中国で冬季五輪が開幕した。メディアはまず、今回の大会を2008年の夏季北京五輪と対比して論じる。これは夏と冬の五輪を同じ都市で開催するのは北京が初めてであり、前回の夏季五輪と時期的に近接していること、この間に世界と中国の状況が激変したことなどのためとみられる。メディアは、今回の冬季五輪は政治と新型コロナウイルスによって分断された世界と内向きになった中国を象徴する大会となる一方、将来の世界秩序を主導するという中国の野望に向けた中継地点となる可能性があると予言する。同時に五輪の演出では中国経済の現状を覆い隠せないと述べ、五輪は国際オリンピック委員会(IOC)が望んでいたものと違ってきており、IOCでさえこの大会に本当に価値があったのかと考える日が来るだろうと五輪の将来に対して問題を提起する。
台湾関係では、中国の強権的姿勢は台湾住民の台湾人意識を高め、台湾の分離を強めている結果に終わっているとメディアが報じる。住民の多くは中国に飲み込まれるのも正式な独立も望んでいないと述べ、中台は危険な袋小路に陥っていると警告する。台湾アイデンティティーが強まれば、中国政府は台湾への主権を尊重するよう圧力をかけるために軍事的・外交的キャンペーンを強化せざるを得なくなると指摘する。台湾独立の正式宣言は必要ない状況にあるとはいえ、当面中国からの軍事的強迫行為はなくなりそうもない。
韓国は北朝鮮に対する防衛維持の必要から、軍隊や軍備に世界最大規模の支出を行ってきた。そうした武器開発のための多額の支出を無駄にしないため兵器の販売先を海外に求め、武器輸出額が2005年以来6倍以上に増加し、昨年に初めて輸入を上回った。防衛取引は2国間安全保障協定や技術協力とセットになっており、有効な外交政策の手段となっているとも報じられている。ただし、輸出先がクーデター後のミャンマーのような国の場合、国民から批判を受けるリスク、また開発費用の一部を輸出先に求める場合、その債務不履行のリスクなどが指摘されている。
北朝鮮がパンデミックの苦難の中でミサイル発射実験を繰り返している。その背景としてメディアは、金委員長が農業生産高の向上と軍備強化を宣言していることを挙げ、軍備強化のためのミサイル開発の推進には実験が不可欠だと指摘する。1月に発射実験が集中した要因として、北京五輪との日程調整、国民の耐乏生活への忍耐を延ばすための軍事力誇示、国連決議違反のミサイル実験受け入れの他国に対する説得などを挙げ、説得工作については成功しつつあるようだと評する。
東南アジア関係では、米中間の対立が深まるなか、村田製作所や沖電気などの日本企業が中国への依存度を下げるために生産拠点を中国からタイやベトナムなどの東南アジアなどに移す動きが進んでいるとメディアが報じる。背景としては、地政学的理由の他に長期的な人口動態のトレンドやキャッシュレス化の進展など中国市場の変化も指摘されている。米中対立や中国市場の変化などを背景とする日本企業の最近の動きとして注目される。
インドで来期の新予算が発表された。インフラ支出に重点を置いているが、若者向けの雇用創出や家計収入と個人消費の減少、経済格差に対する不満の高まりなどパンデミックによって顕著になった課題に注力すべきだとの批判を受けている。政府はインフラ建設に重点を置く経済拡大を強調しているが、農村部雇用計画への配慮は不十分で都市部日雇い労働者向けの雇用計画も提示していないとし、社会福祉関係の支出も抑えようとしているとメディアは批判する。特に喫緊の課題は雇用問題で、経済監視センターは2020年には国内の生産年齢人口の38%しか雇用されておらず、21年6月には34.6%に落ち込んだと推定していると伝える。