中国の長期外貨建て国債の格付をフィッチがA+からAに引き下げた。中国は反発しているがフィッチは引き下げの理由として、トランプ関税による対米輸出減と景気刺激策による財政悪化の懸念を挙げる。中国が経済低迷とデフレ圧力に苦しむなか、トランプ関税はその公的債務の信頼性と国家威信を傷つけている。
台湾もトランプ関税によって大きな衝撃を受けている。加えてトランプ政権が半導体をめぐって台湾を泥棒呼ばわりするなど、台湾は対米関係での立ち位置について疑問を抱き始めている。その結果、信頼に値する貿易相手としてアピールする機会を中国に与えている。
韓国の憲法裁判所は、国会の尹大統領弾劾訴追を支持し、同大統領を追放する判決を下した。後任については与野党とも候補者乱立の様相を呈しているが、左翼野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏が優勢と伝えられている。ただし、同氏は北朝鮮への資金提供などの訴訟問題を抱えており、左右両勢力が激しく対立するなか政局の前途は予断を許さない。
北朝鮮は韓国の政治的混乱に乗じてその軍事機密情報、例えば諜報員の身元、スパイ用無人機の作動不能状態、戦争計画作戦室の正確な位置、特殊部隊の北朝鮮侵攻時の出動状態などを入手していた。韓国側は痛恨の過失を犯したと言え、今後の対策を慎重に講じる必要が出てきた。
東南アジア関係では、対中関税を回避するための「チャイナ・プラス・ワン」戦略をトランプ新関税が直撃したため危機に瀕する情勢となった。46%の関税率に直面しているベトナムが最大の被害者で、対ベトナム新規投資の大半を占める中国企業が標的となっているため、中国は対米直接輸出を増やすかもしれないと指摘されている。
インドもトランプ関税で影響を受けるが、他国にない強みもあるとメディアは指摘する。大規模国内市場の存在、部品組立や製造拠点としての好立地条件などである。だが海外からの直接投資への政治的干渉や世界水準に達しないインフラなどの問題点もあり、トランプ新関税はインドが抱える課題を改めてあぶりだす結果ともなった。