改めて、ポッドキャストとは

皆さんは、「ポッドキャスト」をどのくらい利用されているでしょうか。
筆者は家事の合間の「ながら聴き」として利用することが多いのですが、近年、このポッドキャストが再び注目を集めています。

ポッドキャストとは、インターネットを通じて配信される音声コンテンツのことです。ラジオに似ていますが、放送ではなく発信です。誰でもテーマを決めて、自分の声で語ることができ、聴き手はいつでもどこでもスマホ1つでアクセスできます。

Apple PodcastSpotifyAmazon Musicなど、さまざまなプラットフォームが存在しますが、最近では、音声に映像を組み合わせた「ビデオポッドキャスト」も主流になりつつあります。アメリカではYouTubeでポッドキャストを観る人が最も多く、SpotifyApple Podcastと並ぶ人気を誇っています。

 

欧米のポッドキャストは、いまや文化の主役

アメリカでは、ポッドキャストはすでに生活の一部となっています。

アメリカの調査会社 Edison Research の最新報告(The Infinite Dial 2025)によると、12歳以上の48%がポッドキャストを「視聴」しているとのこと。「聴く」だけでなく「視る」スタイルが一般化しているのが特徴です。

ラジオ文化の根強いヨーロッパでも、同様の傾向が見られます。英国の通信規制機関 Ofcom 2025年調査によると、ポッドキャストの利用は安定的に増加しており、家庭での聴取が全体の67%を占めています。

さらに象徴的なのは、アメリカの映画やテレビドラマに与えられる賞であるゴールデングローブ賞が、2026年に「ベスト・ポッドキャスト賞」を新設したこと。これは、ポッドキャストが単なる配信メディアではなく、文化的な表現の場として認められつつあることを意味しています。

 

ポッドキャストの利点

SNSのライブ配信が「消えていく声」であるのに対し、ポッドキャストは「残る声」です。配信者は好きなタイミングで発信でき、聴き手も自分の時間に合わせてじっくり聴くことができます。

また、自宅でゆっくり聴く人が多いため、書籍ほどの長さはなくても「考えるための音声」として受け止められやすいメディアです。まさに「反芻されるコンテンツ」として機能します。

 

ライターとして実践できること

以前、「オーディオブック」について触れましたが、ライターとして活動している方や、ライターを志す方も、ポッドキャストを活用することで新しい発信の可能性が見えてくるはずです。

以下のポイントに注目しながら、一度、自分の声を録音してみましょう。

構成力を活かす

海外の人気番組の多くは、台本を「書く話す削る」の三段階で作られています。ライターの皆さんにとって、まさに文章力がそのまま生きる領域です。

そして、ポッドキャストは、文章構成と同じように「導入問題提起展開結論」という流れで音声を組み立てます。日頃の文章構成力は、ポッドキャストの台本そのものになるのです。

長さより「間」と「声の温度」

ポッドキャストのリスナーの約7割が自宅で聴いているといわれています。そのため、落ち着いた語り口が好まれます。
朗読のように、ゆっくりと語る。それだけで、聴きやすさがぐっと上がります。

もし「自分にもできるだろうか」と感じたら、まずは最近書いたコラムや日記を声に出して読んでみましょう。マイクは必要ありません。スマートフォンの録音機能で十分です。
すると自然に、
聞き手の耳に残る言葉はどこか」
文としては正しいが、声にすると硬い表現はどこか」
が見えてきます。

 

ゆっくり語ることが、書く力を深める

SNSの情報があふれ、速度が重視される今、ゆっくり語るポッドキャストは「情報を落ち着いて考える場」として再評価されています。

翻訳やライティングに携わってきた方にとって、ポッドキャストは非常に相性の良いメディアです。声に出すことで、書き手としてのが鍛えられ、あなたの文章にも新しい息づかいが宿るでしょう。

ライタープロフィール

村山有紀(むらやま・ゆき)
IT・ビジネス翻訳歴10年以上。国内外の様々な場所での生活と子育ての
経験をふまえ、自分らしい発信のスタイルを模索中。

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