中国の株式市場の低迷は構造的な成長鈍化、崩壊に向かう不動産市場、政策の不透明感を巡る懸念など実体経済の抱える問題に原因があるとメディアは指摘し、株式市場よりも不動産市場の支援のために資金を投入すべきだと提言する。株式市場への資金投入は対症療法に過ぎず、中国経済の未来にとって安定した土台となるのは、落ち込みが続く住宅市場の立て直しにあると主張する。
中国共産党は台湾総統選での民進党の勝利に不快感を示すため、台湾ビジネスに圧力をかける可能性があるとメディアが論評する。とはいえ、台湾企業の大物たちは大陸に進出している企業を含め、それほど弱気ではないようだと述べる。台湾の貿易・投資動向にも変化がみられ、台湾の対中輸出の全体に占める割合が低下し、台湾の年間対中投資も2023年にはわずか全体の11%に落ち込んでおり、中国はすでに台湾ビジネスへの影響力を弱めていると指摘する。
韓国で徴兵制をめぐる論議が盛り上がっている。兵役の問題点としてキャリアや教育の中断による人生の時間損失、兵役免除基準の不公正、特に大財閥などの強力なエリートたちによる徴兵免れへの怒りなどが挙げられている。ただし、志願兵制になった場合、兵役回避の傾向が顕著となり、軍隊が恵まれない階層出身者ばかりとなりかねないと問題提起されている。さらに軍内部に新兵いじめの「兵営文化」がはびこり、非戦闘員の自殺者が多数出ている。こうした状況の改善が優先されるべきだと指摘されている。
金正恩総書記は「断固たる政策変更」を実行すると述べ、南北共存は不可能だと宣言し、危機に際して韓国を制圧、占領するための準備を命じたとメディアが報じる。専門家は、金正恩が最後に核交渉の席に着いた2019年以降、外交関係の優先順位を方向転換している兆候が見られると警告する。中ロとの関係を強化し、米国との関わりは無駄だと考えていると指摘。北朝鮮が本気で戦争態勢に移行する可能性があると警告する。日本にとって戦争勃発の危険性が台湾海峡のみならず朝鮮半島でも高まっている。
東南アジア関係では、インドネシアで次期大統領選挙が実施され、権威主義的な指導者が必要だと主張するプラボウォ・スビアント現国防相の勝利が見込まれている。背景に国民の間で絶大な人気を誇るジョコウィ現大統領による後押しがある。三選禁止のため出馬できないジョコウィの退任後も発言力を維持しようとする思惑や、長男を副大統領候補に据えて行く末は大統領に押し上げようとする野心のためとも推測されている。世界第3位の人口を誇るインドネシアの民主主義が危機に瀕している。
インドのモディ政権はマネーロンダリングや汚職容疑、あるいは税務調査などの名目で反対勢力への締め付けを強化している。対象は野党幹部や現職の州首相、メディアやNGOに拡大し、反政府勢力の弾圧の様相を深めている。中国の対抗勢力となる民主主義の大国インドへの信頼を揺るがす可能性がある。締め付けは5月総選挙を前にして特に強化されているとみられ、そうした一過性の問題なのか、選挙後も続くのか注視していく必要がある。