2022年7月22日号

中国関係では、米中首脳が今年の経済成長率をめぐって丁々発止の発言をしている。メディアは、それは彼らが覇権争いは成長力を競うレースであると考えているためのようだとコメントする。ただし、両首脳にはそれぞれ政治的思惑があるとし、米経済はコロナショックから力強く回復したが高インフレに見舞われ、急ピッチな利上げによる景気後退懸念が生じており、習主席には景気に不透明感が増すなか3期目の続投に向け、支持が必要という事情があると指摘する。

台湾では、ウクライナ戦争が人々を刺激して中国からの侵攻に備えて軍事戦略の見直しに駆り立てている。メディアは具体例としてヤマアラシ演習という中国の侵攻にそなえる軍事演習を挙げ、これには米国が救援に駆けつけるまでの時間稼ぎの意議もあると述べる。さらに蔡英文総統は徴兵制の段階的廃止とプロフェッショナルな志願兵の採用を目指し、おざなりと批判されている戦闘訓練の改善も図ろうとしており、ウクライナ危機を利用して自らの政策を推し進めようとしている。ただし、軍事費の増加は不人気な政策であり、蔡英文政権が思い通りに防衛政策を進められるかどうかに疑問があると論評する。

韓国が大型衛星の打ち上げに成功し、自力による衛生発射能力保有国としては10番目、また重さ1トン以上の実用級衛星の発射能力ではロシア、米国、欧州、中国、日本、インドに続き7番目の国となった。今後、米国のスパイ衛星に頼ることなく北朝鮮のミサイルや核施設を監視、追跡できるようになった。北朝鮮はこうした韓国の防衛力強化計画を批判し、北朝鮮の強大な力と絶対的な権力の前ではそうした行動は無意味だと主張するなど、両国は宇宙開発をめぐって火花を散らしてきた。韓国はさらに今後数年間にスパイ衛星を含む様々な軍事衛星の打ち上げを計画し、宇宙開発競争に積極的に参加する構えであり注視したい。

北朝鮮は厳しい経済制裁が科されるなかで必要な資金を得るために不法な活動に手を染めてきたが、その最も安全で効果的な手段が暗号資産の強奪だとメディアが伝える。金正恩政権はハッカーを核兵器やミサイルと並ぶ「万能の剣」として積極的に人材の育成を図っており、昨年は暗号資産で4億ドル近く、今年は10億ドル弱を持ち逃げしたとされる。北朝鮮にこのような制裁逃れを許すのは日本の安全保障上も由々しき事態と言える。米韓と連携して北朝鮮政策の一つの柱として対抗策を推進する必要がある。

東南アジア関係では、豊作が続いているコメがおおむね昨年より値下がりし、これを主食とするアジア諸国が恩恵を受けている。対照的に小麦やトウモロコシや大豆、鶏肉などはウクライナ戦争の影響で値上がりし、パンを主食とする各国は打撃を受けており、FAO幹部はコメが頼みの綱で世界の食料安全保障を支えているとのコメントをメディアが報じる。その一方で専門家は、コメは大規模なかんがい設備が必要で品種によっては小麦より割高となる可能性があり、コメだけでは世界の飢饉は救えないとコメントする。

現在インドのIT産業は経済を牽引し、世界中の企業にデジタルサービスを提供している。しかも気候変動リーダーリストなどに掲載されたインド企業の大部分は、タタ・コンサルタンシー・サービシズ、インフォシス、テック・マヒンドラなどの大手ハイテク企業が占めている。メディアは、IT企業にとって当面の課題は自社が消費するエネルギーを通じて間接的に発生するスコープ2の排出量の削減だが、もっと厄介な問題として通勤や出張など、企業が直接コントロールできない企業活動によって発生するスコープ3の排出量削減だと指摘する。コロナ大流行以来、オフィスにいるスタッフ数削減でスコープ1と2の排出量が減少した一方で、社員は自宅でエアコン、照明、コンピューターを長時間使用するなど新たな課題となっており、しかも排出量に関する進捗状況の開示が人材獲得に不可欠となっていると指摘する。