世界のブックコミュニティをご紹介
2024/6/22
世界のブックコミュニティをご紹介する第2回。今回もブックコミュニティのオンラインプラットフォームを取り上げます。
前回ご紹介した「グッドリーズ」と似ていますが、ライブラリーシングはより詳細なカタログ機能を持ち、書籍収集家や図書館員に人気の高いコミュニティです。好きな書籍を自分のアカウントに登録し、オリジナルの図書館を作り上げていくことができます。
登録する際には、アマゾンの6つのストアや、アメリカ議会図書館、オーストラリア国立図書館、カナダ国立図書館・文書館、大英図書館、イェール大学など4941カ所の図書館のデータベースから書籍情報をインポートすることが可能です(映画や音楽の情報取得も可)。もちろん読書の進捗を追跡し、読了した本に評価やレビューをつけることもできます。また、こうした読書活動や自分の図書館の状況が詳細なチャートや統計で表示されるのも魅力のひとつです。
ライブラリーシングは読書愛好家たちの交流に重点を置いており、300万人以上のメンバーが既読の本について語り合ったり、おすすめの本を紹介し合ったり、活発に活動しています。ジャンルごとに様々なグループがあり、自由に参加することができます。
さらに注目すべきは「アーリー・レビュアーズ」というプログラムです。読者はレビューを書くことを条件に、新刊や近刊を無料で受け取ることができます。2024年5月末時点では172冊もの本が紹介されています。出版社や著者にとってはレビュー獲得や話題作りに役立てることができます。
ストーリーグラフは、2019年のベータ版立ち上げに続き、2021年に正式にローンチされた、新しいオールインワン読書プラットフォームです。サイトには、「読む気になれない本に時間を費やすほど人生は長くない」、「グッドリーズの代わりとなる、アマゾンに依存しない完全機能を備えたプラットフォーム」などの、目をひくキャッチコピーが並んでいます。ナディア・オドゥナヨ(Nadia Odunayo)という読書好きの女性の個人プロジェクトとして始まり、急速に成功を収めました。
直感的に操作できるインターフェースを備え、「笑える」「泣ける」「スピード感」「ダーク」といった“気分フィルター”を組み合わせて本を検索することができます。また、評価やコメントを「書く」のではなく、絵文字で表現できるリアクション機能や、二次創作や同人誌の検索も可能で、若者や気軽に読書を楽しむ層にとって魅力的な機能が満載で、グッドリーズなどの既存プラットフォームとは一線を画しています(グッドリーズのユーザーが、すべてのデータをストーリーグラフにインポートすることも可能)。
ストーリーグラフでは、読んだ本の記録、評価、読書目標の設定、読書傾向の統計、パーソナライズされたおすすめ機能など、基本的な機能を提供しています。さらに、月額$4.99(1年契約で2ヶ月無料)で利用できるストーリーグラフ・プラスでは、より高度な統計機能を利用することができます。このサブスクリプションは、家族や友人へのギフトとしても贈ることが可能です。
コミュニティの形成にも力を入れており、読書会やフォーラムなどの機能を通じて、ユーザー間の交流を促進しています。
設立者&CEOのナディアNadiaは、アップデートした機能について直接コメントを書き込み、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れて、サービスの革新を続けています。現在ベータ版ですが、新刊の無料配布もスタートしました。
今田陽子(いまた・ようこ)
BABEL PRESSプロジェクトマネージャー。カナダBC州在住。シャワー中もシャンプーボトルのラベルから目が離せない活字中毒者。