中国の習近平国家主席が「共同富裕」のスローガンを推進している。メディアは、背景に巨大な富が共産党とは別な政治的勢力に変貌することへの警戒感があり、巨大ハイテク企業などの資本家階級の利益制限や所得の社会還元などを通じて、拡大した格差や社会分断の解消を目指していると伝える。経済成長も量より質の重視に転換しようとしており、社会主義の西側資本主義に対する優位性を誇示する狙いがあると報じる。
台湾関係では、メディアが中国は米国のアフガニスタン撤退に関連して台湾も同じ運命を辿ると扇動していると伝える。ただし、米国が台湾を見捨てることとアフガニスタン撤退とは安全保障上の意義が異なるうえ、代償が大きく、米国の台湾支援は揺るがないとの見方も示し、台湾政権はアフガニスタンよりはるかに成熟しており、バイデン政権はもっと積極的に関与していくとみられると述べる。ただし、撤退を目の当たりにした中国政府は、そうしたメッセージを見逃す可能性があると警告する。他方、習近平国家主席は台湾を戦略的な海上水路を抑える要所とみており、そうした中国は米国のアフガニスタン撤退から戦略的機会を得ているとも指摘する。
韓国では、韓国銀行(中央銀行)がアジア諸国のなかで最初となる利上げを決定した。メディアは、これは新型コロナウイルスのデルタ変異株に対する懸念よりも、記録的な家計債務と不動産価格の急騰を抑える必要性が高かったためと報じる。つまり利上げの主たる狙いは、金融不安定化のリスク回避と不動産価格に起因するインフレ懸念への対応と言える。エコノミストは韓国銀行が利上げを継続すると予想している。
最近、北朝鮮は寧辺核施設の原子炉を再稼働したとみられる。メディアはその理由や背景について、北朝鮮はバイデン政権を激しく非難しており、それに対応する計算づくの行動である、あるいは核兵器を増やすことにより対米協議での影響力を強化しようとしている、さらには金正恩体制が自制心をもって対話を受け入れようとする姿勢の表れであり、そのためにバイデン政権の関心を引き付ける「限定的なショック療法」を試みている等の見方を提示する。なお、最近北朝鮮は巡航ミサイルや弾道ミサイルの発射実験を繰り返している。最大限の有利な条件を引き出すために交渉に臨むハードルを可能な限り引き上げようとしていると考えられる。
東南アジア関係では、メディアがマレーシア経済の課題は自然や人的資源の開発と経済成長の促進にあると述べ、それらの目標が特にシェアド・プロスペリティ・ビジョン2030 (SPV2030)で明確にされたと伝える。また、こうした政策努力は人口の40%を占める最下層の人々を経済発展に取り込むことに注がれており、それはまたマレーシアが中高所得国への移行を目指すうえでも欠かせないと指摘する。
インドを襲ったコロナ禍は経済に甚大な打撃を与え、被害は零細小売業者、日雇い労働者、若年労働者、さらには高給のサラリーマン層にも及んでいる。メディアは、経済回復への懸念としてワクチン接種の遅れと第3波の襲来、実質世帯収入の減少を挙げ、解決策として低技術労働力の潜在力を引き出すために政府支出の増加を提言する。支出の対象先として労働集約的な分野を列挙するが政府はあまり乗り気でないと報じる。その理由は、支出分野が政府から見て魅力に欠けること、財政赤字への強迫観念があると指摘する。