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「翻訳とは何か?翻訳に関わり続けた四十八年を振り返る—その⑤」    バベル・グループ代表 湯浅美代子

 今号12月7日号は、その第5回、2002年に始まる米国にて翻訳専門職大学院設立の経緯、そして現地オフィスを引き上げて、WEBシステムの知求図書館と連携する、WEBスクール専門校へと移行するまでの20年間の活動の成果について書いておきたいと思います。 

 前号、このテーマの第4回では、何故、わざわざ日本を離れてハワイ州に『翻訳専門職大学院』を設立したのか? という理由、事情について書きました。今思えば、ハワイ州がどうして出てくるのか? ちょっと不思議な感じがしますが、やはり、我々の人生の体験すること、その事情には、ある種の必然性が必ず潜んでいるのだと実感します。日本もハワイ諸島も同様に島国なんですね。そして、あの、「リメンバーパールハーバー」と言われたことに、忘れてはならない大事な意味、出来事が隠されているからです!この、リメンバー、パールハーバー!の謀略、デッチアゲは、既に暴かれていますから、日本人で良かった!と、喜びが沸き上がるのですが、隠された事情があるので、まだよくご存知でない方は、是非調べてみることをお勧めします。(笑) 

 ところで、そもそも、社名になぜ『バベル』という名前をつけたのか? 1952年3月4日、始めは「翻訳家を養成する」という事業目的に沿って「日本翻訳家養成センター」と社名をつけたのに、その後、なぜ「バベル」となっていったのか? これは、思い返せばとても重要なテーマで、事業活動の広がりと深まり、それに伴う意識の変化を表しているという事が言えます。 

 社名はなんとなくつけているのではなく、事業の目的、その事業を行う心意気、理由、意義というものがあるのですね。つまり、「名は体を表す」という事になります。そして、実際にビジネスに従事していくことで得られた事業主体としての問いかけ「社長とは何か?」さらに「社長業を務めることによって体験した自分自身の精神的、内的成長を発現させた事柄に対する自覚」がより深まった結果だと言えるのです。 

 我々人間は、普通、自己を客観的にみることは苦手です。「自我=エゴ」というものが人類発祥からの長い年月の間で、多様な人間関係の中で誕生し、成長していきます。この「自我=エゴ」というものがなかなか曲者なんですね。我々は、通常「エゴ」を自分だと認識していますから、「エゴ」を他者の眼で見る、感じる、考えることはほとんど出来ないのです。 

 古来、人々は社会の構造がシンプルであればあるほど、素朴、純真な意識活動であったかと思います。しかし、社会構造が複雑化し、人間関係、社会に於ける役割、地位と言ったものが複雑化するに連れ、人々の心の働き、心の構造というものが二重、三重に複雑化していったのだと思います。もっと言えば、日本人のエゴは、いつ頃誕生していくのかと考えると、それは、いくつかの歴史的事件に関係している!のではないかと思います。なぜなら、日本人の生息地の環境は、島国という、大陸とはかなり違うある種特殊な環境の影響が大きいのではないかと思います。当然、大陸の人種グループとは違った足取りをたどっている!と言えるのだろうと思います。これは、日本人ばかりでなく、各地域の人種ごとの特徴、特性がそれを表している!と言うのは、皆様ご承知の通りです。  

 私達人間は、一人一人の誕生から老年における死迄の生涯に於いて、人間が誕生して変化変容してきた個体発生のプロセスや、種としての発生、変化のプロセスを繰り返していると言えるのでしょう。

 そういう視点で見れば、当時の社名は「日本に於いて翻訳家を養成するセンター」という意味であるとなり、曰く「名は態を表す」そのものだという訳ですが、当時の日本では外国語と言えば英語が中心でしたから、「日本語と英語間の翻訳家の養成事業から始める」のだが、英語だけでなく今後はさらにフランス語、ドイツ語、中国語など、多くの言語をも対象にしたい!という想い、前進する姿勢、意義、狙いも、心の内に秘めていたとも言えます。 

 なぜなら、それらは、その後になって、日仏・仏日翻訳文法、日独・独日翻訳文法、そして、日中・中日翻訳文法へと広がり、それら言語別翻訳技法を開発、編集制作したのです。この過程は、学習講座を進めながら、全工程を仕上げていき、コースの学習と並行しながら、最終的には講座の教科書としての出版へと進み、日英・英日翻訳文法、日独・独日翻訳文法、日仏・仏日翻訳文法、日中・中日翻訳文法の各教科書が完成し、それらをすべて、出版することができました。勿論、一度にという訳ではなく、言語別の専門研究者の諸先生方のチームの研鑽とご努力によって、成し遂げられたと言えるのです。 

 従って、これら【言語別 の 翻訳文法シリーズ 】は、翻訳スクールだけでなく、他の大学や専門学校の教科書にも採用され、同時に個人の独学教科書としても、長年に亙り出版を続けてきました。この様な教科書出版が進んだおかげで、海外各地でも独学、自習する方もあり、勿論、通信教育によるバベルの翻訳学習スクールでの学習者も多年にわたり学習しておられます。

 日本国内における翻訳者養成事業だけではなく、日本語と世界の多言語との翻訳を視野においてそこでの日本語と外国語間の翻訳家養成事業である!というような、意義の拡張、業務内容、事業内容の拡張、充実拡大への意思を明確にしたかったということです。まさに、名は体を表す!という事を直接体験し、表現しなおしたのだと言えるのです。 

「翻訳」というたった二つの漢字によって表現される【 働き=機能 】が、その時を静かに待っている言葉、文字、漢字、仮名という多様な表現【 趣旨=種子=主旨 】形式によって、言葉、文字、漢字、平仮名たちのそれぞれが躍動する鼓動が聞こえてくるような気がします。まさに、日本語ならではの表現多様性の現れだと言えます!

 私はこの、「翻訳」というたった二つの漢字に魅せられて48年、そして翻訳者の皆様も同じような感慨を深めておいでのことではないでしょうか! そして、それは何より、日本語、日本文化という世界で唯一の独特の歴史と文化に根差している!という特性によるものである!とも言えるのではないでしょうか!

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