中国の強大な軍部が深刻な混乱に直面している。習主席が軍の現代化と台湾侵攻能力の獲得を目指すなか、多数の軍高官が捜査を受けている。軍は指導者にとってライバルや民衆の反乱に対する最終的な防壁でもあり、軍の混乱は指導者にとって政治的生存への危機も意味している。ただし、今のところ習主席への反抗の兆しはないと報じられている。
台湾は対米通商交渉を継続中だが、目標は合理的な水準の関税実現とエレクトロニクス産業への影響の最小化とされている。交渉は難航しているとみられるが、これは台湾が日韓、EU並みかそれ以下の関税水準を要求している一方、トランプ政権が日韓、EU並みの対米投資を求めているためと推測されている。
韓国政府がキムチ債券の禁止措置を解除した。キムチ債券とは、韓国市場で海外企業が発行する非ウォン建ての金融債である。日本のサムライ債に相当する。解除理由として外為市場の規制緩和と外貨流入の促進が挙げられ、背景としてウォンがファンダメンタルズに比べて過度に弱く、政府がその価値上昇を狙っていると指摘されている。
北朝鮮が軍事用偵察衛星ロケットの発射施設建設を加速している。衛星用ロケット発射にはロシアの技術支援が欠かせない。そのために衛星発射場を拡張して海路でのロシア製部品の輸入を可能としたり、多数のロシア人技術者を受け入れたりしている。国連決議に違反する行為だが金総書記は計画を加速させている。
東南アジア関係では、タイとカンボジア間に紛争が発生した。原因は、宗主国フランスとサイアム王国間で締結された条約に基づき国際司法裁判所が最大のヒンドゥー教寺院をカンボジアに付与したことに遡る。タイは、寺院がシャム領にあったと指摘し、タイ湾埋蔵の石油・ガスや国境にある詐欺関連施設からの収入などの利権が紛争の背景にあると主張する。
インドに対して、トランプ大統領がロシア産原油の輸入を継続するなら50%の懲罰関税を課すと警告した。米印間で貿易交渉が継続中だが、争点はロシア産原油の輸入と農産物、乳業、漁業に関する問題である。インド政府は徹底抗戦か妥協かの選択に迫られているが、今のところ農業、乳業部門、漁業の福祉で妥協しないと宣言するに止まっている。