河野 吉秀(こうの よしひで)

【 Professional Translators’ Profile 】 河野 吉秀(こうの よしひで)

1.バベル翻訳専門職大学院のテキストの執筆

(1) 国際取引法のテキスト

2001年にバベルの青山の教室で、ハローワークより教育を依頼された人たちを教育するため、国際取引法のテキストを執筆し、2001年に4クラス、2002年に2クラス、それぞれ約4週間の授業を行った。
この国際取引法のテキストは、2002年にバベル翻訳専門職大学院のテキストになった。このテキストは2015年に全面的な改訂を行っている。

(2) アニュアルレポート英日翻訳のテキスト

2003年にアニュアルレポート英日翻訳のテキストを執筆し、バベル翻訳専門職大学院のテキストとして使用した。

(3) 金融証券翻訳のテキスト

橋本光憲先生が執筆された金融証券翻訳のテキストを、橋本先生が重病になられたため、河野が2007年に全面的に改訂し、バベル翻訳専門職大学院のテキストとして使用した。

(4) アメリカ国際商取引法のテキスト

石田佳治先生のご依頼で、2019年にアメリカ国際商取引法のテキストを、バベルのアメリカ法講座の一部として執筆した。

(5) アメリカ国際法のテキスト

石田佳治先生のご依頼で、2020年にアメリカ国際法のテキストを、バベルのアメリカ法講座の一部として執筆した。

2.バベル翻訳専門職大学院の大学院生の修了作品の翻訳の指導

(1) 2011年に修了作品「Investor Relations for the Emerging Company 新興企業のための投資家向け広報―アメリカ資本市場の説明と効果的な投資家向け広報の実務」の翻訳の指導を行った。
この本は、アメリカの新興小型上場企業の最高経営責任者のための投資家向け広報の実務の指導書である。

(2) 2012年に修了作品 「Economic Facts and Fallacies 経済の事実と誤解」の翻訳の指導を行った。
この本の著者は Thomas Sowell トーマス・ソーウェルというスタンフォード大学フーバー研究所の経済学博士である。
ソーウェル氏はこの本で「アメリカでは、フルタイムで働いている人の所得が増えていないように見えるが、健康保険料や、年金のための積立を含めれば、過去20年間に30%程度増加している。アメリカ人の平均所得が増えていないように見えるのは、パートで働く人が増加しているためや、健康保険料や年金のための積立が増加しているためである」などの意見を述べている。

(3) 2013年に修了作品 「Law in America アメリカの法律」の翻訳の指導を行った。
この本の著者は、スタンフォード大学でアメリカ法入門を教えている Lawrence M.Friedman ローレンス M. フリードマン教授である。
この本は、フリードマン教授のアメリカ法入門のテキストであり、「ルーズベルト大統領は、大恐慌を克服するため、ニューディール政策の一部として、農業調整法を作って農産物の生産調整をして価格を引上げ、社会保障法を作って年金制度を作り、年配の人たちが安心して引退出来るようにして、若者の失業者を減少させた。アメリカの企業に定年退職の制度がないのは、1986年の ”Employment Act 雇用法” の改正で、定年退職を「年令による差別」として禁止したためである。
アメリカでは過去約50年の間に大統領の権限が大きくなり、大統領の補佐官は官庁の長官よりも重要な役割をするようになった。例えば、アメリカ憲法には “宣戦布告は連邦議会が行う” と書いてあるが、朝鮮戦争でも、ベトナム戦争でも、湾岸戦争でも、宣戦布告をし、戦争を行い、戦争を終わらせたのは大統領であり、連邦議会はこれらの戦争では大統領に従っていた。」などを説明している。

(4) 2013年に修了作品 「Red Capitalism ― The fragile financial foundation of China’s extraordinary rise 赤い資本主義―中国の目覚ましい台頭を支える脆弱な金融基盤」の翻訳の指導を行った。この本の著者は Carl E. Walter カール E. ウォルター氏と、Fraser J. T. Howie フレイザーJ.T. ハウイ氏であり、ウォルター氏は元J. P. モルガン・チェース銀行(中国) の最高執行責任者である。この本の内容は「1996年にゴールドマン・サックスが中国政府の上層部に中国全体をカバーする通信会社を作るよう勧め、1997年に中国政府の郵政電信電話省が設立した香港のペーパーカンパニーであるチャイナ・モバイルがニューヨークと香港に株式を上場し新株式を発行して45億ドルの資金を集めた。チャイナ・モバイルはこの資金で中国の各州が運営している通信事業を買収して中国全体をカバーする通信会社のチャイナ・テレコムになり、中国共産党の幹部がチャイナ・テレコムの幹部になった。さらに中国政府は2000年から2006年にかけて石油会社、通信会社、保険会社、銀行など、15の国有企業を作り、モルガン・スタンレー、メリル・リンチ、ドイチェ・バンクなどが主幹事になってニューヨークなどに上場させ、合計約687億ドルの資金を集めている。中国の国有企業はこのような中国政府の大掛かりな支援によって誕生した。」などである。

(5) 2014年に修了作品「Smart Cookies Guide To Making More Dough And Getting Out Of Debt スマートクッキーズの収入を増やし借金をゼロにするガイド」の翻訳の指導を行った。著者はカナダの20代から30代の、仕事をしていて、かなりの収入があるキャリア・ウーマン5人で、この5人でスマートクッキーズというマネーグループを結成している。この本の内容は「カナダの若い5人のキャリアウーマンが、よく考えないでお金を使っていたため、多額の借金があったのを、5人でスマートクッキーズというマネーグループを作って自分たちの金銭問題を話合い、他の4人からアドバイスをもらって、自分たちの生活を改善するようにしたところ、①毎月の自分の収入、支出、借金の支払、預金、投資をつかむようにする、②これからどんな生活がしたいかを考えて人生の目標を立てる、③お金は計画的に使い、賢い消費者になり、不要な買物はしないようにする、④クレジットカード会社からの借金は金利が高いので返済してしまう、⑤昇進や投資で収入を増やす、⑥好条件の住宅ローンを借りて、住宅を買って資産を形成する、などを行うようになり、1年数カ月で借金を全て返済することが出来、収入の増加や住宅の購入も実現出来て、アメリカのオプラ・ウィンフリー・ショーという人気テレビ番組に出演して、自分たちの成功物語をテレビで話すことが出来るまでになった」という実話である。

(6) 2019年に修了作品「China 4.0 The Man, the Plan , the Dream: How Xi Jinping and China’s 13th Five Year Plan for Economic and Social Development will Rejuvenate the Nation and Reshape our World 中国4.0 人、計画、夢、習近平と中国の経済社会発展のための第13次5カ年計画は中国をどのように復活し世界を変えるか」の翻訳指導を行った。この本の著者はJeson Inch ジェイソン・インチという上海在住のカナダ人作家、大学講師である。この本の内容は「中国政府が2016年に発表した第13次5カ年計画と、その政策であるインターネットプラス、中国製造2025、一帯一路などの説明で、中国が偉大な国になるための基本戦略である。
中国には2009年現在、136社の中央管理の国有企業があり、約3380億ドルの利益を稼いでいる。国有企業は、最高で税引後利益の25%の配当を政府に支払う。これ以外に、約14万9千社の小型国有企業がある。国有企業の従業員は数百万人おり、終身雇用である。中国の国有企業の自己資本利益率は民間企業よりも低い。今後、新しい重要な国有企業が民間企業よりも優先して株式上場を行い、上場で得た資金で他の国有企業の合併・買収・債務返済を行うものと予想される。
中国の技術の進歩は目覚ましい。2017年に初飛行を行った中国産のジェット機C919は、他のジェット機よりも優れている。中国のDJI社の民生用ドローンは完全な中国製の発明であり、世界のドローン市場の70%を支配している。中国政府はさまざまな政策で外国企業で働いていた中国人研究者が中国に戻ることを支援している。現在では外国の重要技術の入手は中国政府の方針であり、外国の重要技術であれば、中国の国有銀行や中国政府が支援するファンドが資金を出してくれる。
中国は1960年代から1970年代の食糧飢饉を覚えており、他国との紛争のときに食糧の供給を断たれることを恐れている。中国の農民は小さな土地での農業で、利益が殆ど出ない生活をしている。中国では土地は政府の所有である。2000年代初めでも中国には6億2千万人、人口の約50%の農民がいる。中国の農業のお手本は海南島で、熱帯果物・冬野菜などの栽培と観光業を行っている。中国は、人工衛星・種子技術・ドローンなどを利用する農業の近代化を進めるため、優れたアグリビジネスを展開しているスイスのシンジェンダを430億ドルで買収し、多数の農業技術者・植物学者・遺伝子技術者を育成するなど、農業に多額の投資を行っている。」などである。

(プロフィール)
河野 吉秀

  • 1960年 東京大学 法学部卒業
  • 1960年より1997年 三菱レイヨン株式会社 (現在の三菱ケミカルグループ株式会社) にて
    海外関係会社3社の社長、
    アメリカのメーカー2社の企業買収、
    三菱レイヨンの自己資本増強のためスイスおよびロンドン
    国際金融市場で転換社債など、7回合計で約700億円の発行、などを担当。
  • 1997年より 経営コンサルタント
  • 2002年より2021年  バベル翻訳専門職大学院プロフェッサー
  • 2005年より2014年  株式会社アレクソン監査役