中国関係では、コロナ危機から急速に回復する中国は、またもや成長の時代を再スタートし、勝利に向かっていると主張する論文を紹介した。米欧などの西側諸国と中国の体制の違いが中国経済の再生力の源泉となっており、国家の干渉は力を生み出していると主張し、国有の企業体は非効率だと指摘する西側論者の見方に真っ向から反論している。
台湾中央銀行が史上最低水準にある政策金利を据え置いた。背景に政府がコロナ危機を巧みに乗り切り、かつ大型の経済対策を打ち出して経済成長率を何とかプラスに維持するとみられることがある。しかし失業率は高水準で個人消費の伸びは期待できず、加えて通貨高で輸出競争力への影響が懸念されている。この状況では通常、中央銀行は政策金利の引き下げを考えるはずであり、現に民間エコノミストは1%への利下げを予想していた。今後の動きを注視する必要がある。
韓国の文政権がコロナ危機後に非接触型経済を構築しようとしている。この計画には遠隔勤務の徹底や村落をつなぐ高速ネット、学生へのパソコン普及などが織り込まれている。特に韓国が強みを持つ分野に参入してくる中国を念頭に置いて、競争力強化の機会として活用しようとしている。また自国内生産回帰のためのインセンティブの導入や人工知能分野でスペシャリスト軍団の育成なども計画しており、民間部門もリモートワーク関連業務などで流れに加わろうとしている。コロナ対策で世界の先頭を走った韓国は、ポスト・コロナの経済でも「非接触」をキーワードとして世界の最先端に立とうとしている。
北朝鮮関係では、韓国に脱出した兵士が暴露する朝鮮人民軍内部における腐敗の実情をメディアが伝える。腐敗の背景として、資金を兵士の待遇改善ではなく、核兵器とミサイルの開発に注ぎ込むという金体制による戦略的決定があると指摘。その実情が増え続ける脱北者の体験談からも明らかになってきたと報じる。報道内容から、北朝鮮の徹底した思想教育と資金はすべて核とミサイルの開発に注ぎ込む実態が改めて確認できる。
東南アジア関係では、インドネシア経済がコロナウイルスによって打撃を受け、経済成長の大幅鈍化が見込まれている。政府は今年の成長率見通しを0~1%へ引き下げ、最悪のシナリオではさらなる縮小もあり得ると警告している。このため政府は早期の経済再開に動き、中央銀行もインフレ圧力が後退し、通貨ルピアも安定していることから金融緩和政策を継続的に推進しようとしている。
インド政府は、ヒマラヤでの中印軍事衝突を受けてバイトダンス、アリババ、テンセントなど中国を代表するハイテク企業のアプリを禁止する報復措置に出た。中国企業は国内での成長鈍化、検閲強化などの問題を抱えて世界最後の巨大フロンティアとされるインド市場に進出。フェイスブックなどの先行する米ハイテク大手との競争を排しつつ、成長を遂げていた。インドは「ボイコット・チャイナ」と呼ばれる不買運動を展開し、ファーウェイや中興通訊(ZTE)などの中国企業の締め付けも強化するとみられ、中印関係は経済、安保、外交関係など多方面から注視する必要がある。