文章を書くとき、「自分らしい文体を確立したい」「特定の文体で書き分けたい」と思ったことはありませんか?
AIを活用すると、さまざまな文体を試しながら、自分に合ったスタイルを見つけることができます。とは言っても、行き当たりばったりの試行錯誤ではうまくいきません。
今回は、AIを使って個性的な文体を作る方法を具体的に考えていきましょう。
1. 自己診断 → StyleGuide化で「自分らしさ」を固定。
2. マルチスタイル・テンプレートでテーマを一気に書き分け。
3. Hybrid指示で「自分+α」の応用も自由自在。
1.「自分らしい文体」を抽出する
1) 文体診断
まず「自分の癖」を可視化するところから始めましょう。
プロンプトの例:
以下は私が書いた3つの文章です。共通する文体的特徴を「語調/語彙/文構造/レトリック/語尾」の5軸で箇条書きにまとめてください。
{自作テキストA}
すでに皆さんは翻訳のためのICTを鍛える必要性を十分に理解されていることと思います。そして、PCの操作を学んだりインターネットの様々なサービスを積極的に取り入れて効率化を図ったりしていることでしょう。
{自作テキストB}
必要な文書はどんどんデジタル化され、インターネットを通じて瞬時に届けられます。しかも、最近では地域化が重要視されており、迅速に多言語に翻訳されて配信されるようになってきています。
{自作テキストC}
ニューラル機械翻訳もどんどん品質が向上しており、すでに機械翻訳を活用している方も多いかと思います。たしかに、統計ベース機械翻訳よりもずっと自然な訳文が出力され、修正もしやすくなりました。ただし、初期のころから指摘されていた弱点はまだ改善されているとはいえません。
以下に、あなたの自作テキストA〜Cに共通する文体的特徴を「語調/語彙/文構造/レトリック/語尾」の5軸で整理して示します。
■語調(Tone)
- 丁寧だが断定を避けた穏やかな語り口:「〜ことと思います」「〜でしょう」など、読者の理解や行動を前提としつつも、やや控えめな表現が多用されています。
- 説明的で信頼感を与える:専門的な話題を扱いながらも、読者との距離を保ちながら語ることで、安心感を醸成しています。
■語彙(Vocabulary)
- 抽象度の高い語彙が中心:「ICT」「地域化」「品質が向上」「重要視されている」など、専門用語や抽象的な概念を多用。
- ポジティブで前向きな語の選択:「積極的に取り入れて」「どんどんデジタル化」「自然な訳文」など、進展や改善を示す表現が多いです。
■文構造(Sentence Structure)
- 複文中心・接続詞による論理展開:複数の節が「そして」「しかも」「たしかに」「ただし」などの接続詞でつながれており、論理的な流れを重視しています。
- 一文がやや長めで、情報密度が高い:複数の概念や要素を1文に盛り込む構造が目立ちます。
■レトリック(Rhetoric)
- 読者の行動や状況を前提にした推量表現:「〜されていることと思います」「〜の方も多いかと思います」など、読者の認識や経験を共有する形で導入。
- 対比の構造を取り入れる:「たしかに〜、ただし〜」といった譲歩や限定を使ってバランスのとれた見解を提示。
■語尾(Sentence Endings)
- 文末に丁寧語+推量を使用:「〜ことでしょう」「〜かと思います」「〜とはいえません」など、柔らかく断定を避けた形で終わる傾向があります。
- 肯定的評価と留保のセット:「〜しやすくなりました。ただし〜」のように、改善点を挙げつつも課題を補足する語尾運びが多いです。:複数の節が「そして」「しかも」「たしかに」「ただし」などの接続詞でつながれており、論理的な流れを重視しています。
2)スタイルガイドの作成
文章の特徴が抽出できたら、それを基にしてスタイルガイドを作成しましょう。
プロンプトの例:
上記の診断結果を基に、私専用のStyleGuide を作成してください。
【ユーザー専用StyleGuide】
1. 語調(Tone)敬語レベル:丁寧語(「です・ます」調)を基本とし、読み手との距離を適度に保つ。
- 論調の基本方針:穏やかかつ説明的。読者に押しつけず、理解や共感を促す姿勢。
- 読者への配慮:「〜かと思います」「〜ことでしょう」など、推量・共感型の語り口で読者の経験や認識を前提とする。
- 論理性:主観的な語りよりも客観的な視点を優先しつつ、断定は避ける。
2. 語彙(Vocabulary)
- 分野の語彙傾向:ICT、機械翻訳、AI、デジタル化といったテクノロジー関連。
- 抽象性:やや抽象度の高い用語を使い、体系的な理解を前提とする。
- ポジティブ性:「向上」「自然な」「効率化」など、前進や改善を示す語を多用。
- 語彙の注意点:専門語は前後文での補足・具体例を添えると読者への配慮となる。
3. 文構造(Sentence Structure)
- 主構造:複文を多用。前提・背景から説明を始め、因果・対比で展開する構成。
- 接続詞の活用:「そして」「しかも」「たしかに」「ただし」など、文と文の論理を滑らかにつなぐ。
- 一文の長さ:やや長めだが、節のバランスを保ち読みやすさに配慮。
- 説明の流れ:背景 → 現状 → 評価 → 注意点 の順で展開することが多い。
4. レトリック(Rhetoric)
- 推量表現:「〜と思います」「〜かと考えられます」など、断定を避けて柔らかい表現を重視。
- 対比構造:「たしかに〜、ただし〜」という形式で、主張と留保を組み合わせてバランスを取る。
- 共感と導入:読者がすでに知っている・経験していることを前提とした導入。
- 補足性の強調:新しい事実を伝える際には、背景情報や条件を明示することで説得力を補完。
5. 語尾(Sentence Endings)
- 語尾の基本形:「〜でしょう」「〜かと思います」「〜とはいえません」など、断定を避けた丁寧表現。
- 変化の工夫:文末の単調化を避けるため、「〜しています」「〜されてきています」など継続・受動形も織り交ぜる。
- ニュアンス調整:「〜とも言えるでしょう」など、やわらかい補足を意識した語尾で文意を調整。
3) テンプレートとして保存
文章生成時にスタイルガイドを常に適用できるように、テンプレートとして保存しておきましょう。
実際の使用方法
プロンプトの例:
あなたは私本人です。下記 StyleGuide を必ず守り、{task} を {length} {length} 字で執筆してください。
- AIが翻訳者に与える影響は、決して一面的ではなく、さまざまな側面から捉える必要があるかと思います。たしかに、ニューラル機械翻訳(NMT)の精度向上によって、多くの翻訳業務が高速化・効率化されてきています。特に定型的な文書や大量の情報を扱う分野では、AIによる翻訳支援が業務の標準となりつつあります。
- ただし、これにより翻訳者の役割が不要になる、という単純な話ではないでしょう。むしろ、AIの出力を適切に評価し、文脈や目的に応じて調整する「ポストエディット(後編集)」の重要性が高まってきているように思われます。つまり、翻訳者は「訳す人」から「判断し、最適化する人」へと、その職能をシフトさせつつあるのです。
- 一方で、こうした変化には戸惑いを感じる方も多いかもしれません。とくに、文学や文化要素の強い翻訳においては、AIの限界も明白であり、翻訳者の感性や表現力が引き続き重要な役割を果たすことでしょう。
- 今後は、AIと翻訳者が協働する新たな翻訳ワークフローが主流となっていくかと考えられます。AIの特性を理解し、翻訳者自身の専門性を再定義することで、より自然で質の高い翻訳が実現されていくのではないでしょうか。
4) 自己校正
実際に生成された結果を見ても、本当にスタイルガイドに従っているのか、よく分からない場合もあります。そんなときは、チェックしてもらいましょう。
プロンプトの例:
次の文章が StyleGuide を満たすか 1〜5点で採点し、4点未満なら修正案を提示してください。
{Draft}:再生された文章をコピー
{StyleGuide}:スタイルガイドをコピー
【総合評価】5点中 4.5点
全体として非常にStyleGuideに忠実に書かれており、文体・語調・語彙・論理展開・語尾表現のいずれも高水準です。ただし、一部の語尾にやや単調さがあり、文末の多様性やリズムの工夫という観点でごくわずかに改善の余地があります。それを除けば、ほぼ満点に近い内容です。
【評価内訳】
1. 語調(Tone):5点
- 丁寧語が適切に使われ、「〜かと思います」「〜ことでしょう」など読者への配慮もあり、穏やかな説明調が保たれています。
2. 語彙(Vocabulary):5点
- 「ニューラル機械翻訳(NMT)」「ポストエディット」などの専門語も適切に導入され、前後の文脈で十分に補足されています。
3. 文構造(Sentence Structure):5点
- 接続詞や因果関係を活用した構成が論理的であり、複文も読みやすく整理されています。
4. レトリック(Rhetoric):5点
- 「たしかに〜、ただし〜」の対比や、「〜ように思われます」「〜ではないでしょうか」といった推量表現が効果的に使用されています。
4. 語尾(Sentence Endings):4点
- 多くが「〜かと思います」「〜ことでしょう」など柔らかい語尾で整っていますが、一部文末が「〜つつあります」「〜ことでしょう」と連続し、ややパターンが固定的になりつつあります。読了感をより豊かにするためには、文末にもう少し変化があるとベターです。
【改善案(語尾調整のみ)】
以下の文を修正例として提示します:
原文:
今後は、AIと翻訳者が協働する新たな翻訳ワークフローが主流となっていくかと考えられます。
修正案:
今後は、AIと翻訳者が協働する新たな翻訳ワークフローが、自然と主流になっていくことでしょう。
原文:
より自然で質の高い翻訳が実現されていくのではないでしょうか。
修正案:
より自然で質の高い翻訳が実現していく可能性が高まるように思われます。
【まとめ】
この文章は、StyleGuideをほぼ完全に満たしています。あえて点数をつけるなら4.5点。語尾表現にあと一歩の多様性を加えれば、さらに完成度が高まります。プロフェッショナルな文章としてすでに十分に通用するレベルです。
2. 「特定の文体で書き分ける」万能マルチスタイル・プロンプト
書きたい文体を的確に指定し、AIにそのスタイルを模倣させるためのプロンプト設計法です。これは、以下のような目的に非常に有効です。
- 書き分け力を身につけたいライター
- 同一テーマを異なる読者層向けに書く必要がある人
- 作家や著名人の文体を再現して学びたい人
- プロの編集者のように語調やトーンをコントロールしたい人
【万能マルチスタイル・プロンプト テンプレート】
あなたは優秀なライターです。以下の条件を満たす文体で、{トピック}について文章を書いてください。
【語調】:{語調の種類(例:「敬語」「フレンドリー」「論文調」など)}
【語彙】:{使用したい語彙の傾向やジャンル(例:「専門用語を避けて平易に」「古典的な日本語」「カタカナ語多め」など)}
【文構造】:{文の長さ・複雑さ(例:「短く簡潔」「複雑な文を含む」「修辞を多用」など)}
【レトリック】:{使用する表現技法(例:「比喩を用いる」「反語を入れる」「エモーショナルに訴える」など)}
【語尾・終止法】:{語尾の特徴(例:「〜です・ます」「〜だ・である」「口語的に」など)}
【ターゲット読者】:{想定する読者層(例:「中学生」「ビジネス層」「文芸誌の読者」など)}
文字数目安:{例:400文字/800文字/1200文字など}
使用例:ビジネス誌風(丁寧語・論調やや硬め)
あなたはビジネス誌のコラムニストです。「AI翻訳の未来」について、以下の条件で600文字以内の文章を書いてください。
【語調】:丁寧語(です・ます)
【語彙】:ビジネス・テクノロジー分野の語彙を使用し、曖昧な言葉は避ける
【文構造】:中程度に複雑。対比構造を取り入れる
【レトリック】:比喩少なめ。論理を重視
【語尾】:〜です/〜ます中心
【ターゲット読者】:ビジネスパーソン、ICT関係者
AI翻訳の未来は、単なる言語変換の枠を超え、知的業務支援の中核を担う方向に進化しています。従来の機械翻訳は、速度とコスト削減を重視する場面で有効でしたが、文脈や意図を正確に汲み取るには限界がありました。一方、近年の生成系AIは、用語統一やトーンの調整、さらには文脈適合性の担保といった高度な処理も可能にしつつあります。
とはいえ、すべてをAIに委ねるのは早計です。機密性の高い業務文書や契約書、また文化的含意を含む表現においては、人間の判断力と編集能力が不可欠です。今後は「翻訳するAI」と「判断する人間」との協働が前提となり、翻訳ワークフロー自体の再設計が求められることでしょう。
つまり、AI翻訳は「置き換え」ではなく「拡張」のツールです。ビジネスにおいて競争力を高めるためには、この技術を適切に評価し、活用できる人材の育成が鍵となります。
使用例:中高生向けのわかりやすい解説
あなたは教育系YouTuberです。「AI翻訳の未来」について、以下の条件で400文字以内の文章を書いてください。
【語調】:ややカジュアル
【語彙】:難しい言葉は避け、中学生でもわかるように
【文構造】:短文中心。1文1メッセージ
【レトリック】:比喩やたとえ話を入れる
【語尾】:〜だよ/〜なんだ
【ターゲット読者】:中学生〜高校生
使用例:文芸誌風のエッセイ
あなたは文芸誌の随筆家です。「AI翻訳の未来」について、以下の条件で800文字以内の文章を書いてください
【語調】:文語体や文芸調の語り口
【語彙】:文語的な表現、漢語を適宜含む
【文構造】:長文も交え、リズムに変化をつける
【レトリック】:比喩・擬人法を積極的に用いる
【語尾】:〜である/〜たり/〜のだ
【ターゲット読者】:文芸誌の読者、知的好奇心のある大人
かつて「翻訳」とは、人が言葉の海を漕ぎわたり、異国の思想と感情をわが国の器に移し替える、いわば精妙なる錬金術であった。異文化の霧を払い、意味という光をすくい上げるこの営みは、長らく人の手と知性、そして直観に委ねられてきたのである。
ところが、近年は風向きが変わった。AI、すなわち人工知能なるものが、静かに、しかし確実に翻訳の座に忍び寄ってきている。まるで図書館の片隅に眠る無数の書物たちが、目覚めの時を迎えたかのように、言葉を覚え、構文を理解し、文脈を読み始めたのだ。速度と量においては、もはや人の及ぶところではない。
しかし、問うべきはただ一つ。「翻訳」とは果たして、意味の置き換えに過ぎぬものか? あるいは、魂を移す行為であろうか。
AIの訳文は、時に驚くべき正確さを見せる。だが、その文の奥底に、言葉が背負うはずの体温や湿り気、沈黙の余白はあるのか。例えば、「春は曙」と書けば、それはただの季節の情報ではない。そこには千年の美意識と、日本人の心の襞が折りたたまれている。AIは、その襞の手触りまで感じとることができるのか。
無論、AIは我々の「右筆」として、大いなる助力となるであろう。だが、「言葉の越境」を真に成し遂げるのは、やはり人の手であり、耳であり、胸であるように思われてならぬ。これからの翻訳者とは、AIの奏でる旋律に和声を添える音楽家のごとく、新たな役割を担うことになろう。
AI翻訳の未来。それは、人と機械とがともに語り、ともに黙する、新たなる詩篇のはじまりなのだ。
よく使われる文体一覧
文体名 | 特徴例 |
敬語(です・ます調) | 説明的、信頼感 |
常体(だ・である調) | 硬め、論理的、客観的 |
口語体 | やさしく親しみやすい |
文語体 | 古典的、荘重、高尚 |
エモーショナル調 | 感情豊か、共感重視 |
ユーモア調 | 遊び心、皮肉や比喩 |
ミニマル調 | 簡潔、短文、余白を活かすスタイル |
ジャーナリズム調 | 事実重視、客観的、簡潔明瞭 |
SNS調 | 絵文字・句読点少なめ、口語・略語多め |
*プロンプトの最初で役割を指定することが重要です(ペルソナ指定)。
- あなたはビジネス誌のコラムニストです。
- あなたは教育系YouTuberです。
- あなたは文芸誌の随筆家です。
3.「自分+指定スタイル」を両立させる
自分のスタイルガイドができたら、今度は、指定スタイルを混ぜ合わせたスタイルで書いてみましょう。
指定スタイルの要件を明確にする
「指定スタイル」が求める条件を分析します。たとえば「ビジネス誌風」なら以下のようになります。
語彙:専門語、抽象語、カタカナ語が多い
文構造:比較や因果を含む複雑な文
レトリック:比喩少なめ、データや根拠重視
語尾:〜です/〜ます
これには以下のプロンプトが有効です。
▼Hybrid Style
基本は私のStyleGuide に従いながら、「語調」と「語彙」だけ {target-style} の特徴を30%混ぜてください。
文体の切り替えが不自然にならないように全体のリズムは保ってください。
本文は400字以内で書いてください。
{StyleGuide}
(あなたのStyleGuide全文をここに記載)
{target-style}
(例えば:「ビジネス誌風:丁寧語、専門語を多用、論理的、語尾は〜です・〜ます」など)
ChatGPTの視点では…
- 「StyleGuide」はベースレイヤーとして機能
- 「30%混ぜる」はスパイスを振るような感覚
- 文体の融合がうまくいくかは、「どの軸を変えるか(語調/語彙)」の指定が鍵
- 「全体の調和を保つ」指示があると、不自然な文体断絶が起きにくい
4. 自分に合った文体を見つける
最後に、自分に合った文体を見つける方法を紹介します。
「自分に合った文体を見つける方法」は、自己理解と試行錯誤をベースにした5つのステップで進めるのが効果的です。
ステップ1:好きな文章を収集する(インプット)
まずは「心に響いた文章」や「読みやすいと感じた文章」を5〜10本集めましょう。ジャンルは問いません(エッセイ、小説、ブログ、ニュース解説など)。
ステップ2:自分の文章をいくつか書いてみる(アウトプット)
ブログ、日記、SNS投稿、メールでも構いません。自分が自然に書いた文章を3〜5本ピックアップしてください。
ステップ3:自分の文体を分析する(5軸フレーム)
これについては、すでに説明しました。「語調/語彙/文構造/レトリック/語尾」の5軸ですね。この分析により自分の文体パターンが視覚化され、意識的に扱えるようになります。
ステップ4:試行と調整(プロンプトでも可)
今度は異なる文体を「試す」フェーズです。
方法A:自分の文章を他のスタイルに書き換える
たとえば、自分のエッセイを「新聞調」「小説風」「学術調」に書き換えてみる
方法B:ChatGPTを使うプロンプト
自分ではうまく書き換えられない場合は、以下のようなプロンプトを使って、ChatGPTに書き換えてもらいましょう。
次の文章を「村上春樹風」「ビジネス誌風」「カジュアルな教育系YouTuber風」などに書き換えてください。
→ 違和感が少ないスタイルが「自分に近い」または「向いている」可能性が高いです。
ステップ5:ベストスタイルの確定+StyleGuide化
最終的に、「自分にとって書きやすく、伝わりやすく、読み手にも受け入れられる」文体を1つ選びましょう。
その文体の特徴を、次のように「自分専用StyleGuide」としてまとめます:
自分専用StyleGuide(例)
- 語調:基本は丁寧語(ときどき「〜だ」で締めてリズムを変える)
- 語彙:中学〜高校レベルの語彙中心、漢語は控えめに
- 文構造:1〜2文節の短文中心、接続詞でテンポを整える
- レトリック:比喩は自然なものだけ使う。くどくならないよう注意
- 語尾:「〜です/〜ます」を軸に、「〜なんだよ」で親しみを加えることもある
【注意!】文体の「訓練(トレーニング)」は不可
ChatGPTにモデルとして再学習(再トレーニング)させることは現状の一般利用ではできません。しかし、今回説明した、プロンプト+指示できわめて高精度に再現可能です。
なお、ChatGPTは一度チャットを終了すると、StyleGuideなどの設定は記憶されません。次回使う際は、毎回プロンプトとして提示する必要があります。
今回のまとめ
今回の「AIで個性的な文体を作る方法」はいかがでしたか?
サンプルになる文章をやみくもに大量にアップロードすれば、自動的に学習してくれると誤解している人が多いようですが、一般ユーザーにはできません。
ただ、今回説明した以下の手順を踏めば、十分に個性的な文体を作ることができます。
- 「自分らしい文体」を抽出する
- 「特定の文体で書き分ける」万能マルチスタイル・プロンプト
- 「自分+指定スタイル」を両立させる
- 自分に合った文体を見つける
冒頭でも触れたように、行き当たりばったりの試行錯誤ではなかなかうまくいきません。しかし、正しい手順を踏んで試せば、きっと「自分らしい文体」が見えてくるはずです。
ぜひ、みなさんも実践してみてください。
次回は、「AIによる要約&翻訳の実践テクニック」を解説します!
小室誠一:Director of BABEL eTrans Tech Lab
https://www.youtube.com/@eTransTechLab