2019年1月11日号

2019年1月11日号

――東アジアのビジネスに関心のある方のための情報誌――

(毎週金曜日配信    計 4 回総集編)

執筆:前田高昭  (国際金融ジャーナリス)

中国の一帯一路構想には「ドルの制約」という資金調達面での問題があると指摘された。インフラ建設代金の支払いはドル建てが圧倒的に多く、中国は外貨準備を取り崩していく他はないために「ドルの制約」を受けるからである。人民元が国際通貨として定着していれば、中国政府は元を印刷して支払いに充てられるが元は依然として国際通貨としては成長していない。しかも中国の経常黒字は減少傾向にあり、中国は遠からぬ将来に「ドルの制約」を痛感することになり、野心的な構想を見直さざるを得なくなるだろうとメディアは報じる。

台北市長の柯文哲氏(59)が訪米を計画し、次期総統に立候補するのではないかとの期待が高まっている。蔡英文現総統も就任前に訪米しており、総統候補に対する米国の後押しが重要な意味を持つことがこうした観測を生んでいる。ただし次期総統候補としては国民党の呉敦義主席(70)や民進党の頼清徳行政院長(首相)(59)なども取りざたされている。

韓国経済の現状についてメディアは、第3四半期のGDPは前期比0.6%増となり、韓国銀行の事前予想と合致し、11月の消費者物価指数もエコノミストの予想どおり前年比2%の上昇となったと伝える。ただし経済が先行き悪化するのではないかとの懸念は払拭しきれていないと報じ、米中貿易戦争の動向、原油価格の下落、輸出の伸びの鈍化、国内投資の低迷などの要因を挙げる。

北朝鮮が経済制裁に耐える一助として豊富な石炭資源を利用して合成ガスを生産し、石油輸入への依存を減らしているとみられている。北朝鮮は近年石炭ガス化技術の利用を拡大し、以前は動力や原料を輸入石油に依存していた一部の大型肥料工場、製鉄所、セメント工場に石炭ガス化設備を導入、専門家は、石炭ガス化により輸入燃料を軍用などの用途に回すことが可能かもしれないと指摘している。

東南アジア関係では、タイ中央銀行が2011年以来となる政策金利の引き上げを決定し、政策金利の翌日物レポ金利は0.25%引き上げられ、年1.75%となった。利上げの背景についてメディアは、中央銀行は経済が順調に成長しインフレも終息しているなか、長期の低金利がもたらすリスクを警戒したと伝える。

インドが2019年に経済規模で英国を抜き世界第5位となると報じられた。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)のエコノミストは、インドは、高い成長率と巨大な人口、恵まれた人口構成によって大規模経済として世界最高の経済成長を遂げ、グローバルなGDP競争で上昇を続けると指摘する。またIMFのGDP推計によれば、英国は2018年には経済規模で世界第5位だったが、来年にはインドと仏に抜かれ、第7位となるとみられる。