中国政府は米中貿易戦争の交渉材料のひとつとして、懸案であった資本市場の開放を加速させている。当局は米国からの市場自由化の圧力と米中貿易合意を受けて、外国銀行に対して参加する合弁事業すべてに100%の持ち分取得の申請を年末とされていた期限を前倒しして今年4月より可能とした。ただし国内市場の競争は激甚であり、海外投資銀行が全額出資の現地証券会社を設立してもすぐに採算の取れる見込みは厳しいとメディアは示唆する。
台湾の総統選では現職の蔡英文総統が大勝したが、そうした選挙結果が民進、国民の両党に大きな課題を残したとメディアは論評する。即ち、大敗した国民党に対中政策の見直しという大きな問題を提起した一方、圧勝した民進党と蔡総統にも民主主義をめぐる中国との対立激化の可能性に加え、米中貿易戦争の拡大による台湾への悪影響や台湾の対米輸出へのトランプ関税発生リスクなど対米関係での課題が起きたと指摘する。
昨年来、韓国と米国両政府が防衛分担費に関する交渉を続けている。米政府は韓国の年間負担金を現在の5倍増額を主張している。メディアは、トランプ米政権は在韓米軍の駐留費だけでなく、広く核の傘を含む朝鮮半島全体の防衛費に関連する費用の分担を韓国に要求していると分析、そうしたトランプ大統領の交渉姿勢は、防衛を理由とした一種のゆすり、たかり行為であり、同盟関係を金銭的な利益を求める取引として捉える戦略的には自虐的な行為だと厳しく批判する。
北朝鮮で外相が更迭され、新外相に軍出身で対外強硬派として知られる李善権氏が任命された。メディアは、米国務省高官は新外相が強硬姿勢を示してもトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長は共に交渉の進展を願っていることに鑑み、米朝対話は再開し、非核化交渉は続くだろうと語ったと報じる。ただし新人事は北朝鮮の政権内部で混乱が続くことを意味していると論評する。
東南アジア関係では、マレーシアとフィリピン中央銀行が政策金利をそれぞれ0.25%引き下げた。両国に限らず新興国や途上国市場では、物価が比較的安定するなか、中央銀行が経済成長を確保するために利下げに動いている。背景として、世界的な不確実性の高まりによる経済の下振れリスクなどが挙げられている。利下げ要因のひとつであった米連邦準備制度理事会の緩和サイクルは終わり、また多くの新興国でインフレが勢いを増しているとの指摘もあるが、利下げの流れは変わっていないとみられる。
インドでは経済成長が減速するなか、インフレが進行し、経済はスタグネーションからスタグフレーションに落ち込む危険に直面しているとメディアが警告する。インド準備銀行(中央銀行)はインフレ押さえ込みのためのインフレ目標の枠組みを考案し対応しているが成果は見通せていない。