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13 真実の口 (#3:奪われていく言論の自由:米国)

 賛否両論が始終付きまとっているかの様なトランプ政権であるが、2026年、第2期目トランプ政権がスターとした。印象的だったのは、第1期目と、第2期めにおける国民の反応の違いだろうか。第1期目の際は、政治家としてほぼ未経験のトランプ氏に対して、果たして大国アメリカの政治運営が可能か否か、大統領としての資質や人格の妥当性を問う、といった反対デモが各州で頻繁に行われた。反して、第2期目の今年は、選挙結果の大差を背にして、あたかも国民の支持を得たかのように、期待感の高まった静かなスタートであった。トランプ氏が長年に渡って築き上げた実業家としての感性から出る、直接的でエネルギッシュな語り口が、支援者を増加させたかのようにも見えた。しかし、有権者の心底には、トランプ氏の持つ特異性に期待(今までの大統領が口にしてこなかったタブー的な内容の発言や、揶揄的かつ攻撃的な言動(相手を問わず、自分の敵対者や敵対国への挑発的とも取れる暴言)をまるで最後の頼みの綱としたい、という国民感情もあったのかもしれない。
 トランプ氏の言動については、独創的というより、自己への有益性があるか否かを元に判断している、と表されることが多い。元来、政治畑を歩いてきたわけではない、ビジネス界で培った「強気の交渉姿勢」や「短期的成果を重視するスタイル」は効果を発揮することもあるが、逆効果になることも多いようだ。2月に突然攻撃開始したイラン戦争では、その裏にある政治的利権も複雑に絡み、交渉には予想外の時間がかかり、終結案に合意するまで4か月を要した。SNSを上手く使いこなす事でも知られているが、自身の配信の中では、自己の正当性を全面に押し出してアピールする。そうして、自分へ批判的な通信機関などは、「フェイク報道」として、罵倒し排除しようとする。アメリカ報道の象徴とも言える、CNNやNYTなどのメディアすら、「アメリカ国民の敵」として攻撃する。実際にトランプ氏の発言により、更迭へと追い込まれた政治家/活動化/報道関係者/文化人など、実に数多い。国際機関からの脱退(WHO脱退、パリ協定脱退、ユネスコ脱退)を実行した大統領でもある。こういった言動は、国内/国外を問わず、批判の的に晒される事も多く、世界中へ飛び火した、No Kingsイベントなどはよい例であろう。米国大統領責務とは何か、民主主義の本筋とは何か、という原点への論争も当然持ち上がる。米国憲法で明確に謳われている、「言論・集会の自由」を保障するようにと国民は抗議する。そういった行為自体が愛国的行動と評価される米国では、国民からの意見に対して大統領がどのように対峙していくのか、今後も注目の的であるだろう。


(書籍紹介): 「1984」
 出版社: Secker & Warburg 出版社  06/08/1949 初版発行
(翻訳出版社:文芸春秋出版社: 初版1950年発行 。現在まで65カ国で翻訳出版

(著者紹介):George Orwell ジョージ・オーウェル 英国生まれ、作家、ジャーナリスト
「1984」は、1949年に英国で出版された書籍で、全体主義・監視社会・言語統制をテーマにした風刺的ディストピア小説。舞台は、一党独裁制が統治する国家で、24時間監視下に置かれた国民は、言論や行動が規制されている。そんな中、絶対的統治に疑念を抱いた主人公が、自由な言動とは何かに気づき始める、という内容である。全体主義が支配する近未来社会の恐怖を描いた本作品が、1949年に発表されると、当時の東西冷戦が進む世界情勢を反映してか、西側諸国で爆発的な支持を得た。当時のソ連スターリニズムやファシズムなどの全体主義を批判するために書いた“警告の書”とも言われる。1998年「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」に、2002年には「史上最高の文学100」に選出された。出版以来、思想・芸術面など数多くの分野で多大な影響を与えつづけている。
政治規約では、戦争否定していたトランプ政権であるが、1月ベネズエラ大統領拘束、2月イランへの攻撃開始など、国際的にも強気な姿勢を示し続けている。独裁政治とまでは評されていないが、自己評価が高く、独走しがちな姿勢を危ぶむ反対意見は国内外問わずに多い。その行く末に危機感を抱く国民は増加傾向にあり、内閣支持率も低下現象を示す中、今年、米国は独立宣言を果たしてから250年という節目を迎える。


谷口知子
バベル翻訳専門大学院修了生。NY在住(米国滞在は35年を超える)。米国税理士(本職)の傍ら、バベル出版を通して、日米間の相違点(文化/習慣/教育方針など)を浮彫りとさせる出版物の紹介(翻訳)を行う。趣味:園芸/ドライブ/料理/トレッキング/(裏千家)茶道/(草月)華道/手芸一般。

 

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