中国人民銀行(中央銀行)は、大手商業銀行の預金準備金比率を1%引き下げ16%とした。経済が減速の兆しをみせるなか、金融緩和に向けた穏やかな動き、あるいは最近の信用データなどの統計数字がかなり弱い結果を示すなか、当局はきわめてかすかな緩和シグナルを発信したと評されている。ただし比率引き下げによって生じた流動性の一部は中小企業向けの融資などに回ったと報じられている。
台湾から数十万人の若い頭脳が中国に流出している。中国の狙いは台湾企業や若者の優秀な頭脳を本土に招き入れ、台湾経済を空洞化することにあるとみられるが、台湾政府は今のところ門戸を閉ざし、人材流出を防ぐこと以外に有効な手立てを見いだしていない。台湾が強大な中国経済に呑み込まれるとの危機感が高まっている。
韓国の文大統領と北朝鮮の金委員長が板門店で首脳会談を行い、朝鮮半島の非核化や朝鮮戦争の終結を盛り込んだ共同声明に署名した。主要メディアは、いずれも過去の経緯を振り返り、北朝鮮の約束の信憑性に疑問を提起し、証明や現実の行動を求めている。一部のメディアが南北サミットの成功が米朝会談の成功につながると期待しているにすぎない。なかには、文大統領はトランプ米大統領をクリントン、ブッシュ元大統領らと同じ失敗に引き込もうとしている可能性があると懸念を表明している。
北朝鮮は積極的な平和攻勢を次々と仕掛けているが、その裏でハッカーたちを五輪アスリートのように育成し、サイバー軍を静かに世界最強クラスの軍団に育成発展させているとメディアが報じる。とりわけ金正恩委員長が就任以来、核ミサイルの開発と並行してハッカー技術を飛躍的に発展させ、厳しい経済制裁による被害を補填する規模の収穫を手に入れているとされる。
フィリピンでは、ドゥテルテ大統領の包括的税制改革案によって外国直接投資を呼び込むためのインセンティブ政策について、政府内での意見対立が表面化した。現行政策の維持を求める貿易省や政府機関に対して財務省はインセンティブ資金をロボティクスやデータ・アナリティクス、人工知能などに回すべきだと主張している。ドゥテルテ大統領は国内治安や外交問題に注力し、投資誘致問題には無関心で、このままでは財務省の主張が通り、フィリピン経済を支えてきた柱のひとつである外国直接投資が減少の一途を辿ると懸念されている。
インド関係では、米財務省が半期に一度見直す為替報告書で主要貿易相手であるインドを為替政策と経済政策を厳しく監視する国別リストに加えた。インドが昨年唐突に巨額の外貨を購入したことから通貨ルピー安を狙ったとの疑惑を招いたとみられるが、ルピーは対ドルで実質的に切り上がっており、為替操作の批判は避け、監視リストに載せるに止めたとみられる。