2019年12月20日号

中国人民銀行は金融緩和政策の推進強化を一段と鮮明にしてきた。本レター9月号で伝えたように今年8月に同行は既に政策金利として新指標金利「ローンプライムレート」(LPR)の1年物をこれまでの貸出基準金利より低く設定して、実質的に銀行向け貸出金利を引き下げた。このLPRを9月も4.25%から4.2%へ、さらに11月に第3弾として4.20%から4.15%へと引き下げた。一連の利下げの狙いは景気てこ入れにあり、一部のエコノミストは中国は明らかに利下げサイクルに入ったと語っているとメディアは伝える。

台湾の呉外相がメディアのインタビューで、台湾の外交的孤立はいずれ解消されるとの楽観的な見解を示している。背景として、中国の独断的な外交に国際社会の反発が高まり、中国に対抗する民主主義国家のモデルとして台湾が注目されていることを挙げ、台湾を中国の省と表記し、台湾の国旗をサイトに表示しない企業などに見直しを働きかけて成果を上げたとも伝える。台湾統一が中国の習近平国家主席の下で緊急性を増してきているとの危機感や来年初に迫る総統選へ中国が介入する懸念も表明している。

韓国は目下、来年の在韓米軍駐留経費の負担問題で米国との厳しい交渉に迫られている。トランプ政権は韓国側の負担額を現在の5倍に増額することを要求している。メディアは、トランプ政権の政策は一方的かつ近視眼的であり、特に北東アジアにおける米国の信頼感を損なっていると厳しく批判する。

北朝鮮による一連のミサイル発射実験や芝居気たっぷりの脅しには、国際社会の関心を引きたいという意図が込められているとメディアが指摘する。トランプ大統領は、非核化交渉に進展があったと主張するが幻想にすぎず、むしろ事態を悪化させたと批判し、一連のミサイル実験の背後にある北朝鮮の真意を読み取り、真剣に対処すべきだと米国と国際社会に訴える。

東南アジア関係では、インドネシア政府がシンガポールやマレーシアを範例としてソブリン・ウェルス・ファンドの創設に乗り出した。ただし、シンガポールのような潤沢な資金やノウハウを持ち合わせていないなどのハンディキャップを負っており、ファンドも100億ドル程度の小規模と想定されてはいるものの未定とされているなど、計画の実現性は未だ見通せていない。ただし現在経済は好調であり、こうしたファンド立ち上げの好機とみられる。

インド経済は見た目よりも遙かに悪い可能性があると報じられた。メディアは、公式統計によると成長は6年ぶりの低水準に減速しているが、実際の景気はもっと悪化している可能性が高いと伝え、背景としてノンバンクが債務不履行に陥り、あるいは政府の圧力による撤退するなどから信用危機に見舞われたことを挙げる。他方、中央銀行はインフレ懸念を理由として金利据え置きを決定した。9月までの3ヶ月間のインフレ率は3.5%程度で推移していたが中央銀行は食品価格の上昇に懸念を抱いている。今年度の経済成長率については5.0から6.1%とみている。