はじめに

いよいよ連載がスタートしました!
今回は第1期として、全8回の内容を予定しています。
その概要を、まずはご紹介しましょう。
なお、内容は予告なく変更となる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

第1回:AIライティングの基本:何ができるのか?
ChatGPTや他のAIライティングツールの紹介
AIライティングの得意・不得意
AIを使うべき場面・使わないほうがいい場面
簡単な実演(例:「商品紹介文を作る」)
第2回:AIを使った「発想術」:アイデアを量産する
AIを使ったブレインストーミング
タイトルや見出しの生成
記事の構成を考える(マインドマップ的な活用)
AIを活用したリサーチテクニック
第3回:AIと人間の共作:自然な文章を作るには?
AIが生成する文章の特徴
不自然な表現を修正する方法
AIの文章をより「人間らしく」するコツ
実践:「AIに書かせた文章を添削してみよう」
第4回:AIによる文章の推敲・リライト術
AIに文章をチェックさせる方法
簡潔で伝わりやすい文章へのリライト
文体の統一と整え方
実践:「リライト前後の比較」
第5回:AIを活用した説得力のある文章の作り方
説得力のある文章とは?(論理展開の基本)
AIに主張を整理させる方法
AIを使ったデータの引用・活用
実践:「説得力のある文章をAIと一緒に書く」
第6回:AIで個性的な文体を作る方法
AIに「文体」を学習させる方法
自分らしい文章スタイルを確立するには?
AIで複数の文体を試す(例:「硬い文体」「ユーモアのある文体」など)
実践:「自分に合った文体を見つける」
第7回:AIによる要約&翻訳の実践テクニック
長文を簡潔にまとめる方法
要約の精度を上げるコツ(プロンプトの工夫)
AI翻訳の活用法と注意点
実践:「ニュース記事の要約&翻訳」
第8回:AIライティングの未来と、人間が担う役割
AIライティングの進化と今後の展望
AIに頼りすぎることのリスク
AI時代に求められる「人間の文章力」
まとめ:「AIを賢く使いこなすには?」

この連載では、AIを活用して文章作成や表現を効率化・改善したいライター、ビジネスパーソン、学生、翻訳者、SNS運用者など幅広い層を想定しています。

第1回 AIライティングの基本:何ができるのか?

わずか、2年前に登場した生成AIは、目を見張るほどのスピードで進化し、いまやAIを使ったライティングは、特別なことではなく「当たり前の時代」に入りました。とはいえ、「なんとなく不安だ」「AIに頼るなんて…」と感じる方がいるのも無理はありません。新しいものには、戸惑いがつきものです。

でも、時代の流れは確実にAIとともに進んでいます。だからこそ、頑なに背を向けるのではなく、まずは一歩だけでも踏み出してみませんか?AIは、あなたの言葉を奪うものではありません。むしろ、あなたの思いやアイデアをもっと自由に、もっと豊かに表現するための心強いパートナーになってくれるはずです。

今回は、AIが得意なこと・苦手なことをしっかり押さえたうえで、安心して使い始めるための基本をわかりやすく解説していきます。

生成AIツールについて

生成AIは、大量の文章や画像などのデータを学習して、「次に来る言葉や情報を予測する」仕組みで動いています。たとえば、「今日は天気が」と入力すると、「いいです」「悪いです」など、よく続く言葉を予想して返してくれます。この予測をものすごい速さで繰り返すことで、自然な文章や画像、コードなどを自動で作り出せるのです。難しいルールではなく、「パターンを覚えて、まねして、応用する」イメージに近いです。今はあまり難しいことは考えず、これだけ理解しておけば十分です。

生成AIは、文章生成にとどまらず、画像生成、プログラムコードの作成、翻訳、要約、データ分析の支援など、幅広い用途で活用されています。
代表的なツールには、みなさんお馴染みのOpenAIのChatGPTがあり、文章作成だけでなく、アイデア出し、画像解析、コード生成など多機能で、特にGPT-4は高精度な出力が可能です。

GoogleのGeminiは、検索と連動してリアルタイム情報の取得が得意で、画像や文書の複合処理にも対応し、GmailやGoogle Docsとの連携がスムーズです。AnthropicのClaudeは、安全性や説明力を重視して設計され、複雑な構造の文書にも強く、教育やリサーチ分野で注目されています。

Microsoft CopilotはWordやExcelなどに直接組み込まれ、表やグラフ作成、プレゼン資料の校正支援など、実務に即したサポートが特徴です。また、Perplexity AIは、検索と生成AIを組み合わせたツールで、出典を明示しながら情報を要約・提示するため、調査や記事執筆の下調べにも非常に有効です。

これらのツールは、それぞれの特長を活かして、多様な業務や創作活動を強力に支援しています。

AIライティングツールについて

この連載のテーマは、AIを活用して文章を書く方法ですが、ライティング用のAIツールにもさまざまな種類があり、それぞれが得意分野を持っています。

たとえば、Catchyは広告やSNS向けの短い文章作成に強く、日本語に特化した使いやすさが特徴です。EmmaToolsTranscopeはSEOに特化し、キーワード分析や競合調査を通じて検索上位を狙った記事を効率よく作成できます。Rakurinはブログ作成に最適化されており、初心者でも簡単に高品質な下書きを生成できます。

その中でもChatGPTは、ライティング全般において特に優れた汎用性を持っています。自然な対話形式であらゆるジャンルの文章作成に対応できるうえ、高精度な文章生成と複雑な構成の理解が可能です。ブログや広告文、論文、脚本など幅広い用途に使え、指示に対する柔軟な応答力とカスタマイズ性の高さは他のツールにはない大きな強みです。また、初心者でも直感的に操作できるため、プロ・アマ問わず多くのユーザーに支持されています。さらに、画像解析やコード生成など、文章以外の機能も豊富で、進化を続ける多機能型ツールとして突出した存在となっています。

ということで、この連載では、もっとも汎用性が高く使いやすいChatGPTを利用することにします。

AIライティングの得意・不得意

AIをライティングに活用する際は、AIの得意分野と不得意分野を正しく理解しておくことが重要です。不得意な作業に使ってしまうと、かえって効率が落ちてしまうこともあります。

AIが得意なこと

素早いアイデア出し
AIは、キーワードやテーマを与えると、それに基づいた記事タイトルや見出しの候補を一度にたくさん出してくれます。特に、ゼロから考え始める「アイデア出し」の段階では、思考のヒントをもらえる便利なツールになります。アイデアの方向性を広げたいときや、複数の視点を得たいときに役立ちます。

文章の要約
長文を短く、かつ要点を押さえてまとめるのはAIの得意分野です。たとえば、会議の議事録や長いレポート、小説のあらすじなどを短時間で簡潔に要約してくれるので、読み手が素早く全体像をつかむのに役立ちます。情報整理にも向いています。

シンプルな文章作成
簡潔で明快な文章を、スピーディーに作ることができます。たとえば、ニュースのような事実を簡潔に伝える文章や、ブログの導入文などを短時間で仕上げるのに便利です。基本的な構成に沿った文章が得意なので、初心者が文章の「型」を学ぶ際の参考にもなります。

フォーマットのある文章
ビジネスメール、プレゼン資料の原稿、求人票、商品説明、レビュー文、問い合わせ対応文など、ある程度フォーマットが決まっている文章を作るのが得意です。定型的な構造をもとに、自動的に内容を当てはめてくれるため、文体のブレが少なく、作業効率も上がります。

AIが不得意なこと

高度な専門知識を要する文章
法律・医療・科学・金融など、専門性の高い分野では、AIが不正確な情報や不完全な理解に基づいた文章を作ってしまうことがあります。AIはあくまで学習データをもとに文章を生成しているため、正確な定義や専門用語の使い分け、細かい論理構成までは保証できない場合があります。こういった分野では、必ず専門家によるチェックが必要です。

クリエイティブな表現
独自の文体や、ユニークで印象に残る比喩・表現は、AIが苦手とする部分です。AIは過去の文章パターンをもとに予測して文章を生成しているため、型にはまった表現になりやすく、「人間らしいひらめき」や「感情に訴える表現」はやや弱い傾向にあります。小説や詩、エッセイなど、個性を前面に出したい作品では、AIの文章をそのまま使うよりも、人の手で工夫を加えることが大切です。

最新の情報を反映すること
AIの中には、インターネットに接続されていないものや、学習データの更新が限られているものがあります。そのため、たとえば「今朝のニュース」や「最新のトレンド」「最新の法改正」など、リアルタイム性が求められる情報には対応できないことがあります。こういった場合は、信頼できる一次情報を自分で確認し、AIが出した情報と照らし合わせる必要があります。ただし、最近は検索エンジンと連携したAIも増えており、だいぶ改善されてきています。

AIを使うべき場面・使わないほうがいい場面

AIの得意・不得意をふまえて、どのような場面で活用すべきか、また逆に使わないほうがよいケースについても考えてみましょう。

AIを使うべき場面

アイデア出し・ブレインストーミング
テーマやキーワードを入力するだけで、多くのアイデアや視点を提案してくれるため、発想の幅を広げたいときに役立ちます。

記事の構成作り(アウトライン生成)
導入・本文・結論など、記事の基本的な構成を自動で考えてくれるので、執筆の出発点として便利です。

簡単な文章の作成(例:SNS投稿、商品紹介文)
短くて情報量の少ない文章は、スピーディーに仕上げられます。初稿としての活用にぴったりです。

リライト・校正の補助(文法や読みやすさチェック)
文法のミスや表現のくどさをチェックし、よりスムーズな文章に整えてくれます。最終チェックの前段階として有効です。

翻訳の下書き作成
英語や他言語の文章をざっくり翻訳するのに便利です。最終的な仕上げは人の手で行う前提ですが、作業の時短に貢献します。

AIを使わないほうがいい場面

正確性が求められる専門分野の記事(医療、法律など)
内容に誤りがあると重大な影響を及ぼす分野では、AIの知識が不完全だったり、古い情報を含んでいたりするため、専門家による確認が必須です。

独自の視点や感情を重視する文章(エッセイ、小説など)
AIは平均的で無難な文章を作るのは得意ですが、個性や感情のこもった表現、ユニークな視点を持たせるのは苦手です。人の思いや経験が重要な文章には向きません。

最新ニュースやトレンドを含む内容(データが古い可能性がある)
AIの情報はリアルタイムではないことが多いため、最新の出来事や流行に関する情報は、自分で確認する必要があります。特に日時に敏感な記事では注意が必要です。

AIは日々進歩しています。上記の項目も、急速に改善されつつあります。

ChatGPTの使い方

それではここから、生成AIの具体的な使い方についてご紹介します。すでにさまざまなAIツールが登場していますが、すでに述べたように、この連載では「ライティング」に焦点を当てているため、文章生成で最も広く使われているChatGPTを中心に解説していきます。
まずはChatGPTをしっかりと使いこなせるようになれば、他のAIツールにも応用がきくはずです。

みなさんは、ChatGPTのアカウントはお持ちですか?
なければ、以下の要領で作成してください。

ChatGPTのアカウント作成手順
【ステップ1】 公式サイトにアクセス
まず、以下の公式サイトにアクセスします。
https://chat.openai.com
【ステップ2】 「新規登録」をクリック

※すでにアカウントを持っている方は「ログイン」します。
【ステップ3】メールアドレスの入力

使用したいメールアドレスを入力します。
または、GoogleアカウントApple IDを使って登録することもできます。【ステップ4】パスワードの作成

セキュリティのため、8文字以上の強力なパスワードを設定してください。【ステップ5】メール確認
入力したメールアドレス宛に確認メールが届きます。
メール内のリンクをクリックして、本人確認を完了しましょう。【ステップ6】名前の入力と電話番号の認証
名前を入力(ニックネームでもOK)。
次に、電話番号を入力して、SMSで送られてくる「認証コード(6桁)」を入力します。
※これはセキュリティ強化のために必要です。【ステップ7】登録完了!
これでChatGPTを使う準備が整いました。
そのままログインして、チャットを開始できます。

ちなみに、ログインしなくても使うことはできますが、これから本格的に使うなら、ぜひアカウントを作成してください(できれば有料版のPlusにアップグレードも)。

AIライティングの実演:「商品紹介文を作る」

では、実際にChatGPTを使って「スマートウォッチ」の商品紹介文を作成してみましょう。

(1)簡単なプロンプトを入力
テキストボックスに、以下のプロンプトを入力して、上矢印ボタンをクリックするか、「Enter」キーを押してください。
*改行するつもりで「Enter」キーを押すと送信されてしまうので、改行する場合は、「Shift」+「Enter」キーを押します。

「スマートウォッチの紹介文を書いてください。ターゲットは30代のビジネスパーソンで、忙しい日常をサポートする点を強調してください。」


ちなみに、プロンプトとは、AIに対して「こういうことをしてほしい」と伝えるための指示文質問文のことです。たとえば、「SNS用に短いキャッチコピーを考えて」や「この文章をわかりやすく書き直して」など、AIに与える入力がプロンプトになります。

プロンプトの書き方を工夫することで、AIから返ってくる答えの質も大きく変わります。うまく使えば、ほしい情報やアイデアを的確に引き出すことができます。

(2)AIが生成した文章

忙しいあなたの「右腕」に。
スマートに生きる、スマートに整う。新しい相棒、スマートウォッチ。
毎日、時間に追われるビジネスパーソンにこそ使ってほしい。
このスマートウォッチは、ただの時計ではありません。
スケジュール管理、メッセージ通知、健康状態のモニタリング――
あなたの1日を、手首の上からコントロールできます。会議中でも、スマートな通知で大事な連絡を見逃さない。
移動中でも、音声アシスタントで次の予定を確認。
睡眠の質や心拍数、ストレスレベルも自動でチェックし、
あなたのコンディションまで見守ります。日々の選択と決断が未来をつくる。
その一歩先を照らしてくれるのが、このスマートウォッチです。
効率よく、そしてスマートに。
あなたの時間を、もっと自由に。

(3)人間が手直しして仕上げる
AIが作成した文章は基本的にわかりやすいですが、「ありきたりな表現」や「ターゲットへの訴求力の弱さ」があるため、人間が少し調整するとより魅力的になります。自由に修正してみましょう。AIの出力をベースに「人間らしい表現」「より響く言葉」を加えることで、完成度の高い文章に仕上げることができます。

実際には、仕上げもChatGPTと相談しながら行ったほうがうまくいくことが多いです。そのようなテクニックも今後の連載の中で取り上げていきます。

今回のまとめ

AIライティングツールは、文章作成を劇的に効率化できる非常に便利な存在ですが、決して万能ではありません。得意な分野もあれば苦手な部分もあり、それらの特徴を理解したうえで、人間の判断力や創造力と組み合わせて使う「ハイブリッドな活用法」が求められます。
最初のうちは、思いついたプロンプトをどんどん試しながら、AIの反応やクセを体験してみてください。そのプロセス自体が、ツールとの上手な付き合い方を身につける第一歩になります。
多くの人が「ちょっと使ってみたけれど思ったほどではなかった」と離れてしまう中で、継続して使い慣れていくことこそが、AIを本当の味方にする鍵となるのです。

次回は「AIを使ったアイデア出し術」を具体的に解説していきますので、お楽しみに!

小室誠一:Director of BABEL eTrans Tech Lab
https://www.youtube.com/@eTransTechLab

おすすめの記事