WEB TPT 2023年5月22日319号 巻頭言 翻訳とは? 翻訳作業とは? バベル ・グループ 代 表 湯浅 美代子
前号では、バベルが翻訳ビジネスへ携わることになった経緯を、記憶を辿りながら書いてみましたが、著述業と言うのは本当に寿命が長く継続することができるのだなぁと、感慨深く振り返った次第です❣️
また、翻訳業には、単に作家としての目的意識だけではなく、国を越え、言語、文化を越えた多言語・多文化理解の視点が必要になりますし、対象読者の文化の理解レベルを踏まえて、原作と同等か、又はそれ以上の言語表現能力が要求されるのです。
そうして、それは、別の言語になった時、元の原語で書かれた情報レベルを超えて、全く新たな情報価値、文芸作品を創造している事になるのです❣️
どうでしょうか❓あなたは翻訳作業を進めている時、どんな心構えで取り組んでいるのでしょうか❓
今、自分が進めている翻訳作業とは、原作の言語文化の価値を、翻訳された言語文化における新たな言語文化の価値の創出作業なのだ❗️と言う意識で取り組んでいますか?
翻訳作業には、先ず原作の読み込み、解読作業が必要になりますね。それと同時に、原作の評価、売れ行き、読者からの反応、評判などの情報が出ていますから、原作を読むと同時に、社会、市場からの評価を知ることが出来ます。
先ずは、自分が読者として読んでみるわけですが、この一読者としての読んでいく体験がとても大事だと思います。
その時、自分はどう言う読者モデルなのかを、自己分析してみましょう。自分を知ることは、なかなか難しい事なのですね。
もう既に、長年翻訳に取り組んでこられた方の中には、これらの作業、原作の読み込み、つまり読解作業に於いて、ご自身の読解力がどういう水準かを、お分かりの方も多いでしょう。
翻訳作業の半分以上は、この原作の読み込みのレベルに依拠するのではないかと思います。
私のテーマである哲学思考でも、現状理解と分析がかなり重要なのです。哲学思考と翻訳作業が随分似ていると言う事がお分かり頂いたかと思います。
そんな訳で、翻訳とは、言わば哲学思考と似た作業でもある、と言う事がご理解いただければ幸いです。では、又。(^^)