新着情報

2022年2月7日 第309号 World News Insight (ALUMNI編集室改め) 

発行:バベル翻訳専門職大学院 ALUMNI Association

「2023年、世界は全員参加型世界へ」                              

バベル翻訳専門職大学院(USA) 副学長 堀田都茂樹
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 今回は、多摩大学学長、日本総研会長の寺島実郎氏の「世界を知る力」の講義で学んだ2023年の世界情勢を皆様と共有したく。

 世界は多極化、ネットワーク型の世界に変貌していくというのが2023年の構図と言う。

2022年、米国、中国の2極化の側面から、世界は複数のプレイヤーが名乗りを上げてきている。

 初めに、ロシアも含めて、所謂、超大国が病んできている現状を見てみよう。

 米国は、世界の警察官と言う姿は見るべくもなく、その分断は続いている。超大国米国の幻想が終焉しつつあると言う。承知のように、赤いアメリカ(共和党)と青いアメリカ(民主党)の分断。また、同盟国の衰退。すなわち、米英日のGDPが2000年は世界の49.9%を占めていたのが、2022年には32%へ下落。

 核大国であるが、産業小国であるロシア。すなわち、世界の核弾頭の12,700発の内、米国保有核弾頭5428発より多い、5977発を保有していると言う核大国であるが、GDPに至っては、米国のGDPの約7%しかない。資源産出力はあるが、産業に付加価値をつける力がないのは明らかである。また、ウクライナ戦争では孤立と消滅の危機にある。すなわち、世界経済の中で、埋没の危機にある。核だけの一点豪華主義のロシア。

 中国は赤い中国への逆行。2010年、日本のGDPを追い越したが、習近平の一強支配が続く。そこに、台湾リスク。山峡ダム問題を抱えている。また、在外華僑の離反。中華民族の偉大な復興という共同幻想が冷却しつつあると言う。

 3つの超大国が衰退し、新しい覇権国は出てこない。世界は複雑怪奇になりつつある。世界は、グローバルサウスの台頭により、新たな構造、全員参加型秩序へと変化していっている、と言う。

 その象徴が、インドの台頭。インドを率いるモディ首相の存在感。インドのGDPは5年後、日本を追い越し。人口は来年中国を追い越すと言う。

 また、アフリカ54か国が台頭し、独自の主張を持ち始めた。所謂、米国との距離をとる中南米のピンクタイドの動き。

 中東の地殻変動、イスラエルの存在感が増し、イラン、トルコの復権が始まっている。

 では、そんな中で、日本が反転攻勢に出られるか、おぼつかないと言うのが現状であると言う。世界GDPにおける日本の比重は1994年17.9%から、2022年は4.2%。一人当たりのGDPは2022年台湾に抜かれ、韓国と並び世界30位。

 硬直の金融政策、物価高、コスト高に立ち向かう気迫なし。省エネ、技術革新への意欲欠如。あらゆることが閣議決定して、国会審議が空洞化していると言う。なんと、国会議員は人口当たりでは米国の3.5倍。代議制民主主義の見直しも必要と言う。

 アメリカに対する過剰な期待を脱却し、自主的に、健全な産業基盤の再構築、食と農、医療・防災、平和国家日本の主張と行動、外交政策の見直しが必要と言う。

 以上、寺島氏はこのように言うが、こういう時だからこそ、衰退する米国を救った、1980年代の40代レーガン大統領を思い起こしたい。

 1945年、大戦を勝利し、超大国米国が安泰と思いきや、その後、49年、ロシアに核開発で先越され、宇宙開発でも後塵を配し、50年、朝鮮戦争引き分け、57年、ロシアに人工衛星で先越され、63年ケネディ暗殺、64年からのベトナム戦争に敗北と、戦後、米国は悪いこと続きで暗黒の70年代を迎えた。

 ところが、81年、レーガンは衰退途上のアメリカにあって、強いアメリカ!!まだ強いアメリカ!!と謳って、アメリカ国民の士気の高揚をはかった。それ以来、アメリカ国民も大丈夫と思いはじめ、レーガノミックス、復興へと反転しました。これを想うと、日本はもっともっと元気なトップが現れ、まず、萎えた気持から立て直す必要があるのではないでしょうか。まず、出来る!!という気持ちから再建すべきなのが現状ではないでしょうか。

0
おすすめの記事