中国が3人子政策への転換を発表した。メディアは、中国がその圧倒的な台頭を支えてきた経済力が少子化によって勢いを失いかねないために、急遽指導部は人口政策を転換させようとしているが未だに人口制限的姿勢を捨てきれず、またこれまでの管理政策が国民の意識に深く浸透していること、すなわち政策転換が遅すぎたために成功は覚束ないと酷評する。
台湾の馬祖群島に中国が大型浚渫船を派遣し、住民を威圧すると共に砂を掘削して島の海洋環境を劣化させている。さらに海底ケーブルを切断して通信手段の無力化も図っており、台湾当局は、これは中国による一種のサイバー攻撃だと非難している。こうした中国の民間船舶を使った戦術をメディアはグレーゾーン戦術と呼んでいるが、これは馬祖群島のみならず、台湾自体への威圧的行動と解すべきだろう。同様なことは尖閣諸島についても起きかねない。その意味で事態を注視していく必要がある。
韓国の文大統領が対面でバイデン米大統領と会談した。メディアは首脳会談後の共同声明について、安全保障問題に関する合意と妥協の両方を反映し、多方面にとって意味のある内容だと論評する。具体的には戦時作戦統制権の移行の棚上げと、その見返りとしての韓国のミサイルに対する射程800キロを越える延長の合意、北朝鮮政府との対話と段階的な合意の追求に対する米政府の同意、そして共同声明にインド太平洋地域におけるルールに基づく秩序を脅かす行動への反対、南シナ海の航行の自由への支持、台湾海峡の平和と安定の維持が盛り込まれたことを挙げる。ただし韓国政府の対中批判姿勢が不徹底だとして不満も表明している。
北朝鮮の金総書記の健康状態についてメディアは精細に追跡している。専制的独裁者である同氏の健康状態が北朝鮮のみならず地域の安全保障問題と結びついているからである。そうした観点から、メディアは久しぶりに姿を現わした金総書記が細身になったことからいろいろ推論をめぐらしている。そのなかで、スリム化は国内での地位を向上させている可能性が高く、おそらく支配的地位にあることに自信を深めていると思われ、そうなると地域の指導者として行動の予測可能性を高めそうだとの見方が紹介されている。この見方が的を射ている可能性が高く、特に指導者として行動の予測可能性を高めそうだという推論に注目していきたい。
東南アジア諸国がコロナウイルスの新規感染者拡大に苦しんでいる。主因はデルタ株やアルファ株などの変異ウイルスの蔓延とワクチン接種の遅れにあるとメディアは報じる。変異株の蔓延はベトナム、シンガポール、カンボジア、ラオスなどで顕著で、ワクチン接種はシンガポールでは人口の5分の1超が接種済みだが、それ以外の東南アジア諸国の接種率は1桁台にとどまっている。経済に対する影響も無視できなくなると危惧されている。
インドが得意とする主要ビジネスの一つである外注受託業務がコロナウイルス第2波のために危機に瀕している。被害を受けているアウトソーサーと呼ばれる業界企業は、インフォシスやタタ・コンサルタント・サービスなどの地場企業だけでなく、インドでインハウス事業を展開するゴールドマン・サックスやグーグルなどのグローバル銀行やテクノロジー企業も含まれている。このためプロジェクトの遅延や従業員のための独自の治療施設の建設を余儀なくされ、さらに海外他地域への業務移転にも迫られている。ただし欧米でビジネス活動が持ち直すにつれて、業界も息を吹き返してきているとも報じられており、政府の対応が注目されている。