2018年3月16日号

【ダイジェスト】中国の習近平国家主席の任期制限を撤廃する憲法改正案が全国人民代表大会(国会に相当)で可決された。主要メディアは、習主席が毛沢東に似た個人崇拝を進めているとして一致して懸念と警戒感を表明。中国や世界の運命が1人の人間に託され、反対意見が出にくくなり、政策ミスのリスクも深まったと批判する。とりわけ、習主席が独自のルールに基づく西側民主主義の上をいく政治モデルに従うと宣言していることに対し、西側は早急に首尾一貫した対中戦略を打ち出すべきだと主張する。

台湾政府は、中国の習主席が任期を無制限とする憲法改正を行い、権力基盤を着実に固めているため、台湾に対する圧力を一段と強めてくるのではないかとの懸念を深めている。ただし台湾政府も軍事支出を増やし、自衛力を強化するなどの施策を打ち出し、また米政府もここにきてようやく台湾への支援強化に乗り出している。

韓国政府は今年1月から雇用労働者の最低賃金を16.4%引き上げ、1時間7,530ウォン(6.92ドル)とした。国民の4分の1に当たる460万人が恩恵を受けるとみられ、文政権は2020年までに1万ウォンへと引き上げる計画である。最低賃金引き上げは文政権の再配分経済政策の中核をなしているが、中小零細企業からは賃金上昇によって従業員のレイオフに迫られるとの悲鳴が上がり、今後無人化やオートメーションを促すとみられている。

北朝鮮の金正恩委員長が新年の辞で南北関係の改善に意欲を示して以来、南北対話の実現を経て、米朝首脳会談が予定されるまでに事態は進展した。北朝鮮の突然の路線転換には、経済制裁の効果が顕在化したことにあるとして北朝鮮の現状を伝えたメディアの報道を紹介した。

東南アジア関係では、インドネシアがアジアで初めてグリーンボンドを発行した。債券は、スクークと呼ばれるイスラム債としてシャリア(イスラム法)の教義に従うよう設計され、調達資金は環境関連プロジェクトに使われる。温室効果ガスをまき散らす石炭を輸出するインドネシアがグリーンボンドを発行するのは矛盾するという問題点が指摘されている。

インド経済が再び7%台の成長率を回復した。経済は高額紙幣廃止や物品サービス税導入に伴う混乱などで昨年前半に低迷し、このため政府は農産品の最低物価引き上げや貧困家族向けの無償健康保険を含む予算を発表。経済は昨年第3四半期に回復に転じ、第4四半期にその勢いが続いたことが確認された。

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