2018年4月20日号

中国の習近平国家主席はボーアオ・アジアフォーラムで演説し、国内市場の外資への開放を拡大し、証券や保険、自動車製造分野への外資の過半出資を認め、また自動車などの関税を引き下げる方針を示した。メディアは習提案を一応は歓迎するものの、過去の約束の繰り返しで新味に乏しく、貿易摩擦の解消には不十分だと論評する。特に中国市場アクセスの条件として技術移転を求める中国の方針を修正する姿勢が見られないとして反発し、さらには国有企業改革の後退が非関税障壁にすらなっていると批判する。ただし人民銀行の易綱総裁は、金融市場の開放策を今年6月末に実施する方針を表明している。

台湾関係では、有力メディアが米国で成立した台湾旅行法について、米中関係に安保上の問題を急浮上させたと警告する。同法案に対して中国は猛反発し、当面、米国在台湾協会(米大使館に相当)の新館披露に米政府高官の出席が噂されていることから、その時期であるこの夏に試練が訪れると観測されている。

韓国と米政府は米韓自由貿易協定の見直しに合意した。主たる修正点は、韓国製自動車に対する輸入関税や輸入枠、米国製自動車・トラックの韓国向け輸出台数枠の設定など自動車に関する貿易条件の変更と、韓国の対米鉄鋼輸出に対する割当枠の設定だった。米農産物やサービス産業分野での新たな進展は見られなかった。メディアは新合意全般に貿易の政治化と管理化が強まったと論評する。

北朝鮮関係では米朝首脳会談を控えて、非核化という言葉を米朝双方がそれぞれに好都合な意味で使っているとメディアが指摘。その意味する内容があまりにかけ離れているため、交渉の開始自体も危ういと懸念を表明する。同時に交渉をまとめるには金委員長を追い詰めない方がよいと助言。金委員長は目下やる気満々のように思われるとの専門家らの見方を伝える。

東南アジアからは、ベトナム経済が人口構成のメリット、外資の流入などの後押しを受けて工業化が進展するなか、ASEAN諸国の中でフィリピンに次ぐ高成長を達成。これにより家計所得も上昇し、それが消費ブームにつながるという好循環を達成している。ただし経済成長の持続には改革、特に非効率の国有企業改革が不可欠であり、また中国に過度に依存する経済体質の修正、国内の反中感情や高齢化問題などへの対処の必要性が指摘されている。

インドでは、アダールと呼ばれる生体認証システムによって貧困層や社会的弱者が被害を受けているとメディアが伝える。政府は、この制度によって身元詐称や社会保障の乱用などの取り締まりが可能になるとし、また同制度は安全であり、社会保障の恩恵を受けられなくなることなどないと主張しているが、実際には貧困層や社会的弱者が被害を受けているとメディアは指摘する。