2025年6月20日号

中国と米国は第2回貿易協議を開き、中国によるレアアース輸出問題の解決と米側が講じた対中輸出規制の緩和で合意に達した。トーンは前向きだが内容は詳細に欠け、しかも最終的に首脳レベルで覆される可能性を残した。加えて中国はレアアース輸出許可を6カ月に制限する方針とみられ、前途は依然として多難である。

台湾には中国からの「差し迫った」脅威があると、ヘグセス米国防長官が「シャングリラ・ダイアログ」で警告した。これに対しメディアは2つの疑問を呈する。中国の意図に関する評価が正しいか、同長官の姿勢が信頼に値するかである。同時にトランプ大統領は、退任後に中国が台湾を併合すると考えているとの私的な発言も紹介する。

韓国の大統領選で野党の李在明候補が当選した。メディアは、選挙では尹前大統領による戒厳例宣言への国民審判が下された、あるいは、保守と革新の交互入れ替えという投票パターンが繰り返されたなどと評する。懸念材料として、内政面で独裁色を増すことと外交面で対米関係の今後などが挙げられている。

北朝鮮がミサイル級駆逐艦の進水に失敗した。この駆逐艦は海上移動しながら核攻撃可能な崔賢級と呼ばれる最新型多目的艦である。ただし進水に失敗したのは2号鑑で、1号艦は既に4月下旬に完成し、進水式も無事に済ませている。北朝鮮は核推進潜水艦も建造中されており、その海軍力強化努力は軽視できない。

東南アジア関係では、インドネシア政府が大規模な景気刺激策を打ち出した。今年最初の3か月間の成長率が4.9%の低水準に陥り、トランプ大統領による32%の高関税もあり、政府が掲げる年間8%の成長率達成が困難視されているなどの背景がある。看板政策の無料給食プログラムも批判に晒されている。

インドでは、中央銀行が大幅な金融緩和策に踏み切った。背景として、トランプ高関税がもたらす不安定要因、昨年度経済成長率の落ち込み、インフレ率の低下傾向、モディ政権の2047年までに先進国の地位確立という目標達成に8%の成長率が必要などの状況がある。