具ではなく、私たちの血肉に流れる「感性の源泉」です。天の岩戸が開かれたときの歓喜、国を譲る際の潔さ、和をもって貴しとなす精神。それらを再び学び直すことは、混迷を極める現代において、私たちが「日本人としてどう生きるか」という羅針盤を再獲得することに他なりません。今こそ、失われた物語を私たちの手に取り戻しましょう。



















