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ブックコミュニティ第9回

Vultureが選ぶ2024年のベストブック

ブックコミュニティとは少し異なりますが、「Vulture」はアメリカのメディア企業New York Magazineが運営するオンラインカルチャーサイトです。最新のエンターテインメントや文学のトレンドを追いたい人、ディープな批評を楽しみたい人にぴったりなサイトです。記事の内容は、映画レビュー、テレビ番組の考察、音楽アルバムの分析、文学特集、インタビューなど多岐にわたります。ポップカルチャーに関連するトレンドやニュースなども取り上げられ、幅広い層に向けた内容が特徴です。本や文学に関する特集記事も多く、特に新刊紹介や作家インタビュー、トレンド分析などには定評があります。アメリカの文化や文学界の動向を知りたい日本の読者にも参考になる情報が満載です。
今回はこの「Vulture」が選んだ昨年のベストブックを1位から5位までご紹介します。

第1位

The Anthropologists』by Ayşegül Savaş

ニューヨーク・タイムズ・ブックレビューの編集者やバラク・オバマ氏にも取り上げられた癒しの小説。若い夫婦が異国の地で新しい生活を築いていく物語で、家族や故郷とのつながりをどう維持するか、自分たちのアイデンティティをどう見つけるかを模索する二人の生活が、繊細で温かみのあるタッチで描かれています。歌うように書かれた文章を通して、二人が互いの中に居場所を見つけていく様子を見守ることは、希望に満ちた読書体験です。

第2位

The Image of My Name Enters America』by Lucy Ives


現代エッセイの傑作と称賛される、知的で感動的な一冊です。著者の妊娠や子供時代の思い出、家族の移民の歴史などの経験を通じて、ユニコーンが象徴するもの、中世の神秘主義者マーガリー・ケンプ、SF小説『三体』、アメリカ西部開拓史、アッシリア人虐殺など、さまざまな文化的・歴史的テーマが独自の視点で考察されています。鋭い洞察と知的な遊び心が満ちた本書は、読者に新しい視点を提供します。

第3位

The Book of Love』by Kelly Link


長年、幻想的な短編小説を書いてきた著者の、642ページに及ぶ超大作ファンタジー小説。ニューイングランドの小さな町を舞台に、3人組のティーンエイジャーが生と死の狭間で一連の試練に挑む様子を追いながら、現実と幻想が交錯する物語が展開されていきます。短編で培われた、著者の精緻な文体と豊かな想像力が高く評価されています。

第4位

There’s Always This Year: On Basketball and Ascension』by Hanif Abdurraqiby


1990年代のオハイオ州コロンバスで育ち、バスケットボールの黄金期を目撃した著者自身の経験を元に、バスケットボールと人生について深く掘り下げたエッセイ集。地元のヒーローからバスケットボール界のスーパースターとなったレブロン・ジェームズをはじめとする伝説的な選手たちの成功と、夢を叶えられなかった多くの人々の現実を交えながら、成功の意味や期待について考察しています。読者に希望と共観を与える作品。

第5位

Say Hello to My Little Friend』by Jennine Capó Crucet


マイアミを舞台にした魔法的リアリズムとブラックコメディが融合した小説。幼少期にキューバからマイアミに逃れ、20代前半にモノマネ芸人になった後、映画のヒーローであるトニー・モンタナのような人生を送ろうと決意する男の物語。彼は水族館で不遇に暮らすロリータという名のシャチと精神的なつながりを持ち、ふたりの運命は絡み合っていきます。彼の奇妙な冒険を通じて、アイデンティティや家族の歴史、そして自己発見を探求する壮大な物語。

さて、あなたの読みたい一冊は見つかりましたか?

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