【ダイジェスト】中国で2期目に入った習政権の新しい経済チームの顔ぶれが決まった。習国家主席の信任が厚いとさる劉鶴氏が副首相に就任し、人民銀行の新総裁に易綱副総裁が昇格した。メディアは周小川前総裁下の人民銀行が伝統的な金利政策手段を改革し、新しい融資金利の創設を通じて政治権力からの独立性をある程度獲得したと伝える。同時に米欧当局が金融政策の正常化を進めるなかで、新総裁は経済成長と拡大する債務との均衡という大きな挑戦に直面していると指摘する。
台湾旅行法が米国で成立した。これにより米大統領自身や長官級の米政府高官の訪台と台湾の総統を含む閣僚級高官の訪米が可能となった。メディアは、政府高官の台湾訪問を制限してきた米政府が、これを撤回するのは台湾支援姿勢を示す最新の兆候だと述べ、米政界における台湾の存在を高めると評価する。ただし対中関係をいっそう不安定にする恐れがあると指摘する。
韓国政府が米国の鉄鋼関税は北朝鮮核問題での交渉に悪影響を及ぼすと警告したとメディアが報じる。韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は、北朝鮮の核問題に共同対処しようとしている米韓両国にとって時期も内容も最悪だと批判した。北朝鮮との大事な交渉を控えて、米国と韓国その他の同盟国との間に無用な不和や対立を生み出すことは差し控えるべきだというのが真意とみられる。
北朝鮮関係では5月に予定されている米朝首脳会談に関するメディアの論調を観察した。首脳会談自体はおおむね前向きに受け止める一方で、会談の前途に不安を示し、いくつかの助言を試みている。とくにイランとの核合意の見直し交渉での安易な妥協は北朝鮮との交渉に悪影響を及ぼすとの意見が注目された。
東南アジア関係では、米連邦準備制度理事会(FRB)が3月21日に政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げたが、タイ、フィリピン、台湾、インドネシアなどのアジア新興国の中銀は追随する様子を見せていないと有力メディアが伝える。背景には、多くの新興国でインフレが制御可能な状態にあること、今は輸出がけん引して経済が健全に成長しているが、世界経済の成長が今後減速すれば先行きが危うくなり得ること、そして新興国通貨に対してドルの軟調が続き資金流出が起きていないことなどが挙げられている。
トランプ大統領が発表した鉄鋼、アルミニウム輸入関税のためにインドと米国の関係に緊張が走っている。しかもトランプ政権は鉄鋼、アルミに止まらず、この際、従来から問題視していたインド政府の輸出補助金問題もWTOに持ち込み、決着をつけようとしている。ただし、インド政府は極力話し合いで解決する姿勢である。
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