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2024年6月22日 第342号 World News Insight             (Alumni編集室改め)                                    危ない牛肉は、米国内では売れない、EUには輸出できない、なら日本に売れ!?                                バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

今回も東京大学大学院の 鈴木宣弘教授にお聴きします。日本人の健康を害するエストロゲン(女性成長ホルモン)入り牛肉を、日本国内では生産を禁止しておきながら、米、豪からの輸入はザル法で許可している政府の残酷な実態をお伝えします。

最近、乳がん患者が増えつつあるのを、それが原因かもしれないと指摘しているお医者様が増えているそうです。産婦人科の学会誌では、アメリカの肉を調べたら基準値の600倍のエストロゲンが出てきたと発表があったそうです。

成長ホルモンについては、発がん性などの問題、特に、エストロゲンは乳がんなどの増殖因子ということで、日本では牛や豚の飼育には使うことが禁止されています。ところが、アメリカ、豪州などではこれを使っている生産農家も多いのです。なぜなら、これを投与すると成長が早まって、その分、4割ほど生産コストを安くできるからです。

現在、日本の牛肉の自給率は、3割ぐらいしかないわけです。先ごろ、日米貿易協定で関税が3分の1に下がり、当然の帰結で、これまでの1.5倍の勢いで輸入牛肉が日本の食卓に並ぶことになりました。

ところが、アメリカでは、今、ホルモンフリーの安全な牛肉を消費者を求めていて、ホルモンフリーの牛肉の消費がどんどん増えています。従って、アメリカ国内では、エストロゲン牛肉がなかなか売れない(当然でしょう)、ましてやEUでは輸入禁止という状況になってきたそうです。ならば、規制がゆるい日本に売れ!!となっているのが実態なようです。これをろくに輸入規制しない日本政府は日本人を殺すことをなんとも思っていないのでしょうか。

加えて、ラクトパミンという成長促進剤は聞いたことありますか?ラクトパミンは餌に混ぜる成長促進剤で、ホルモンではないのですけども、これも牛や豚の飼育に海外では使われています。しかし、こちらも日本では使用禁止です。

おまけに、これは発がん性のリスクだけでなくて、人体に中毒症状を起こさせるということで、EUだけでなくて中国やロシアでも、国内使用も輸入も禁止しています。ところが、日本はエストロゲン同様、国内使用は禁止ですが輸入は素通り、ザルになっているわけです。

台湾では、このラクトパミンの入ったアメリカ産の肉なんか絶対食べないということで、大規模な国民デモが起こっているくらいです。ところが、日本ではメディアもその事実を
報道しないので、ラクトパミンで育った家畜を平気で食べ続けているのが実態です。

実はこのラクトパミンが国際的に安全かどうか、安全基準を決めるために、コーデックス委員会という権威ある国際委員会が設置されています。

そこでは、アメリカなどはラクトパミンは安全だと主張。一方、EUは絶対だめだと主張。こうして並行線が続いていました。そこで、この権威あるコーデックス委員会は、なんと投票で安全性を決めるということになってしまいました。その帰結として、アメリカの関連企業のロビー活動によって、多数決で安全だとなってしまったというのが実態だそうです。
安全基準が科学的根拠に基づかず、投票と言う、政治的な力で決まってしまったという惨状です。

ここまで聞かされると、この一連の事実は国による殺人行為と言っても過言ではないのではないでしょうか。少なくとも、健康被害の可能性に対する知恵(Wisdom)は皆で監視、共有(Share)するという当たり前を日本政府に望みたいと思います。

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