WEB TPT 2026年1月7日 382号 巻頭言 Japan is back
バベル ・グループ代 表 堀田都茂樹
Japan is back
高市首相の誕生は、日本政治にとって象徴的な転換点として受け止められている。「日本は再び立ち上がるのか」。世界から向けられるこの問いに対し、首相は所信表明で繰り返し「日本再起」を口にし、「私は、日本と日本人の底力を信じてやまない」「絶対にあきらめない」と宣言した。この姿勢は単なる情緒ではなく、政策群として明確な方向性を示している。では、それは本当に“Japan is back”を裏付ける力となりうるのか。
経済政策:失われた30年を断ち切るために
まず注目すべきは、積極財政を掲げた経済政策である。長期にわたるデフレと投資不足により、日本経済は縮小均衡に陥ってきた。ここに対し、首相は「責任ある積極財政」の名の下、戦略的な財政出動と賃上げ政策を組み合わせ、需要・供給の両輪を同時に動かす流れを打ち出した。「物価上昇を上回る賃上げ」が現実化すれば、縮んだ消費は再び呼び戻され、“景気回復は心理から”という定石が国民生活に届く。
さらに、“103万円の壁”の実質的撤廃は労働参加率を引き上げ、人材の流動性を刺激する。この点で日本の硬直的な雇用制度に風穴を開ける政策的意図が感じられる。もしこの経済政策が軌道に乗れば、再起の基盤は確かに固まる。
食料安全保障:国家としての自立回復
食料政策は、単なる産業振興にとどまらない。人口減少社会において、農林水産業を収入の取れる産業として再構築し、「稼げる農業」を作り出す方針は必然だ。輸入依存に揺らぐ安全保障上の弱点を克服するため、別枠予算の確保や先端技術の導入による輸出促進は、国家戦略として評価される。
地方が衰退する国に未来はない。“Japan is back”の本当の意味は、東京の活況ではなく、地方の再生に現れる。
エネルギー政策:未来技術と地政学リスクの回避
原子力と次世代炉、ペロブスカイト太陽電池、フュージョン(核融合)。これらを同時に推進する姿勢は、「理想論ではなく現実を見据える国家」を取り戻す道と言える。エネルギー自立は、経済再生・防衛力・外交カードすべての要だ。
供給途絶や国際価格に揺さぶられる国は“再起”できない。逆にここを押さえれば、日本は世界の技術覇権競争で再び存在感を示す可能性がある。
移民・人口政策:国家維持のための最低条件
人口減少という国家存続の根幹問題に対し、「子育て支援」「労働市場の整備」「外国人受け入れのルール化」を同時に語った点は現実的である。とりわけ、不法行為に対する毅然とした姿勢、土地取得ルールの見直しは、主権国家として当然の対応だ。
日本社会の秩序を保った上で多様性と労働人口を確保できるか。ここが成否を分ける焦点となる。
外交・国防:自立した国家への回帰
「自由で開かれたインド太平洋」を軸に、日米・日米韓・日米比・日米豪印という多角連携を進める方針は、単なる追随ではなく、戦略的選択だ。中国とは対話を継続しつつも、抑止力と交渉力を同時に強化する。
さらに、拉致問題を「最重要課題」と明言した点は、道義的主権の回復を示す。防衛力強化と自衛官処遇改善は、国防が「理念」ではなく「現実の仕事」であることを示す一歩だ。
“Japan is back”を実現する条件
高市首相の政策群は、バラバラに見えてすべてが一つの線で貫かれている。
それは「自立国家としての日本を取り戻す」という意思である。
経済・食料・エネルギー・人口・外交・国防―どれか一つでも欠ければ再起はない。逆に、これらが噛み合えば、“Japan is back”はスローガンではなく現実となる。
歴史は常に、政治家の言葉ではなく、実行によって書き換えられる。
今、私たちは問われている。 「日本は、まだ自分自身を信じられるか。」
その答えを、この政権の歩みに託したい。



















