新着情報

2025年2月7日 第357号 World News Insight (Alumni編集室改め)                                                    核兵器の理想と現実―日本の安全保障のジレンマ                       バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 現代の政治は大きな変革を迎えています。トランプ大統領の再選と政策転換は、国際社会の既存の枠組みを揺るがし、新たな時代の兆しを示しています。「アメリカ・ファースト」の理念のもと、長年影響力を持ってきた国際金融組織やグローバルな権力構造(以下、DS)が揺らぎ、政治・外交・社会に変化の波が広がっています。

 トランプ大統領は就任直後から既存の政治方針を覆す決断を下しました。WHOやパリ協定からの脱退は、国際秩序の見直しを図るものであり、国家の自主性を重視する姿勢を示しています。これは特定の勢力が支配してきた政治構造を変え、各国が独自の道を歩む時代を示唆するものです。

 こうした変動の中、実業家イーロン・マスク氏の影響力が増しています。彼はテスラやスペースXを通じて技術革新を推進し、SNSの再編にも関与し、情報の流れを変えつつあります。近年、日本の伝統文化と先端技術の融合に関心を寄せ、調和の精神こそが世界の指針になると述べています。

 マスク氏は、日本が伝統と最先端技術を両立させる稀有な国であり、それが社会秩序の安定につながっていると指摘します。礼儀正しさ、時間厳守、公共の秩序、思いやりといった価値観は、日本の街並みや公共交通の整然さに表れ、「和」の精神が根底にあります。

 では、日本はなぜこの調和を実現できたのでしょうか。本稿では、その要因として「日本語」の特性に注目します。日本語は母音中心の発音体系を持ち、柔らかな響きが人々の心に穏やかさをもたらし、社会全体の調和を促している可能性があります。

 一方、英語をはじめとする多くの言語は子音主体であり、競争意識を喚起する傾向があります。国際社会における対立の背景には、言語の特性が影響しているのかもしれません。日本語の柔らかい響きは、協調や助け合いの精神を育む要素となっています。

 この仮説はいくつかの事例で裏付けられます。例えば、東日本大震災では被災者が秩序正しく行動し、日本社会に根付く「和」の精神を示しました。また、日本の伝統武道は単なる競技ではなく、礼節と自己修養を重視し、調和を追求する文化的要素を持ちます。

 言語は個人の性格にも影響を与えます。日本語を学ぶことで攻撃的な性格が和らぎ、協調的になる事例が報告されています。また、国際結婚の家庭では、英語での口論が激しくなりやすい一方、日本語に切り替えると穏やかになるという現象も見られます。

 こうした文化的背景のもと、日本は世界最古の国家のひとつとして、長寿企業を多く抱え、地域社会の連帯感を維持しつつ、持続可能な発展のモデルを示しています。例えば、聖徳太子の時代から続く建設会社「金剛組」は、「和の力」の象徴的存在です。

 トランプ大統領の登場により既存の権力構造が揺らぐ中、マスク氏のような世界的リーダーが日本の伝統と革新を高く評価するのは偶然ではありません。日本は、母音中心の言語、長い歴史に根ざした文化、そして「和の精神」を通じて、世界が学ぶべき知恵と精神性を体現しています。

 いま、世界は変革の時を迎えています。これまでの時代が終焉し、新たな調和と創造の時代が訪れようとしています。この変化は政治・経済・文化のあらゆる分野で進行しており、日本の伝統と精神性は今後の世界の方向性を示す指針となるでしょう。その根底にある日本語の響きや敬語文化は、対立ではなく調和を生み出す要素として機能してきました。

 この言語的・文化的背景は、伝統の維持にとどまらず、現代社会の価値創造にも貢献しています。日本の技術産業や精緻なものづくりの精神は、調和の思想と結びつき、日本のアニメや文学、哲学的思考体系においても「和」の精神が表現され、国際的に評価されています。

 日本の言語と文化は、対立や分断を超えた共生のモデルを提示する可能性を秘めています。政治や経済の変化が加速する中、日本の伝統と革新のバランス、そして「和の精神」は、次世代の世界秩序に向けた重要な指針となるでしょう。

 世界は変革の只中にあり、日本の歴史的な知恵と文化が、新たな時代の礎となることが期待されています。


参考:日本語の言霊パワーを普及させる宿谷直晃氏の論考

0
おすすめの記事