中国に関して、日中間の長い歴史的関係に鑑み、メディアが日本の対中観察に関心を示し始めている。日本が中国について懸念することの第1は中国が自信過剰であること、すなわち西洋の衰退や米民主主義に対する自国の優位性を本気に信じ込み、戦前の日本の強気な姿勢と類似していることを指摘。第2は自由世界を知らない習近平国家主席の下で集団指導から個人指導へ移行していること、第3は中国経済の減速懸念を挙げる。日本のチャイナ・ウォッチャーからは、国内経済から国民の目をそらすために中国が台湾進攻に動くのではないかとの懸念が示されていると伝える。ただし、日本では全面的侵攻に至らない「グレーゾーン」の活動、すなわちサイバー攻撃や中国海警局による台湾海域への侵入、台湾の離島への上陸などが懸念されていると報じる。
台湾では12月18日に住民投票が実施され、添加物ラクトパミンを含む米国産豚肉の輸入継続が決まった。これにより対米貿易協定締結の障害が取り除かれ、対米関係の緊密化がさらに前進する見通しとなった。ただし、メディアは投票結果は与党民進党の勝利だが投票率は41%強と比較的低く、また住民投票が政争の対象となり、今回の投票も与党の勝利というよりも野党の失敗だと指摘する。
韓国の造船会社である現代重工業による大宇造船海洋の20億ドル規模の買収計画を欧州連合(EU)が承認しない見通しとなった。背景として、この冬に欧州でエネルギー価格が高騰し、アジアでの液化天然ガスの運賃が世界的な需要の急増で記録的な水準に上昇したことによる。このためEU当局はLNG船市場の支配に懸念を示し、合併差し止めによってLNG価格の一段の上昇からEU市民を守ると主張しているとメディアは伝える。このEU決定により合併計画は不成立となった。EUが独占禁止自体よりもエネルギー価格上昇に対して強い警戒感を示したことが注目される。
北朝鮮のサイバー犯罪が核兵器開発資金と低迷する経済を支えており、金体制があと10年権力を維持できるかどうかは北朝鮮ハッカーに依存しているとメディアが報じる。悪質なサイバー活動の内容として、世界中の銀行を標的とする活動のほかに防衛機密の窃取、ランサムウェアによる金銭のゆすり、デジタルマイニングした通貨の乗っ取り、暗号通貨取引所を通じて不正に得た利益の洗浄などを挙げ、すでに23億ドルもの資金を得ていると報じる。またアップルジュースというマルウェアを使って一昨年から昨年にかけて3億ドル余りの暗号資産を盗み出しているという。メディアはまた北朝鮮のサイバープログラムが米国内の一部の重要なインフラやビジネスネットワークに「一時的かつ限定的な混乱」を引き起こす域に達していると警告する。
東南アジア関係では、タイ中央銀行が過去最低水準にある政策金利を13回連続で据え置いた。オミクロンなどの新型コロナウイルス変異株が観光産業などの経済に与える影響への警戒感が背景にあり、同中央銀行は経済が受ける被害は下振れリスクにより予想以上に深刻で長期化する可能性があると指摘する。エコノミストもワクチン接種の進展により感染者が減少し、経済活動が改善に向かっているとしながらも今後の経済見通しについて弱気な見方に転じ、景気回復が本格化するのは23年後半以降とかなり先になると予想している。中央銀行は当面、緩和的姿勢を堅持せざるを得ないとみられる。
インド経済は2020年にデルタ型ウイルスの流行で壊滅的被害を受けたが昨年の後半には回復に転じ、第4四半期の国内総生産は前年同期比20%余りの増加に転じた。しかし、今年に入りオミクロン型の出現によって首都ニューデリーやいくつかの州で再び外出禁止令などの制限措置が講じられている。今のところ、それ以上の厳格な措置は取られていないがウイルスは予測不可能であり、人々は財布の紐を締め始めているとメディアは伝える。